4.《ネタバレ》 近年、邦画で大流行している「泣ける映画」とどう違うのか分り難いです。“ギターを弾きながら歌う魂の歌”も“愛する人に捧げる角膜”も、何処かでみたようなエピソード。確かに感動的なお話ではあるけれど、オムニバスの中の1篇では扱いが軽い。それよりも、監視社会や国家繁栄法といった本作のウリとなる奇抜な設定部分を掘り下げて欲しかったと思います。「時が来るのを待て」という意味深な台詞を吐いた上司、洗脳が完了していないであろう劇団ひとり。反管理国家の火種らしきものが見えたところで終わりでは、どうにも不完全燃焼です。主人公の派手なレジスタンス活動を期待する訳ではありませんが、彼の苦悩と葛藤そして“足掻き”をもっと観たかった。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-26 04:26:15) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 厚生保健省の国家公務員に採用された藤本賢吾の仕事は、死亡予告証:通称“逝紙(イキガミ)”を、配達すること。国家繁栄維持法により、全員が幼少時に注射された中に0.1%で無作為に入れられたナノカプセルが設定された日時・時刻に破裂する。その少し前にリストアップされた、18~24歳の若者が対象先となる。言われるままに配達して、その人間の最後の生きざまを見届けているうちに、様々に葛藤が生じていき・・という話。
映画では説明不足ですが、原作では政府内で縦割りに工程を分けて情報を分断し、カプセル破裂日数カ月前でデータをマージするという、お役所的発想をうまく取り入れ納得させていますw デスノート的な感じながらデスノートより簡単に多くのバージョンが作れそうな、シリーズ化にもってこいのコンテンツと実感^^ 人の生死を握られているという設定は、「デスノート」や「死神の精度」などの死神系も多いんですが、政府管理系の作品は枚挙に暇ないでしょう。
本作エピソードは3つ。スカウトされたはいいが、かつての相棒を捨てて思い入れのない楽曲をあてがわれたミュージシャン。政治家の母親の過大な期待に押しつぶされた引きこもりの少年。交通事故で両親を失い、残された失明の妹をわが身なりふり構わず支える兄。これらの中で、一番好きなのはミュージシャンのエピソード。テーマ曲にも使われていますしねw 原作では、かつての相棒は事故で生死のさなかという設定なのですが、映画もこちらの設定にして欲しかったなぁと思ったりww
この原作の上手いところは、法により生死を管理された社会と、生を全うしながらも死を宣告されてしまう悲話を融合させたこと。逆に言えば一話で作られてきたような話を管理社会と悲話に分離させ、管理社会を主軸固定にしつつエピソードを複数分散化させたことでしょう。エピソード自体はそう目新しさはないものもあるし、そういう意味では、星新一の短編「生活維持省」を下敷きにした可能性はかなり高そうですね^^; 続編はいくらでも作れそうなコンテンツ。あとは泣けるエピソードを探せばいいんですから^^ 【尻軽娘♪】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-09-27 03:18:42) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 原作はヒューマニズムの押し売りと暑苦しい絵柄に辟易して、1巻途中でギブアップ。映画は原作よりは観易かったです。後半、盲目の妹をいたわるデキの悪いお兄ちゃんを熱演する山田孝之に感心。話はベタベタだけど、見入ってましたね。でも、それも局地的なショートストーリーとしての見応えであって、総体的に考えると納得できない映画でした。話は前後するけど、18歳から24歳までの間に1000人に1人が死ぬというイキガミのルールが根本的に変だろう。まず、1000人に1人が無作為に死ぬことは、不慮の交通事故などと同義に受容されると思う。それによって、命の意義を尊重する精神が芽生えるとは思えない。さらに、社会的なシステムで殺される不条理は、病気や交通事故の比では無いはずで、それによって起こる混乱の方が絶対に重篤。もし自分にイキガミが届いたら八つ当たりで核兵器のスイッチを押しちゃうね。この制度の弱点を人道的視点から匂わせていたけれど、それ以前にこんな制度で社会の生産性が上がる訳が無い。本来はストーリーが成立しない破綻した設定と考える。原作者は何か勘違いをしていないだろうか。少数の犠牲を許すのであれば、命のリミットを24時間ではなく3年後に設定するとか、24歳から30歳の間に何らかの成果をあげないと殺されるとか、効果がありそうなシステムは作ることは可能だけど、今作はお話を劇的にするためだけの24時間で、世界観と切り離された場所で孤立した感動を押しつけられているような印象です。自分はこの映画からは限りある命の意義を感じません。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-10-15 22:42:22) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 期待して観に行ったのですが、設定とそれに伴う演出が緩くて、きっちりとした世界観が構築されないまま紋切り型の感動話がダラダラと続くので、辟易として鑑賞しました。 体制を批判したり、ナノカプセルの接種を拒んだだけで拉致され、思想を矯正されてしまうという恐ろしい世の中にあって、繁華街の真ん中で、路上ライブでのんきに青春を謳歌できてしまうという不思議。 小学校入学時から、宝くじに当たるより遥かに高い確率でイキガミが来るのが分かっているのにもかかわらず、人々の心に確実に根差しているはずの恐怖や怒り、来るかもしれない「その時」に対するそれぞれの覚悟の描写がないというのは足りないし、独自の制度の下はぐくまれてきた親子や家族の関係など、この設定ならではの描くべきことが沢山あるはずなのに、最早選ばれてしまった青年と家族の「可哀相なドラマ」にストーリーがシフトしてしまうので、設定を念頭に置いて丁寧に編みこまれた作品というよりは、ただ感動話を設定の器にはめ込んで、手っ取り早くプレスして作った「缶詰」のような作品なんだなと思いました。 あの強硬な体制における配達人のエモーショナルな立場も、何かちぐはぐでなじめないし、選挙制度のある世の中で、あの狂った法律がまかり通っている理由も説得力に欠けていました。 ・・・結局のところ単なる安いメロドラマとしか思えませんでした。 【Beretta】さん [映画館(邦画)] 4点(2008-10-03 14:00:59) (良:1票) |