12.《ネタバレ》 ガンコじいさんがお隣さんと親しくなるという物語をこれだけ面白く撮れる監督が世界中に何人いるでしょうか?個人的には「チェンジリング」や「ミリオンダラー・ベイビー」の方が好みなのですが、それらは脚本の秀逸さや題材の特異さに支えられていた面もありました。一方本作は極めてシンプルであり、脚本レベルで特に目立った要素はなく、だからこそ演出力がモロに問われる作品だったのですが、これを面白く撮ってしまうというのは驚異的な手腕ではないかと思います。また、監督イーストウッドは、俳優イーストウッドを過大評価しておらず、自分自身の使い方を極めて正確に理解できているように思います。ジョン・トラボルタやブルース・ウィリス同様、この人は何をやってもイーストウッドであり、基本的にひとつの人格しか演じることができません。彼はそれをよく分かっているようで、自分に合わない役柄では監督に専念し、自分で演じるべき作品にのみ出演するという判断が的確になされています。西部劇で培った俳優イーストウッドのイメージを活用した「許されざる者」という傑作がありましたが、本作ではセルフイメージをさらに有効活用。あの流れで、しかも演じているのはイーストウッド。どう考えても仇討に行くものと思いますが、そうではなかったというオチにはやられました。彼ほどの人物ともなれば正直な意見を言ってくれる取り巻きはそう多くなく、自分で自分を評価することは難しいポジションにいるはず。さらに、成功した俳優は時に自分に出来ること・出来ないことを見失って、よく分からない作品に挑戦することもありますが、イーストウッドについてはそのような判断ミスを犯しません。これは驚異的な人格ではないかと思います。まさに映画の神様。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2009-12-21 17:08:47) (良:3票) |
11.チンピラは人種を問わず屑だと実感しました。 【TAKI】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-08-29 23:07:23) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 う~ん軽い衝撃。CGは皆無で、ピンボケしたような画面、金の掛かっていないロケ地とセット(グラントリノだけピカピカですが)、頑固オヤジで家族から疎まれている主人公…。序盤こそたるいな~…でしたが、ウォルトがタオに絡んだ札付きを追い払い、スー始め一家から感謝され始めてからは徐々に引き込まれました。それにしてもヒューマンドラマは魅せますね!地下室から小汚いフリーザーを引き上げるだけなのに、タオとウォルト2人の心情の変化が実に心地良く響きました。ウォルトは、朝鮮戦争での自ら犯した罪にずっと囚われ、死に場所を探すだけの人生だった?いや、頑固オヤジとは程遠いくらいタオ始め一家に様々なことを伝えてたのが実に印象的でした。気がついていたか?ヤムヤムはずっとお前のことを見ていたんだぜ。気持ちのこもった作品でした。 【黒兵衛】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-03-12 22:46:31) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 古き良きアメリカを象徴する名車「グラントリノ」をこよなく愛する古き良き時代のアメリカ精神を持つ(と自負する)ウオルト翁は、自分の子供達にその精神がなく、実利的すぎて好きになれない。一方で朝鮮戦争で少年のような敵兵を殺戮したことを命令とはいえ、深く罪の意識を持ち続けている。そこにベトナム戦争で故郷を追い出されてアメリカに移民せざるを得なくなったモン族の少年と姉とに深く関わるようになる。これで草の根保守としてのクリントイーストウッドが現代アメリカ社会へ訴えるメッセージのお膳立てが揃います。理不尽で許せない無辜の市民への暴力(911とか)にはダーティーハリーならば見るものにカタルシスを覚えさせる百倍返しの暴力(イラクやアフガン)で答えるところですが、自身は無防備でアジア人の悪ガキに蜂の巣にされ、悪人の始末は公正な法の裁きに委ねるという「選択」は今の米国では考えられない結末でしょう。硫黄島の二部作でも日米の戦う(戦争でなく)意味の違いを際立たせてよく日本に好意的な映画を作ったなあと感心したのですが、イーストウッドはアメリカ人を幸福にしない第二次大戦以来のアジアへの侵略は保守として納得できないことを改めて訴えたかったのだと思います。最終的に古き良きアメリカの象徴グラントリノをウオルト翁は身内でなくアジア移民のナイーブなタオ少年に譲り、次代のアメリカの夢を託すという結論になるのですが、この結末にどれだけの現代アメリカ人が共感できたのか直接聞いてみたい気がします。娯楽映画としては見れませんが、イーストウッド最期のメッセージがこれかということでこの点数。 【rakitarou】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-10-22 23:15:31) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 ずしりとくる良い映画でした。ただ、タオがあまりに犠牲無く多くのものを手に入れているのが気になりました。もちろんウォルトの愛情によって与えられた幸福なんですが、そこだけが違和感です。 【アフロ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-06-08 15:12:26) (良:1票) |
7.禁酒&禁煙中に本作を観るのは辛い。爺さんが美味そうにビール飲むからなー 【くまさん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-07-12 23:50:12) (笑:1票) |
