11.《ネタバレ》 世に言う殺人犯とはまことに憎むべき血も涙もない凶悪犯罪者だと思うけど、この好青年が第一級殺人犯になりさがり死刑になる結末まで手に汗握りみました。この青年の苦悩は他人事のようではなく、「あーあ本当のことを言ってしまえば、あんなに根は正直者なのに」と思いながら、そのタイミングを逃し、最悪の末路へと堕ちていくところが哀しく、人間としての弱さなんだなーと思いました。その弱さを自分自身も持っているところが分かるので、この映画引き込まれました。教訓:美しい女性にはくれぐれもご用心。 【杜子春】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-03-21 13:04:12) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 - A Place in the Sun - 原題まま。タイトルから上京した青年の成長物語っぽい爽やかな映画かと思いきや、実は身分違いの三角関係を扱った映画。なのはともかく、まさかのサスペンス。この意外性にヤラれました。 今ならよくあるサスペンスですが、私が妙に惹きつけられたのは、エリザベス・テーラーの美しさだけでなく、無駄に凝ったカメラ位置と音の入れ方です。
アメリカの発展を象徴するハイウェイ。ヒッチハイクする労働者階級の男の背中。振り向けば希望に満ち溢れた爽やかイケメン。『プヒポヒー♪』ここでアンジェラのオープンカーが通り過ぎます。高嶺の花の貴婦人。自分には廃品回収のオッサンの車がお似合いだ・・・このシーンでアンジェラにフォーカスしないのが良いんです。そして後々社長宅に現れるアンジェラ『プヒポヒー♪』振り向くと高嶺の花がこんな間近に!と、オープニングから前フリが素晴らしい。
社内恋愛禁止&女子寮侵入のスリルと、状況とは不釣り合いに陽気なボサノバを掛けるセンス。'51年の映画なのに。 湖の鳥の不気味な鳴き声が女の悲鳴のようにも聞こえる。刑務所の小鳥のさえずりも、きっとジョージを苦しめたに違いない。 ジョージとアリスが乗ったボートを、わざわざ船首から海面スレスレに撮った凝りまくりの画角を、ほんの一瞬しか使わないセンスも見逃せない。 アリスの事件を伝えるラジオ越しに、ボート遊びするジョージたち。ボートそっちのけでラジオにフォーカスするカメラの低さも唸らされる。 ヴィッカース邸に検事が来た時、わざわざクレーンで2階廊下のアンジェラをゆらゆら映し、部屋に入るアンジェラを壁ブチ抜きで映し続け、鏡越しに卒倒するまでを一連(※途中1階の議論が映るからワンカットではないけど)で収める拘りっぷり。
労働者階級と上流階級。恋愛の表と裏。真面目な青年と犯罪。陽のあたる場所とは何処を指すのか。 牧師の言葉「アリスを助けるべき時に、誰のことを考えていた?」心で犯した殺人。キリスト教らしい考えだけど、たしかに。人として重たく刺さる。 囚人が掛ける言葉「天国へ行けるよ(字幕)」聞き取りにくいが『ココよりは良い場所を見付けられるよ』みたいに聞こえる。これまたキリスト教らしい考えだけど、罪を認め、罪を償ったものが逝く先こそ “陽のあたる場所” なのかもしれない。
どうでも良いことだけど、この映画のエリザベス・テーラーって、どっかで観たと思ったら、手塚治虫のメルモちゃん(大人版)だわ。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-03 18:38:08) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 これはとても秀逸な恋愛劇であり、サスペンスでもあります。 アメリカ映画的というよりも、フランス映画的な感じがします。 フランス映画のような繊細さを持った作品でした。
この男は悪い男ですが、同情はします。 貧しい生まれで、あのようなお嬢さんとお近づきになれたら… 前途揚々たる、夢の生活を手放したくない、ならばいっそのことあの女を、、と考えてしまうのはあり得ることでしょう。 しかしそれを実行してはならないと思います。
それにしても、あの女工が不憫でならない。 あまりに気の毒すぎます。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-13 22:18:20) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 サスペンスもののド定番なストーリー展開ですが、つい見入ってしまいました。主人公の気持ちも、女工さんの苦しみも痛いほど伝わってくるだけに、なかなか辛いものがあります。 しかし単純な話の中にも、「格差」とか「組織の論理」とか「中絶」とか「未必の故意」とか今日的なテーマが含まれていて、かなり奥深かったように思います。終盤に誰かが言った「お前は心の中で殺人を犯したのだ」というセリフは、けっこうグッと来ました。 ところで、エリザベス・テイラーってそんなに美人ですかねぇ。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-21 21:44:01) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 これとよく似た映画はいくらも見たが、そのどれとも違う。これは原作の小説の題が示すように「アメリカの悲劇」なのだ。上流階級と労働者階級の身分の違い、考え方の違いなど相容れない社会の矛盾を感じるし、こういう階級が存在しなかったら、このような悲劇も起こらなかっただろうと思う。 犯罪者が上流社会の人間であれば、金の力で事件をもみ消したり、いろいろ圧力を加えたに違いない。事実この映画でも、親戚関係であるはずなのに、自分たちとは関係ない手だてをしている。 それに対し罪を犯した主人公は、手を下したかどうかではなく、殺意を持ったことが罪なのだということに気づき極刑を受け入れているし、アンジェラは階級や事件を乗り越え真実の愛を貫こうとしている。 役者の表情や心理描写も巧みだし映画はよくできている。いろいろ考えさせられる面もあり、このような映画の中では最も優れた映画のように思う。
