《改行表示》 27.みなさんも書いておられるが、橋本忍&山田洋二のシナリオのテクニックがすごい 何もこんなコンパクトにすることはないんじゃないかと思うが、これはおそらく興行上の理由なんだろうし、それにきっちり答えているのはすごい まあ、こういうプロットは使いつくされているので、3分の1くらいで、だいたいどんな話になるのかが分かるし、脚本のすごさにくらべれば、監督、音楽、俳優さんたちは、特筆するところはない しかし、この脚本で、今の日本の監督、音楽、俳優の人たちにやらせたら、学芸会レベルになるような気もする 戦後の日本の歴史の中で押しつぶされそうになりながら、必死に生きてきた女たち、というイメージがあるかないかでもだいぶん違うだろうし 【みんな嫌い】さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-04-17 13:38:09) |
26.登場人物たちが、ワッセワッセと情報交換をしながら、95分でサスペンスドラマを作り上げましたというような、なんだかメタな感触があり、それが妙な味わいでした。源流なんだけど、むしろ二時間ドラマのパロディを見ているような。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2024-01-13 16:52:21) |
25.《ネタバレ》 先月久しぶりに見た「砂の器」に続いて本作も15年ぶりくらいの再見。(以前も見たのは「砂の器」の後だった。)本作は野村芳太郎監督にとって2作目の松本清張原作映画になるのだが、脚本に「砂の器」と同じ橋本忍と山田洋次監督を起用しており、「砂の器」を見た後だとどうしても期待してしまう部分があり、以前に見た時はその期待が大きすぎたのか、イマイチに感じたのをよく覚えている。それを今回はそういう期待を抱かずに見た。主要人物となる女性三人の人間ドラマは魅力的だし、本作でも印象に残る海の美しさはやはり野村監督らしいと思うし、三人を演じる久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子の演技もそれぞれ良いし、白黒の映像も良い雰囲気を醸し出しているものの、脚本的にはあらすじを追っているだけというような印象があり、ややダイジェスト的になっていてドラマとして深みが感じられず物足りない。展開もスピーディーで、もっとじっくりとドラマを描いてほしかったところ。クライマックスの断崖での推理シーンは今では同じシチュエーションが2時間ドラマでもおなじみになっていて、本作がその先駆けというのは有名な話だが、けっこう歴史的なことだと思う。(テレビドラマではなく映画が先駆というのが意外な気もするが。)この推理シーンはさすがに緊迫感もあり、引き込まれる部分でもあるのだが、少し間延びしてしまった感もなくはなかった。事件の発端となる禎子(久我美子)の夫である憲一(南原宏治)の行動にもいささか納得しかねる部分があり、ここの部分をもっとしっかりと描かなければいけなかったのではないだろうか。また、「砂の器」同様に暗い過去を持つ犯人だが、彼女を通して元パンパン(米兵相手の売春婦)だった女性の悲劇も描きたかったようで、むしろそれが本作のテーマでもあると思うのだが、やはりこれらのドラマを丁寧に描くにはとても95分では足りずにあとせめて一時間くらいは必要だったと思う。やっぱり今見ても全体的な印象は薄く、物足りなさの残る映画だったが、それでも以前見た時よりは楽しめたし、けっしてつまらない映画でもないと思う。田沼久子を演じる有馬稲子は明るい顔立ちをしているが、「東京暮色」しかりこういう悲劇的な役柄が意外に合っているような気がする。犬童一心監督版も見てみよう。(2018年9月15日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2023-05-18 18:46:13) |
《改行表示》 24.これ以上短い「ゼロの焦点」は作れないんじゃないか、と思うくらいの細密充填構造。折りたためる部分は徹底して折りたたみ、コンパクトに仕上がってます。 ラストは定番中の定番(それともこの作品が元祖なのか?)、断崖絶壁の上。と言いたいところだけど、ラストというより、後半まるまる、といった感じ。これも映画をコンパクトに仕上げる工夫かもしれないけれど、それにしてもこの断崖の、見事な絶景ぶり。ロケーションの素晴らしさでもって、作品の素晴らしさが約束されたようなもんです。 原作は、松本清張の代表作の一つでありながら、社会派の要素が強く、ミステリとして読むと少々物足りない気もするんですけどね。映画はまた違った魅力を付け加えてくれました。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-10 23:02:35) (良:1票) |