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6.《ネタバレ》 つまらない映画とは言わない。よいストーリーだし、イーストウッドの演技は素晴らしい。ただ、映画らしいと言えば映画らしいのだが、善人対悪人というステレオタイプから変化がない。悪い人は、ただ悪いまま。へそ出しの女の子も、息子たちも、最初に見たままの印象で終わってしまう。私にとっては“感動の映画”ではなかった。【超ネタバレ注意→】最後の展開は予想できたし、あれくらいしかないだろう。そこが見えてしまったのが心が惹かれなかった理由だとも思う。そもそも、それまで何回も銃で脅していたこと、犬を預けたりして「撃たれに行く準備」をしていたこと、“犯人”側に計画性がないこと、それどころか被害者が内ポケットに手を入れて素早く抜きだして撃つふりに見えたことを考えてみれば、彼らに重い刑が科せられるかどうかも怪しい。わざわざ「長い刑期になる」というセリフが入っているのはそのためかもしれないが、不自然な印象を持ってしまうラストだった。 【mohno】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-28 22:39:12) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 隣人が暴行された後の終盤の雰囲気が重々しく、またストーリー展開がベタになりかかっていたため、後味が悪くなりそうだなと思って観ていましたが、最期のライターに救われました。かなりの頑固爺がけっこう簡単にお隣さんと仲良くなってしまったり、ただのチンピラ風情が洒落にならないほど銃乱射してきたりなど、展開が唐突すぎると感じた部分もありましたが、ラストはイーストウッドが自らの引き際を演じているように思えてグッときました。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-05 22:34:48) (良:1票) |
4.きっと,この作品はイーストウッドの遺書なのでしょう。アメリカンスピリットの象徴たるグラントリノを引き継ぐ者は,アメリカ出身・白人でなくとも,血がつながっていなくても構わない。イーストウッド評価で「魂のあるヤツ」が,後継者ってわけですね。ラストシーンの独唱。役柄を超えて,イーストウッド本人が「俺のバトンを受け取ったか?後はよろしく。じゃあな」って言ってるように聞こえて,ちょっと寂しかったですね。 【veryautumn】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-23 17:37:50) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 中盤までの流れは良い。人種差別者の頑固オヤジがお隣のアジア人と打ち解ける。オヤジが変わるだけじゃなく、お隣のタオだってオヤジのおかげで強くなり始める。本当はこれだけで良いと思う。十分明るさを残してラストを迎えられるハズ。 なのにイーストウッドは終わらせない。仕返しされる事は予想範囲内だった。しかし、レイプまでする必要があるのか?殴る蹴るの暴行を受けてあのように顔を腫らしているで良いのではないか。イーストウッドの作品は家族のあからさまにヒドイ態度など、わかりやす過ぎる悲劇の表現が溢れている。 生き様は十分伝わったしシビれた。しかし、ベクトルが余計な程に負の方向に向かい過ぎている印象。 【HIRABAYASHI】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-01 16:25:07) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 本サイトでの高評価が気になり鑑賞。大まかな展開はあらかじめ知っていたが、最後まで引き込まれながら鑑賞できた。白人の頑固じじいとその子供たち家族、教会の若い神父と、隣に越してきたモン族一家、そしてモン族のヤンキー達という、狭い範囲での日常がドラマになっている。頑固じじいの家と隣家の俯瞰ショットを多様し、非常に落ち着いた画作りが印象的。その分、その穏やかな日常を破壊しようとするヤンキー達が観る者にもより「うっとうしく」感じるように描かれている。自分の死期を悟った頑固じじいの心情の変化を愛車グラン・トリノと二重写しにして丁寧に描いた点は評価できる。ただ、頑固じじいの「最後」については、そうすることが本当に良かったのか、という疑問が残る。この一件で頑固じじいは勇気をもって変わることができたが、隣家のモン族の若者にも、車や束の間の平穏を手に入れることだけでなく、最後にもっとその人間的成長が見られれば、かなりの傑作になったと惜しまれる。蛇足だが、この作品の背景には、アメリカの銃社会が庶民にまで浸透していることが良くわかる。日本ではありえない展開だろう。 【田吾作】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-30 11:42:57) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 映画としてとてもいい出来で、見応えがあり、佳作だと思います お薦めします
以下ネタばれあり これから見る方は見てからお読み下さい
見終わった直後は9点の評価だったのですが4、3日して7点に評価を下げました それは 最後に「闘った」相手が町のチンピラギャングたち
主人公の老人が恐くて、腹いせに銃を家に撃ち込んだり 林家の姉弟を襲ったりするような、こどもたちであり、 拳銃を持っても、手が、震えているような連中だった
立ち向かうのが巨大な圧倒的な的な悪ではなく 大の大人がこんなこどもたちを相手にしていていいのとも思えてきた
妻の死後どう生きていいか、 死場所をさがしていた老人の気持ちはよく描かれているが 相手にさせられてしまった少年たちはあわれでもある
こんな連中は死んだ方がいいという思想が 殺すことと結びついていない展開は物語として素晴らしいが 相手の卑小さが悲しくもある これで7点に下げた
しかし アメリカンヒーローの終焉がかっこいいものとしては、終われない アメリカンヒーローは現代社会では卑小な相手ぐらいしか倒せない それが現代であると 意図して描いたのだとすれば10点を献上したい 【やわらかなひかり】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-06-08 23:34:11) (良:1票) |