4.《ネタバレ》 時の流れに逆行して若返っていく外見には興味津々だったが、エピソード自体は特に笑うシーンも大泣きするシーンもない。肉体時間の逆行以外に特別な能力がある訳じゃなく、至って淡々とした暮らしぶり。大胆な設定から導かれるお話としては平板に思えるが、アクションやサスペンスではなく、あくまで人の一生をじっくりと描きたかったのだろう。出会いや別れの情景の中に、抑えの効いた演技が切なさを紡いでいました。ちなみに、ベンジャミンと接触した人のほとんどは彼の人生を数奇なものとは思っていない。見掛けと実年齢が極端に違うのは、聞かされない限り気付かない事で、ベンジャミンにとっては数奇な体験でも、周囲の人には普通の付き合いなのである。そう考えると、周囲が認知していないだけの数奇な人生は、実はたくさん存在するようにも思える。逆説的ではあるが、およそどんな人生も、他者が知らない数奇な側面を持っているのかも知れない。淡々としたベンジャミンの日常描写からはそんなことも考えてしまった。そういう意味で、奥深くはあったけど、面白いという類いではなく、感動するでもなく、妙な見応えの映画でした。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-04-13 01:16:45) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 個人的に贔屓のデイビッド・フィンチャー監督の最新作が大変評判だと耳にし鑑賞を決意致しました。予告編では落ち着き払った雰囲気を呈した本作もまさかラストには驚愕の結末が?とか考えながら観ていましたが,さすがにそれはありませんでしたね,そこは幾分ホッとしました。肝心の本編の方の感想ですが,同様のタッチで世界中を感動させた名作「フォレスト・ガンプ」には一歩か二歩及ばなかった感じでしょうか。。ただし,人生が出逢いと別れの繰り返しであること,ついさっきまでそばにいた人がある瞬間にふと立ち消えしたかのようにいなくなり,その後の人生に一度も現れなくなることがあるということ,どこで何をしている人でも生きていることが素晴らしいこと…あらゆるメッセージが過去の作品群でも散見されたようなありふれたものだったものの,「ベンジャミン・バトン」という特異な運命の下に生まれた男をフィルターにすることで,再び問い直す意味が出ているように思います。そういった観点から特殊メイクやCGの発達した現代に作られた意義というのは十二分にあったと思いますが,如何せん構成が弱いような気がしました。というのも,3時間近い大作だった割にはベンジャミンの人生が薄っぺらく見えます。逆回りの時計の話にしても,ハチドリの扱いにしても,エリザベスの件に関しても,もう少し重厚な作品ができたように思うので残念です。しかし,本当なら長い人生を連れ添えた運命の二人が,お互いの人生の交差点の数年間だけ愛し合う,なんていう哀しさに少しホロリときましたし,総じて丁寧に作られた作品だと思うので一見の価値はあると思います。 【Thankyou】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-02-16 00:46:19) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 作品の出来も発しているメッセージも悪くはないし、3時間弱もの長尺も全く飽きることはありません。 ブラピもケイトもその演技力、監督らの撮影、メイク技術と相まって画がとても映えます。しかし、この映画の予告編以上でも以下でもない、というのが正直な所。ベンジャミンの人生を80年分観た時と、3分弱の予告編を観た時とで考えたことや気持ちに大差がないのです。 この作品の最終的なメッセージは「数奇な体を持って生まれたベンジャミンの人生も素晴らしいものでした。だからどんな職業・生き方の人々の人生もやっぱり素晴らしいものです。」というようなことですが、この単純で、しかし描き方次第でいくらでも深くなるこのメッセージが意外と浅い。作品内で語られたこと以外に解釈することがほとんどなく、劇中で語り過ぎなのか、「だから?」という感がどうしても否めない。 原作は未読ですが、50ページにも満たない短編小説で原作者もさらっと書いたお話、言ってしまえばほとんど思いつきに近いネタだと思うので、これを膨らませるのであれば、もっと寓話的にして、いっそのこと群像劇にしてしまえば良かったのではないかと(でもそうすると主題がブレるかな・・・)。この作品もベンジャミンと関わる人々が多いので群像劇の要素は大いにあるのですが、もっと深く様々な職業、年齢、性格の人々を描けば「数奇な体のベンジャミンもそうでない人々も人生は素晴らしい」というメッセージは生きて、さらに感慨深い、感動できる作品になったはず。冒頭の時計職人のようなエピソードがもう少し欲しかったか。 デヴィッド・フィンチャーは大好きな監督ですけれど、このテーマを扱うにはまだ若かったな、と。 決して悪い映画ではない、というより非常に良心的ないい映画なんですが。 【Sgt.Angel】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-02-14 23:36:05) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 脚本が同じ人だから「フォレスト・ガンプ」と似た感じになるのは自然ではあるのかもしれないが、それにしても前置きの老けメイク時代が長すぎる。主人公のいろんな体験をちりばめたい気持ちは分かりますが、相互に関連性があるわけでもなく、発展性があるわけでもありません。つまり、どこかを抜いても作品として成立してしまいます。他方で、ケイト・ブランシェットを起用するという幸運にめぐまれていながら、意外なほど生かされていません。2人が「すれ違った」後、主人公の予言通りに落差が拡がっていく部分にこそ本当の切なさがあるはずで、何でそこをあっという間に駆け抜けてしまったのか、はなはだ疑問。また、病室からの回想という形にしているのも、それほど効果的とは思えません(むしろ邪魔だし、根本的な視点のブレを生じさせている)。ラスト15分間に6点。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-02-10 02:01:48) (良:1票) |