《改行表示》 4.《ネタバレ》 JJになってからのスタートレックを3本続けて鑑賞したので、改めて総括的なレビューを書いてみます。 新シリーズ、単発では観た事あったんですが、続けてみると少し印象が変わってくるな、と。 まず大前提ですが、私はオリジナルの宇宙大作戦等にそれほど思い入れはありません。子供のころリアルタイムでときどき観てはいましたが、こだわりはないので熱烈なフアンの方とは意見が異なるかな、と。 さてまず3作を比較すると断然面白いのはやはりこの1作目だと痛感します。 リブート1作目ゆえ、まずは各キャラクターを紹介しながらの導入になるわけですが、ここが上手い。 面白いシーンのみを細かくつないで過不足なく紹介していくため、観ていて全く飽きないし、キャラクターがよくわかる。 そもそもこの映画、最初から最後までずっと緩急の「緩」がなくひたすら小クライマックスが続いていくある意味すごい娯楽映画。 普通だったら当然飽きるというか食傷気味になるわけですが、この映画の場合、そのエピソードが抑え気味でやりすぎ感がないためずっと食入りで観ていられるという本当に見事な娯楽映画になっています。 そもそも79年最初に作られた劇場版は2001年の影響でしょうが、ひたすら冗長で無駄に芸術的。私、リアルタイムで劇場で観ましたが客が自分入れて3人しかいなかったのを覚えていますが、実際日本ではイマイチな評価だったと思います。 そのつぎの劇場シリーズは自分にとってなじみがないメンバーなのでやはりイマイチ。 初期メンバーであらためてリブートしてひたすら娯楽作に振ったこの映画こそ、(少なくとも自分は)望んでいたスタートレックの姿だったんだな、と痛感したわけです。 ちなみに今回のシリーズ2作目では(しょうがないんですが)やりすぎ感が出てきてしまってるし、3作目は監督が変わった影響でしょうかそもそも何やってるかわかんないとこが増えているように思いました。 それがこの1作目では「ちょうどよくかつずっと面白い」を維持しているわけで、さすがリブート1作目、よほど力を入れて作ったんだな、というのがわかります。 あと、吹き替え版だと1作目はカトーやウラという過去のテレビシリーズに沿った役名だったのに、2作目はオリジナル通りのスールーに変わっていて続けてみると違和感バリバリ。オリジナルを知らない人が観れば「え、何これ名前変わってるんだけど、何かの伏線なの?」と余計な誤解しかねない状況です。 これはどうにかならなかったんでしょうか… 【あばれて万歳】さん [インターネット(吹替)] 9点(2019-12-27 11:41:18) (良:1票) |
《改行表示》 3.必ずしも映画に限ったことではないかもしれないが、優れたエンターテイメントに不可欠なものは、何を置いても“手際の良さ”だと思う。 作品の規模が巨大になり、ブロックバスター化する程、その要素を制したクリエイターのみが娯楽性を制し、ヒット作を連発するのだと思う。 その素養を今最も備え“エンターテイメント”においてもはや「スピルバーグの後継者」とまで言わしめる存在になったのが、今作の監督J・J・エイブラムスだ。 彼の手掛けた映画をもう何作も観てきたが、どの作品にも感じることこそがその“手際の良さ”であり、それは即ち「娯楽」を創造する巧さだと思う。 世代的な乖離もあり、この作品を観るまで「スター・トレック」というSFエンターテイメントの一大ブランドに全く触れたことがなかった。 壮大なスペースオペラシリーズとして、しばしば「スター・ウォーズ」と比較されるが、世界的にファン層の広い「スター・ウォーズ」に対して「スター・トレック」はよりマニアックな印象を受け、何となく踏み込めない“領域”だった。 しかし、そういった観客が持つある種の「障壁」も、J・J・エイブラムスは持ち前の“手際の良さ”で見事に乗り越えてみせている。 エンディングタイトルが表示された瞬間、思わず「素晴らしい」と言いたくなる。 それくらい想像以上に充実したSF世界を見せてくれる。 何よりも素晴らしいのは、「無音」の表現だ。 「スター・ウォーズ」をはじめとして、宇宙空間の中での激しい戦闘を描いた映画は多々ある。 しかし、激しい戦闘シーンにおいて、“静寂”を挟み込み、宇宙空間の本質である「無音」と「闇」を観る者に意識させる映画は余り無い。 エンターテイメント映画である以上、シーンが激しくなればなるほど、大迫力の戦闘音は映画の表現として不可欠なものだろうが、実際の宇宙空間においてはどれほど激しい戦闘が繰り広げられようとも決して「音」は生まれない。 そういう「宇宙」そのものの基本的概念をこの映画はしっかりと意識し、その上に卓越したエンターテイメントを構築している。 