4.《ネタバレ》 最後はいきなり、ある名画のパロディになりました。あの展開には違和感を覚える人が大多数だと思う。以下、自分の解釈です。親父は至って真面目な人。息子の嫁=自分の娘で、手を出したりしたら禁断の関係という感覚。息子が大切で、義母にしろ、嫁にしろ、どんな女性が息子に相応しいかに腐心して生きてきた。嫁の思わせぶりな態度に戸惑っていたところ、式直前に抱きつかれ困惑極まれり。「こんな嫁はいらない」。これは、息子コンプレックスだ。一方の息子。死んだ母は唯一崇高な存在で、親父が付き合う女性を母と同格に考えることが出来なかった。父の愛人と叔父の関係を知り、自分の理解を超えた男女の関係に穢れたものを感じる。式直前に、その穢れを直接に目撃する。彼にとっては、無条件に信頼がおける女性は死んだ母だけ。「もしかしたら、女ってみんな穢れてるんじゃないか? 自分はそんなイキモノと暮らして行けるのか?」。母は亡くなっているので分かりにくいが、息子の症状はマザコンだ。女性の存在が巨大な恐怖として彼を包囲したとき、親父が救いの手を差し伸べ、そして二人で逃げた。誰から? 母以外のすべての女性からだ。ラストシーンが象徴的でした。母に見える女性を追って草むらに消えるマザコンの息子と、追従する息子コンプレックスの親父。きっと、この先も二人で暮らして行きます。それが「たみおのしあわせ」です。麻生久美子も大竹しのぶも、父子のコンプレックスの狂言回しです。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-28 00:20:09) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 いきなり虚をつかれたラストの展開でしたが、監督は、まずあのシーンをスタートにおき、そこから物語を組み立てていったのではないかと思っています。よく考えてみると、リアルな30歳に近い息子と父親は、いっしょに服を買いに行ったり、外でご飯を食べたり、だいたい一緒に暮らしたりしません。それなのに、非常に居心地のよさそうな家や、落ち着いた暮らしぶり。変な小林薫や出てくれてとてもうれしい忌野清志郎に目がいってしまい、すっかりだまされてしまいました。これはどうかと思う一方、これはこれでいいんじゃないかとも思う。不思議な映画でした。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-09-20 09:47:29) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 やっぱり、結婚には幸福感って大事です。どんなに些細な事でも、くだらない事でも、何でもいいんです。「この人が大好き。この人と結婚出来て幸せだ!」そう思えることが、ある意味では一番重要だと考えています。
他人から嘲笑されるようなことでも、それが本人にとって幸せなら、それで良いのです。大切なのは『結婚する』という事に『どれほど自然に幸福感を抱いているか?』なのでしょう。結婚前から我慢や無理があっては、きっと駄目なのでしょうね。結婚後に「こんな筈じゃなかった…」と思う事もあるかもしれません。結婚はよく「我慢と忍耐」と言われていますから、結婚後には維持する努力も必要なのでしょう。でも、結婚前くらいは夢や希望があっても罰は当たらないように思います。
きっと、たみおもたみおの父も、その結婚に夢も希望も見い出せなかったのでしょう。途中までは夢も希望もあったのかもしれません。しかし、それが『単なるまやかし』でしか無かった事に気がついたのです。不安や不満を抱えたままする結婚に、明るい未来が見えるでしょうか?親なら、子供の幸せは何よりも誰よりも願って止まないもの。子供だって、親に一人前になった自分の姿を見せて安心させたいものです。ぎこちなかった親子関係が「結婚」を境に良い方向へ変化していった事が、すべてを物語っていると思います。 だから息子は、不安を抱えつつも父が願っていた結婚をやめられなかった。だからこそ父は、息子が幸せになれないであろう結婚に「待った」をかけたのでしょう。口にせずとも通じ合っている。それが親子であり、家族なのかもしれません。彼らの幸せは、結婚を通じて取り戻した『親子関係』なのでしょう。
けれど、個人的にはあのようなコミカルなオチに仕上げたことは、少々不満です。そのためこの点数ですが、悪しからず。
<2018年12月追記> と、昔の私は偉そうに結婚について語っていますが、結婚ってほんと難しいです。結婚はゴールではなくスタートなんですよね。当たり前なのですが(笑) そう考えると、たみおと父上の決断は間違いではなかったのかもしれない、と今は思います。結婚は、多くの人の人生が変わります。それなら、多くの人の人生に影響を与えてしまう前にやめる決断ができるのは、ひとつの幸せのかたちなのかもしれません。生きるって、人生って、難しいですね! 【港のリョーコ横浜横須賀】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2009-10-22 18:07:26) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ささやかな幸せをテーマに緩やかに流れる物語…と思ってると案外そうでもない。それでも微妙なすれ違いなどは、気軽なコメディとして笑えるので力を抜いてみることができます。そんな感じでラストの結末がどうなるかに期待するような映画ではないのですが、気を抜いていたらラストでいきなり不意打ちをくらい混乱したまま終わってしまいました。 「意味わかんね」で、切り捨てられることも厭わない、賛否解釈分かれそうな映画です。好きだけど、なんか釈然としない。 近年こんなに自然な良い父子関係が見られる邦画は貴重。 勝手にしやがれのBGMもはまってます。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-02-14 23:01:16) (良:1票) |