36.《ネタバレ》 この作品では「死」というものをとても丁寧に扱っていると思いました。 「死とはこういうものだ」ではなく、それについて考えさせられるところが良いです。 それは、哀しくて暗い部分ばかりではなく、美しくて僅かに希望を持たせる(といったら変ですが)、そういうものを感じました。 「死」とちゃんと向き合って描いたときに、はじめて「生」をちゃんと描けるのかと思いました。 人が死ぬとはどういうことなのか?人は死んだらどこへ行くのか?ということを考えさせてくれる作品の一つです。 主人公もっくんが、死後2週間のおばさんの遺体を見たときにはじめて強烈な「死」というものに直面したのだと思います。 その恐怖からか、奥さんの広末涼子にすがり、彼女の生肌の匂いをかぎ、「生」にしがみついた場面は印象的でした。 このときに思ったのが「エロ」こそが「生」の絶大なエネルギーだということです(愛といったほうが良いのでしょうか?)。 しかし、広末涼子が奥さんとは良いですね。羨ましいかぎりです。 雪景色に白い肌でセーターを着ている姿というのは、僕の理想とするところであります。 本当にファンの頃には、彼女の下着が見れるなんて夢にも思わなかったのですが、、、時間の流れってのは何が起こるか分かりませんね。 ただ、彼女の笑い方は作り笑いっぽいところが僅かに気になりました。 この作品がアカデミー賞をとったのも、何となく分かるような気もします。 どっかの野蛮大国の映画では「死」というものが非常に使い捨てで粗雑に描かれています。自分たちのヒロイックさを象徴するためにです。 それを、ここまで丁寧に「死」を美しく儚く繊細に描いている映画を観て、考えさせられる部分もあったのかもしれません。 それに「葬式」という儀式に、日本の美しさというものが非常に良く表れていたのではないでしょうか? 《追加》あと、どなたかが書かれているとおりですが、モックンが丘の上でチェロ弾きですが、そりゃ「千の風になって」か~っ!、、、とも思いました。 【ゴシックヘッド】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-12-21 00:57:11) (良:1票) |
35.《ネタバレ》 映画の出来云々というよりも、このテーマを娯楽映画として成立させることができたことにとても意義があったと感じましたね。
死に「穢れ」を感じる日本人は少なくなく、死に触れることはタブー化されている中で、「死は終わりではなく新たな旅立ちなのだ」というメッセージを多くの人に伝えることが出来たのですから。 【TM】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-12-12 11:57:07) |
34.《ネタバレ》 いいキャスティングでしたね。 詰め将棋のおじさんが門番をしていた、という設定もよかったです。 エンドロールも、成程そういう映像か、と思わせる好きな出来でした。 欲をいえば、もう少し短くできたような気がします。 山形の美しい自然を数々の映像で観せてくれましたが、ちょっと多いかな。 いいロケ地をみつけたなぁ、とは思いますが。 【hyam】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-10-23 16:23:02) |
33.《ネタバレ》 今作を 「フラガール」 や 「スウィングガール」 、そして 「ウォーターボーイズ」 のように 「納棺師」 という未知なる種目にチャレンジしていく
「パフォーマンス系映画」 の一種
のようなものだと早合点していました。
実際は、 「納棺師」 となったことによって大きなトラウマを克服していく、
「魂を救済する」 物語 であったのです。 ↓文字数オーバーのため 日記のリンクを貼っておきます。 ネタバレ注意! http://ouiaojg8.blog56.fc2.com/blog-entry-97.html 【マーク・レスター】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-10-20 23:34:22) |
32.《ネタバレ》 極論を言うと葬儀という儀式は死者というよりは残された人のためにあるものだと思っています。 本作は残される人々を通じて生きることを描いています。生きることへの執着を見せるよりは淡々と死を見せることで残された人々がどのように受けとめるかということなんでしょうね。ある人の人生をたどるという作品はありますが、かなり新鮮な視点だと思いました。 序盤では納棺師が他人の死を外側から眺めている一方で、生の象徴として食べ物がしつこいぐらい登場します。次第に自分に身近なところに死が近づいてきて、最後には生き別れの父の死に向き合うことになります。傍観者に過ぎなかった大悟たちを当事者にするためには、どうしてもご都合主義にならざるを得なかったのですが必要な展開だったと思います。広末涼子の演技が気持ち悪かったことや土手でのチェロがややくどかったのですが、山形の美しい風景もあって爽やかな映画でした。 【飴おじさん】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-10-03 22:07:11) |