おそらくそれは、この有名なスペースオペラのシリーズを通じて引き継がれてきた要素なのだろう。 「宇宙」に対する崇高なまでの美意識、それに裏打ちされた圧倒的に魅力的な世界観に、突如生まれた“ブラックホール”の如く吸い込まれそうになる。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-09-19 01:40:02) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 NHKで放送していたTVドラマが大好きでした。奇想天外な筋書きと素晴らしき人間模様、そして壮大な世界観に少年だった自分は魅了されました。トレッキーではありませんが、“スター・トレックは面白い!”という意識は心に強く刷り込まれました。その後目にした劇場版もTV新シリーズも(全部を観た訳ではありませんが)、全て“確実に”面白く、自分の中で『スター・トレック』は絶対的な価値を持つブランドとなりました。そこで本作。率直に言って最高でした。カーク船長、スポック、マッコイ医師…。耳慣れた名前を聞く度に、オリジナルメンバーの顔が脳裏を過ぎり、本作の若者たちの姿と重なって行きました。みんな若々しく、少しやんちゃな未熟者で、でも本質は自分が知るエンタープライズのクルーと変わりないように思えて、彼らの成長を想像するのが嬉しくて楽しくて。予備知識が無くても、十分に楽しめる質の高い映画には違いありませんが、『宇宙大作戦』を知る者にとっては、格別な仕上がりだったと思います。レナード・ニモイのキャスティング、そしてエンディングの懐かしのナレーション。シリーズファンに向けた心遣いを確かに受け取りました。サイエンス・フィクションよりもアクションエンターテイメント色が濃い点は、シリーズの赴きとは異なりますが、それも悪くないです。若いんだから、動かなきゃ。というか、スタートレックと名の付くものなら、なんでもOKってくらい信頼度はMAXまで上がっています(笑)。是非ともこの面子で劇場シリーズ化をお願いしたい。ナイスなサブキャラたち(サイモン・ペッグ&毒チワワみたいなヤツ)の活躍が観たいです!劇場鑑賞なら間違いなく10点でした。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-06-18 21:08:52) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 期待に違わぬ秀作だった。かつて人気のあったシリーズをリメイクするのは、ときにリスキーな仕事だが、本作はじつにうまく、古くてまったく新しいスタートレックの世界を生み出していた。 映像の美しさや特殊撮影の質の高さなどは、おそらくほかの方が言及されると思うので、ほかの部分に着目すると、カークとスポックという双璧を為す二人の人物像の再プロファイリングが大変興味深い効果を発揮していた。若きカークは「宇宙大作戦」のカークより、一層際立ったキャラとなっており、喧嘩っぱやく直情的でよりダイナミックな個性の持ち主。しかし、ただ激しい性格というだけではなく、事象を冷静に見つめる鋭利さもそなえている。他方、スポックのほうは相変わらず“論理的”で冷静ではあるが、こちらも内面には豊かな感情を秘めていることがオリジナルよりはずっとあからさまにされており(ウフーラとの超豊かな感情交流には驚き!)、ひと味違うスポックとなっている。 そうしたキャラの再設定のおかげで、カークとスポックはまるで表と裏を引っくり返したような存在となっていることに気づかされる。外面は激しく内面は冷静なカークと、外面は冷静で内面は激しいスポック。両者はあたかも鏡に映った一つの個性のようで、プラスとマイナス、凸と凹を思わせる。他の追随を許さない特別な関係となることが、そんな人物像の組み合わせで示唆したのは見事。 オリジナルに対するリスペクトを十分に示しながらも、パラレルワールドのようなまったく新しいスタートレックの世界が誕生した思いがする。今後、本作では登場しなかったクリンゴンなどがどんな味付けをしてくれるか、とても楽しみだ。 あえて一つ突っ込んでおくと、本作は生まれ変わったシリーズのお披露目的色合いが濃かったゆえとは思うが、スタートレックを味わい深いものにしている哲学的テーマが見出せなかったのが若干物足りない。2作目以降では、ぜひ表面的なストーリーに加え、底流を支える深遠なるテーマの設定を求めたい。それがスタートレックをして、単なるスペースアドベンチャーものとは一線を画しているポイントなのだから。 【delft-Q】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-05-31 00:30:49) (良:1票) |