【ESPERANZA】さん [地上波(字幕)] 8点(2012-03-22 23:55:31) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 最初は若者の立身出世物語かと思いきや、サスペンスさながらの展開に思わず釘づけになった。 主人公の心の葛藤が見事に映し出され、エリザベス・テイラーの魅力にも惹きつけられた。 それにしても、最初の女性が哀れでならない。 ラストにしてもアメリカの映画にしては救いがなく、現実のドキュメンタリーを見るようだった。 出来には拍手を送るものの、全体的に哀しい気分にさせるためにこの映画を見るのは一度だけで良いと思った。 【mhiro】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-11-09 10:14:08) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 イーストマン家の親戚であり前途は保障つけられたも同然の職に就きながら、美貌ゆえ二股状態に陥り、どちらをとるかは一目瞭然、片方を殺す羽目に・・・。その後のなんとも重苦しい展開に息が詰まる思いでした。Eテイラーの何ともみずみずしい美しさが際立っていました。アリスさん、余りにも可哀そう! 【白い男】さん [地上波(字幕)] 10点(2009-06-14 10:47:45) (良:1票) |
4.物語は金で目がくらみ人間らしさを見失ってしまったための悲劇、つまり資本主義を糾弾したものがベースにあるのですが、カメラはメロドラマを捉える。その背景には撮影時の赤狩りに対処したという事実があるらしいのですが、まちがいなくエリザベス・テイラーの美貌がメロドラマへの欲求を加速させています。そして訪れる、肩越しから超どアップで捉えたチュー!!映画史上に残る美しいキスシーン。リズの美貌があのシーンを可能にし、あのシーンがリズのその後の活躍を確約したといっても過言ではないと思う。そして物語はこのシーンへ向けて進み、このシーンが余韻としてその後のシーンに影響を与えている。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-03-23 13:28:55) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 『’思う’は’行った’に同じ・・ってイエス様は言ってなかったかしら?』この映画のことを指しているのではないのですが、ダイアン・レインのこのコメントを思い出しました。彼の気持ちは女にもよーくわかります。ピンチに追い込まれるクリフト、名演技。TVで放映すると解説者がクリフトの事故のことをおっしゃるのでさらに胸が痛んだものです。唇が映らない名キスシーンが見れますね。クレオパトラやいそしぎを先に見たせいか、この時代のリズは少々物足りないのですが、美貌だけではないよ、というところをラストに見せてくれるので嬉しいです、、ていうか、美人女優といえばこの人だとまだ信じてる私、ファンなの。 【かーすけ】さん 8点(2004-09-03 00:29:07) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 中学の頃、NHK教育「世界名画劇場」でこの映画と出会った。モンゴメリー・クリフト扮するジョージの行動に共感とか感情移入程度の話ではなく、完全に彼と同一化してしまった自分がいた。ラストシーンでは、電気椅子に乗せらせた時、彼が体験したであろうピリピリした感覚までリアルに伝わってくるようだった。こんな経験をしたのはも後にも先にもこれが最後。自分でもよく把握出来ない感情が奔流のように押し寄せ泣きわめいたり怒ったり・・・、家族はおそらく気が触れたと思ったに違いない。これがモンゴメリー・クリフトという役者への、今に至るまでの長き憧憬の日々の始まりでもあった。バルコニーでのエリザベス・テイラー扮するアンジェラとの超大写しのキスシーンは、映画史上に残る名シーンの一つ。 |
1. モンゴメリー・クリフト扮するジョージ・イーストマンは何故シェリー・ウィンタース演じるアリスに殺意を抱いたのか?明白である。芳紀19歳のエリザベス・テイラー演ずる令嬢アンジェラに魅せられたから。二人を比べてどっちを取る?どう考えてもアンジェラに決まっているじゃないか!!しかし、この美少女と結ばれるにはアリスが邪魔だ。だが、妊娠させてしまったからには簡単には別れてくれそうもないし、何より関係をアンジェラにバラされては元も子も無い。こうなったら…アリスを殺すしか…。ジョージの思考回路を台詞ナシで観客のヴィジュアルに直に訴えて実に抜群の説得力!!それ程までに本作でのテイラーの美貌は溢れんばかりの輝きを放っているというコト。シオドア・ドライサーの原作「アメリカの悲劇」はジョセフ・フォン・スタンバーグ監督によって1931年に同名で映画化されており、コレ又傑作だが、本作も名匠ジョージ・スティーブンスの手により、勝るとも劣らぬ名作の風格を備えていると言えよう。強いて言えば、レイモンド・バー演じる検事のオーヴァー・アクトは本作の静謐さをブチ壊しており、何とも目障りなのが玉に瑕。よって1点マイナス。 【へちょちょ】さん 9点(2003-02-24 04:24:25) (良:1票) |