《改行表示》 23.言わずと知れた、松本清張ベストセラー小説の映画化。 原作自体の出来がいいこともあるんだけど、シナリオもうまくまとめたなぁという印象。 ただし上映時間が短い分、登場人物たちの人間関係における心理描写などは、やはり薄いというか物足りないです。 一応ラストは盛りあがりの見せ場を用意したものの、逆にそこだけが浮いてしまって、結局芥川也寸志の音楽が一番ドラマチックだったという皮肉な結果に。 それでも推理要素が多分に織り込まれていて、普通に満足できるサスペンス作品ではあるかと。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-06-23 13:51:42) |
《改行表示》 22.《ネタバレ》 前半は物語が淡々と進み、1時間で犯人にたどり着くほど展開が非常に早い。私は原作を読んでおおよそ覚えているのでついて行けるが、初めて見る人には厳しいと思うくらいだ。しかしそれが凄い緊迫感になっている。 そして能登金剛の断崖に立ってから、推理と告白によって真実が解明されていくが、それが鮮やかでもあり、暗い過去を持つ女性の悲しみがよく表されている。それに冬の日本海と白黒の映像が実に見事だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-23 23:52:12) |
21.この内容で95分は凄いなとは思うんだけどナレーションで手早く説明することで達成できた数字なので手放しで褒めるわけにはいかない。とは言うものの原作ありの邦画サスペンスは大抵ナレーション過多が当たり前で、よほど原作に縛られない自由な環境を与えないかぎりはしょうがないのかなとも思う。列車、音楽、愛情のもつれ、崖で顚末がわかる、と完璧に後の火曜サスペンスあたりに受け継がれた鉄板アイテムを堪能してください。ロケーションも時代を反映していて楽しめます。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-11-09 15:33:47) |
《改行表示》 20.《ネタバレ》 娼婦という忌まわしい過去をもつ女が、不用意な一言により正体がばれ、殺人犯となる。新婚の妻が、夫の過去を調べてゆく中で、連続殺人が起り、犯人の過去が明らかになるプロットは魅力的。回想場面が頻繁に挿入されて見づらい。娼婦時代の哀切さが伝わってこない。 【妻の推理】 妻は、夫が巡査であったことと義兄と旅館で会っていたパンパン風の女の連想から、英語の上手な丸越会社の受付係久子を訪ねる。二人一目会っただけで、会話もしておらず、推理が飛躍している。 【成りすまし】 鵜原はどうして曽根に成りすましたのか?久子との恋の成り染めが、立川での巡査時代に知り合った元娼婦との北陸での再会だとすると、久子も鵜原を知っていた筈。譲って鵜原だけが相手を知っていたとして、どうして偽名を名乗る必要があるのか?相手が元娼婦だからといってそこまで用意周到になるだろうか。のみならず鵜原は、丸越会社社長夫人佐和子の計らいで煉瓦会社の架空社員の身分にまでなっていた。一介の営業マンが重要取引先の社長夫婦にそんなことを頼めるだろうか?頼めたとして、社長の関与なしに佐和子の一存だけでそのよう計らいが可能だろうか?架空社員といっても、死後に退職手当も払われていることから、給与も支払われていた。加えて、鵜原が実際に勤めていた会社は鵜原の住所を1年半に渡って知らなかったという。いくら時代が古いからといってでたらめすぎる。 【宗太郎殺し】 鵜原の兄宗太郎は初対面の久子(実は佐和子)と旅館で会う。宗太郎が鵜原から佐和子のことを聞いていたのなら、もっと早くに佐和子に電話連絡をする筈。宗太郎は久子の事を名前程度しか知らなかった。佐和子は何も知らないで押し通せば良いのに。又佐和子はどうして毒入りウイスキーを用意していたのか?宗太郎が誰にも知られずに内緒で久子と会うことをどうして知ったのか? 【その他疑問点】 ◆鵜原はどうして2葉の写真を所持していたのか?久子の家はともかく、佐和子の家はどうして?佐和子の正体は死ぬ直前まで知らなかった筈なのに。 ◆殺人動機は、佐和子が自分の幸福な暮らしを守ろうとした事だが、あの社長じいさんとの暮らしが幸せとは思えない。うらやましいどころか、かわいそうに思える。 ◆青酸カリの出所は? ◆ラストの謎解きパートが間延びし、佐和子の死ぬ場面が無い。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-07-29 23:17:43) |
19.《ネタバレ》 崖の上で謎解き、犯人を追い詰める。これぞ2時間ドラマの原点ですね。野村芳太郎監督と橋本忍脚本となれば、面白くならないはずがない!今ではとても考えられない二重生活、その当時なら、可能性として充分ありえたでしょうね。 【ramo】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2011-07-09 01:51:49) |