31.いや~いい映画だったなぁ…少し前に亡くなったおばあちゃんを思い出して何度も涙しました。山崎努がいい味出してました。うん、これは良かった!ありがとう。 【イサオマン】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-09-28 22:09:31) |
30.《ネタバレ》 死というものを生業の一部としている人間の成長ドラマを描くと同時に、死というものを遠ざけている現代日本人の姿を浮き彫りにしていたと思う。スーパーで大量陳列されているような(死を感じさせない)肉は平気で触るし食べるのに、生きているタコには触ることができない。そんな妻の姿は、どこか自分とかぶるところがあった。今の日本人の象徴があのヒロスエなのだと思う。子供の頃は平気で昆虫とかゴカイとか触っていたが、今は触れることさえ勇気がいる。日常的に触れていないと、段々と想像力が台頭してきて、恐怖が勝っちゃうんですよね。現代社会も、「死」は現実より切り離され、病院や屠殺場に押し込められている。医学や流通の発展は生活に多大な恩恵をもたらしたけれど、精神面では何かを少しずつ欠落させていってるような気がする。だからこそ、この作品の発した「死とは普通なもの、自然なものなんだよ」というメッセージには、大いに共感する。死が身近に存在した昔の伝統的な日本の姿を思い出させてくれる、生きる活力を与えてくれる良い作品だと思う。そして、そういう活力の根源は「笑いと愛と食」だよなと再認識。中身については、ファーストシーンでぐっと掴まれた。その後の導入部はナレーションが饒舌すぎて気になったが、総じて脚本は巧い。「生と死」を根底の軸としている映画だと思うので、ご都合主義に見える死によっての問題解決も気にはならなかった。ところで、ルーズソックスに込められた愛らしさの表現や、川原で佇んでいる所に霊柩車のクラクション(あの独特の音)が鳴るという笑いは、日本に住んでいる人にしか伝わらないだろうなー。土手でのチェロなど、多少しつこい部分もあったのでこの点で。 【Nujabest】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-09-24 22:50:44) |
29.《ネタバレ》 日本という国の美しいところの一つが、こういった納棺師の仕事に限らずいろいろな所作を様式化するところにあるのでは、と思っています。茶道、華道、香道、歌舞伎に浄瑠璃、会席や寿司などの日本料理、相撲などの武道、そしてこの納棺の儀式・・・どれも非常に美しい。 題材的にいかにも海外受けしそうなのを選びました感が漂いますが(そこにチェロを絡めるあたりも)、自分は美しい所作に素直に感動しました。ストーリーも結構ベタベタですが(笑)、後味はさらっとしていて好きです。そして自分が経験した葬式や通夜と重ね合わせてしまって、結構涙が出ました。広末の演技もそこまで悪くないと思いますよ。それとカメラワークも好きです。対称の構図とかがさらに納棺の神秘性や様式美を強調していた気がします。
河に鮭が遡上するシーンであんな安っぽいおもちゃを使っていたりしなければ、本当に大切にしたい作品になるんですけど今の日本映画の作り方的に言って、そんなちょっとしたカットに本物の鮭を使うような時間も情熱もないでしょうね。日本の美しい文化を伝えようとした映画なのに、日本の映画界はそこまで美しい文化ではないと鮭が語っているようでした。それが残念。 【HAMEO】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-09-24 16:22:11) |
28.死というものを考えさせられるのかなと思ったら、 なんだかなぁ葬式に参加しているようでした。 それでも、お葬式ってのは心をものすごく整理整頓してくれる。 そういう儀式をしてる方々に感謝です。 おくりびとも、葬儀にかかわっている人への感謝が表現されているようでした。
いいものを表現していて、いい映画です。
【杉下右京】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-09-22 19:18:32) |
27.《ネタバレ》 納棺師という仕事の存在を知らずにいました。大変であるとかそういう事を抜きにして、大事な仕事ですね。誰でもいつか必ず死にますから。
私は過去に父をおくりだした事があるので、最後にモックン演じる大悟が、30年生き別れた父に仕事をする時のあの仕草がたまりませんでした。自分の父があんなぞんざいに納棺されそうになったら、誰しも無碍にはできないでしょう。
広末さん演じる奥さんが、夫の仕事を知ったときに「汚らわしい」と言ってたのですが、そう感じる方もいるんですね。そこは私には理解できない部分でしたが、女性ならではの感じ方もあるかもしれません。でも大悟は妻に仕事の事を言えずにいる時と、伝えた後に妻が出ていっても仕事を続けてる時では、明らかに後者のほうが生き生きしていて、なるほど天職っていうものなんだなー(社長さんも仰ってましたが)と思いました。
この映画がアカデミー賞で外国語映画賞を獲ったと聞き、やはり日本的で独特な文化をそのまま投影している部分が良かったのではないかと思いましたが、そこに様々な愛が重なったのも良かったです。
過去に1人でも愛する人をおくりだした経験をお持ちの方であれば、この作品は決して茶化せないでしょう。重みがあります。
モックンも山崎努さんも余さんも上手かったし、広末さんも頑張ってた。広末さんのあのしゃべり方のトーン、終盤ダンナを理解して包み込むような優しさが見事に出ていたと思います。
ただもう1人、火葬場で働く役(銭湯の常連さん)の笹野さんも本当に素晴らしかったです。この役者さんは本当に器用ですね、武士の一分ですっかり好きになりましたが、いい味を出しています。ますます好きになりました。
観る人が観たら、中盤~終盤の「愛」の描写がしつこく受けるように感じる方もいるかなと。久石譲さんの音楽も素晴らしいけど、素晴らしすぎるので一瞬冷静になってしまう方もいるかなと。それでも1度は観て損のない作品だと思います。死んで終わりではない、まさに「死を見届けるだけではなく、違う世界へおくりだす門番」役の見事な仕事ぶりに触れて、改めて「生きる」という事も考えさせてくれます。いい作品だったと思います。 |
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26.賞総なめ、と言うのもだてじゃなかったです。抑えた演出も好印象だし、その中にユーモアも入れられて重い感じになりそうなテーマを誰もが受け容れ易くさせている配慮が効いている。山崎の演技もよかったし、本木さんの戸惑いや迷いを表現する表情もよかったです。ただやはり広末さんの舌足らずな発声は映画の格調の中で異物感を出してしまったことは残念に思いましたが、彼女なりに頑張ったとは思います。本木さんのチェロにのせて、葬儀場面が流れていく場面は厳かさの中にも美しさを感じました。自分の死生観をあらためて考えさせてもらう機会を与えてくれて、日本映画からこういった作品が出てきたことを嬉しく思いました。そして、世界がこの作品を受け入れてくれたことにも感激しました。 賞獲りものはとかく少し厳しい目で見てしまいがちなんですが、素直に10点としたいと思います。 と思ったけど、アカデミー受賞の興奮で点数逆に甘すぎたのが他の作品の自分の評価と相対的に比べると否定できない。8点に変更。 【タッチッチ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-09-09 10:58:58) |
25.《ネタバレ》 アカデミー賞を取った作品と言うことで、観ても損はしないだろうなと思いながらも、ついつい観そびれて、最近wowowで放送したのでやっと観ましたが・・・ 思っていた以上の感があった。
主人公が職業人として成長していくのは、ちょっと時間的に詳しく描かれませんでしたが、最終的に社長の期待どうりな納棺師に成長する。その過程で周りの職業への偏見という問題にぶち当たるが、妻とか幼馴染にまのあたりに納棺師としての仕事ぶりを見せることになり、理解と言うか偏見が無くなっていくところが描かれています。
死という誰でも避けて通れないことが、家族との永遠の別れになる前の納棺の部分で 描かれていますね。不覚にも涙が・・・そこが泣ける部分でしょうか・・・
これを観て家族より先に逝きたくなりましたね。自分は見るほうになりたくない・・ かといって自分が先に逝けば家族に見せることになるんですね~ ああ どうしよう・・・
【teruru】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-28 16:32:39) |
24.日本が誇る「邦画」。こんな正統派で海外作品と戦えるとは。 【わさび】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-08-16 04:36:31) |
23.《ネタバレ》 心の琴線にふれる映画でした。友人にもっとまともな仕事につけやとなじられ、妻に普通の仕事じゃない、はては「穢らわしい!」と吐き捨てられる、本木演じるまじめな納棺師。彼の真摯な態度、誠実な姿勢に心うたれました。もし、わたしが死んだら、彼のような真摯な納棺師に見送っていただきたいと思います。実は、私もいたく感銘を受けたおみおくり体験があります。故人の旅支度を納棺師と身内のものでおこなった体験です。立派な納棺師の立ち振る舞いとお言葉に促され故人の旅出ちを手伝いました。そこにはずっしりと生と死がつながっている実感がありました。納棺師、尊いお仕事だと思います。人生の最期によい納棺師にお会いしたいものです。だって、みんな誰でも死ぬんですよ、それがちょっと早いか遅いかの差だけです。チェロの音が澄んだ空気、田舎の風景にとてもマッチしていました。アカデミー賞おめでとう。 【杜子春】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-10 17:20:34) |