18.犬童監督の「ゼロの焦点」を先に観て、ストーリーを知っていた為、映画への集中力が続かず、作品にのめりこめなかったです。謎解きの部分が説明っぽくて、個人的には犬童作品の方が映画的に良く整理できていたんじゃないかと思ったのですが・・・白黒は苦手だ。ただ野村芳太郎作品のこちらの方が登場人物(特に犯人)が「モンスター」ではなかったですね。ドラマチックではないですけど、その点は良い意味で評価できるんじゃないかと思います。白黒に慣れてる人だったら、自分にもありうる展開と思えて、感情移入できたんじゃないか?と思うのです。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2010-11-13 04:33:55) |
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17.原作既読ですが結婚一週間で失踪した事しか覚えていません。画面から漂う陰鬱な空気が作品を盛り上げてゆくはずが、誰にも惹き込まれず、謎解きの妙も薄く、崖上のドラマも盛り上がらず。いまいちな作品でした。 |
16.《ネタバレ》 う~ん、いくつか腑に落ちないことがあって映画全体の印象があやふやです。憲一は、内縁関係の久子に終始偽名を使っていた。職場に関しても偽っていたようなので、結婚が契機にならずとも、いずれは久子の前から消えるつもりでいたのだろう。だとしたら、無理矢理な偽装自殺なんて計画しなくても、失踪するだけで事が足りたのではないだろうか。久子に憲一を捜し当てる手段は無いと思います。それ以前に、普通に「別れたい」で済むと思うのだが、優柔不断でそれが言えなかったのなら、内縁関係を維持したまま東京で結婚式を挙げるような大胆さも無いはずで、謎解きのキーポイントとなる憲一の二重生活に違和感が残ります。「ぱんぱん」という過去を持つ女性たちの社会的ポジションを悲劇の背景として見せたかったはずだけど、自分には憲一の特殊で不可解な行動に意識が収束して、テーマが希薄に感じられました。佐和子にしても「ぱんぱん」の過去を知られただけで人を殺すことに違和感を覚えましたよ。具体的に強請られるようなシーンは無かったものね。久子の健気さには、演じる有馬稲子の可愛さも手伝ってホロっとしましたが…。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-02-08 16:16:28) (良:1票) |
《改行表示》 15.《ネタバレ》 “北陸”という場所が非常にマッチした映画に仕上がっている。 冬の北陸へは数度しか行った事はないので、個人イメージというところもあるが、鉛色の空が似合うちょっと寂しい感じの街だった気がする。 本作において、新婚旅行のときだろうか電車に乗っている際に、金沢への憧れを表す妻と金沢に対する嫌気を表す夫のやり取りが印象的に残っている。 夫にとっては、金沢という場所は想像以上に孤独で寂しい場所だったのではないか(鵜原だけではなくて、社長夫人や久子も含めて)。 ハイヒールを履いて雪の上を歩く妻の姿を見れば、その憧れは単なる憧れであり、現実が分かっていなかったこともよく分かる。 そのため、“北陸”という過酷な地において、それほど好きではない久子とその孤独のスキマを埋めざるを得なかったのかなと感じられた。 それがこの“悲劇”の始まりだろうか。 本社復帰を何度か断ったというセリフはあったが、いったん泥沼にはまると抜け出したくてもなかなか抜け出せないというのはよくあることだ。 パンパンという言葉を初めて聞いたが、当時としては相当な差別対象だったと想像される。 どんなに偽っても、どんなに誤魔化してもそういった“過去”というものは消えず、“過去”は付きまとい、“過去”という亡霊に怯え続けるざるを得ないのだと思い知らされる。 また、人を愛するということは、その人の全てを知りたいと願うことなのかもしれない。 妻はたった7日間の結婚生活だったけれども夫を愛していた。 社長は妻のことを愛していた。 人から愛される度に“過去”というものが浮かび上がってきてしまうもののようだ。 人を愛さなければ、人から愛されなければ“過去”というものは問題ならないのかもしれない。 “過去”というものが非常に厄介なものだということも思い知らされる。 “謎”自体はそれほど複雑で面白みのあるものではないが、それがまた何かを感じさせるものとなっている。 一瞬の感情や偶然によって、事件が複雑に絡まってしまっているだけであり、真実はそれほどドロドロしいものでもなければ、計画的な残酷性があるわけではない。 それが悲しみを引き立てる効果となっていると感じられた。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-11-16 23:02:57) |