22.《ネタバレ》 僕みたいなすれっからしの人間になってしまうと、洋画ならともかく、こういう地に足が着いた良心的に作られた邦画の場合、序盤で大体のその後の展開を読んでしまうという悪癖があるんです。自分でもつくづく嫌なヤツだと思ってるんですが。失業→帰郷→納棺師としての再就職→悪戦苦闘の日々→職業意識へ目覚め→妻を含めた周囲の偏見無理解に対する反発・・・。ここまでで殆どブレがない予定調和な展開に、正直びっくりしてしまいました。銭湯のおかみさん吉行和子の死により、一気に全ての軋轢が実に都合良く氷解。ずっと引っ張ってきた父親との和解も含め、なんら驚くべき展開はなにひとつなかったんですが・・・。でも、なぜか泣かされましたね自分は、この映画に。分かっていながらも泣かされてしまう、この作品にはそんな予定調和を凌駕する力強さが備わってると思います。邦画の最良の部分が巧く出せています。本木&広末の夫婦コンビも悪くないけれど、この映画に厚みと風格を与えた最大功労者は、ベテラン納棺師役の山崎努! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-26 13:18:31) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 良かった。特に広末演じる奥さんが良かった。芯がしっかりしてるけど、夫を立てて、甘えた口調でしゃべる、きれいな奥さん。本木君がキネ旬の賞をもらったのもうなづける。彼は真面目だ。脇役も山崎努さんが、圧倒的な存在感をもちながらもでしゃばらず、いい演技をしてた。とにかくだれないで最後まで観させてくれた、ここ何年かの日本映画で一番の直球だった。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-02 17:07:35) |
20.《ネタバレ》 良かった。そしてとても勉強になった。感想として、石のエピソードがアカデミー賞会員の心を惹き付けたのかなと想像。1つ注文をつけるとすれば、妻は広末さんのイメージではなかったかな・・・。 【あるまーぬ】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-06-25 00:49:29) |
19.アカデミー賞を受賞したからといって良い映画とは限らない。こんな公式は映画ファンなら誰もが承知していることだろうが、やはり邦画が受賞したとなると嬉しい気持ちがないわけではない。受賞直後に本作の興行成績がうなぎ上りに上昇したことは記憶に新しいが、こういったコテコテの純日本産の作品が世界で認められたというのは日本人としてはやっぱり喜ばしいことなんではないだろうか…。話が逸れたが、実際のところ映画の出来自体は平凡なものだ。しんみりと感動したいと思って見てみたら、じわじわと感動出来て良かった、といった程度のものであろう。だがこの作品の偉業はそこではなく、やはり“納棺師”というテーマに着目したことにあると思う。こんな職業があることなんて日本人の多くは知らなかっただろうし、そもそも「死」というものに進んで興味を持つ人はあまりいない。そんな取っつき難いテーマを、前半の程よいユーモアを交えて見やすく知れたというのが、本作を見て良かったと思える部分だろう。職業差別を受けるところなどはやや過剰な気もしたが、全体的にウソ臭さもなく映画にすっと入っていけた。そして何より、劇中に出てくる食べ物がおいしそうなのだ。考えてみれば、我々は「命あるもの」を食しているわけなんだが、この鮮やかな描写も実に心地よい。認められて然るべき作品だとは思う。 【ドラりん】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-04 23:29:08) |
18.《ネタバレ》 主人公の本木雅弘が、銭湯の女将さんの納棺を広末涼子や杉本哲太の前でするシーンで自然と涙が出てきました。納棺師という職業の世間的な理解の低さがよく描けていたと思います。肉親や身近な人を亡くしていると、その当時をつい思い出してしまう。いい映画だと思いました。 【ホースケ2号】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-30 14:23:52) |
17.前評判のせいか、「え!?これで終わり?」という感じでしたが、随所で泣けるシーンもあり、なかなかよかったです。ただし、広末涼子はいただけない。主人公の妻役がもっと演技力のある女優さんだったらいっそう素晴らしい映画になっていたはず。 【あおみじゅん】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-22 14:21:10) |