14.白黒だけど綺麗でした。青酸カリって、こわ!!!! 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-10-24 20:45:10) |
13.《ネタバレ》 ロマンス風味のよい感じのサスペンスになるはずの内容だったのですが、何の意味もない説明ナレーションの連発と、後半がほとんど全部主人公による真相再現で埋められているというバランスの悪さによって、えらく手際の悪い作品になってしまいました。久我美子の存在感は十分なので、脚本を整理するだけでずっと良い内容になったと思うんだけどな・・・。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-06-08 01:55:54) |
12.野村芳太郎監督、橋本忍と山田洋次という脚本、どうしても期待してしまう。相変わらず美しい映像美、今作は白黒であるが、それがまた良い雰囲気を創り出している。ミステリーというよりは女と女と女、三人の女のそれぞれの悩みのようなものを描いた人間ドラマとして見た方が良いと思う。三人の女優それぞれが良い演技、雰囲気を醸し出してはいるものの、全体的に物足りなさが残る。映画としてのカタルシスという意味で何か物足りない。作品の雰囲気は好きなだけにちょっと残念でもある。けして、つまらなくはないので6点ぐらいはあげても良い。それでもこの監督の他の傑作に比べるとインパクトにも欠ける。それにしてもこの作品の影響はかなりあるのではないかと思う。実際にあの海に飛び込み自殺する者が何人もいたらしいけど、そういう意味において何とも罪深い映画でもある。そんな気がしてならない。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-11-02 21:35:58) |
《改行表示》 11.内容はまったく別であるが、黒沢監督の天国と地獄の緊迫感に似ていた。 黒沢組の脚本を書いていた橋本忍氏が脚本を担当しているからだろうか。 【孤島の鬼】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-09-17 02:01:32) |
《改行表示》 10.北の薄暗い寒空の下、冷たく暗い海のように、深い感情が沈み込む。 松本清張原作の「ゼロの焦点」は、思わずそんな文体を言い回したくなるような、文学の味わいが色濃く反映された奥深いサスペンス映画だった。 結婚後わずか一週間での夫の失踪。新妻にとってまったく訳が分からない状態から深まる謎と、徐々に明らかになる夫の実像。 巧いと思うのは、主人公である“妻”とミステリーの核心である“夫”の絶妙な関係性だ。 失踪した夫のことを心底心配はする妻だが、それと同時に実のところ夫のことを何も知らないという実情。だからこそ混沌としていく謎に対する感情。 その微妙な心理の妙は、まさに文体で創り込まれたものだということを感じさせる。 そして、その妻の心理の上に、さらに二人の女の感情が積もる雪のように折り重なっていく。 ミステリーに対する解放感と同時に見えてくる女たちの儚く切ない運命模様は、映し出される冷たい空気感以上に、凍てつくような情感に溢れている。 数奇な運命に翻弄された3人の女たち。それぞれに不幸があり、それぞれに救いもあった。それは、人生というものは決して比べられるものではないということを、物語っているようにも思う。 何にしても、“崖先ので真相解明”。もはやミステリーの常套手段でもあるクライマックス、その「原点」を見た気がする。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2007-08-12 03:40:34) |
9.《ネタバレ》 「鬼畜」といい「砂の器」といい、野村作品の描く「海」は毎度毎度と素晴らしく、ああ、この作品の時から凄ェのか…と感じた次第デス。火曜サスペンスっぽい、かぁ…否定はしないけど、テレビの三文サスペンスが爪楊枝なら、こりゃアオダモを使ったプロ仕様の圧縮バットといった感じ。大樹の雰囲気まではないにしろ、滅多なことでは折れない気骨入り。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-21 04:53:23) |
8.2時間サスペンスの原点となる映画なのでしょうか。満足度も良く出来た2時間ドラマを観たなって感じのものでした。サスペンスはモノクロのほうが重厚感が出て迫力がでますね。 【ぽじっこ】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-07-18 13:54:38) |