8.“fish story”とは、「ほら話」という意味だということを、この映画で知った。 釣り人の手柄話から意味を成しているらしい。
細かく見れば決して完成度が高いとは言い難い映画であることは間違いないが、僕はこの映画が好きだ。この“お話”がたまらなく好きなのだと思う。
何十年も前の売れないパンクバンドの最後の一曲が、数十年後の世界を救う。
「風が吹けば桶屋が儲かる」や「バタフライ・エフェクト」など、些細なアクションが別の些細なアクションへと徐々に連なり、時間も場所も超えた世界の大きな事象に繋がるという現象は、世界中で古くから語られてきたことであり、この物語のストーリーそのものには目新しさはないのかもしれない。
けれど、このストーリーの本当の魅力はまた別のところにあって、爽快感でもあり、瑞々しさでもある“それ”は、それこそが、この鬱積ばかりが溜まる世界への“救い”のように思える。
昔々の名も無い若者たちがふいに生み出した「無音」が、「運命の出会い」と、「正義の味方」と、「世界の救世主」を生む。
もしそれが「ほら話」だったとしても、その“荒唐無稽”を信じられた方が、きっと人生は楽しいし、この世界はもっと素晴らしいものになるように思う。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-06-11 16:47:17) (良:6票) |
7.無関係な出来事の連なりが実は一部で少しず連なり、 人類を救うほどのきっかけを産む。
人の意思が少しだけなにかを変えてそれがどこかで別の花を咲かせる 嘘みたいだけどあったらいいな。というお話。
まずシークエンスの長さ連なりの示唆。 そうした構成がとんでもなく上手。出来上がりがしっかりと頭の中にあるのでしょう。
音楽や演出も秀逸でまさにどこに出しても恥ずかしくない そんな映画です。
きっちりとまとまりすぎている事が逆に広がりを産まなかったのが 残念でしたが十分な余韻を楽しめる美しさのある映画でした。 【病気の犬】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-11-05 14:58:58) (良:2票) |
6.それぞれの年代の一見なんの関係もないバラバラのエピソードが一つにつながっていくというのはとても面白いし、時系列の組み換えや演出のミスリードも映画的で良く、最後にストンと落とす終わり方もこの監督、原作コンビの映画らしくてすっきりしていていい。それぞれのエピソードはどれも面白く、中でも多部未華子と森山未來のエピソードは特に印象に残り、ここから一気に引き込まれた。物語のキーとなる「フィッシュストーリー」をうたう逆鱗のパートも普通にバンド音楽ものとしてよく出来ていて面白い。録音シーンを最初から最後まで見せているところなどこだわりを感じる部分も多く、B級臭さも確かにあるものの、全体的によく出来た映画で、佳作と言っていいものになっている。しかし、個人的には「ゴールデンスランバー」や「ポテチ」に比べて少し物足りないと思う部分もあったのも事実。ラストは確かにさっきも書いたようにうまいのだけど、そこへの入り方がやや唐突に思えたのも少し残念だったかな。見て数日経つのだが「フィッシュストーリー」のメロディが今も耳に残ってる。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-06-03 17:31:36) (良:1票) |
5.過去に見たことがある作品を再鑑賞したのでレビューします。 内容はすっかり忘れてしまって居たのですが、割と好きだったと記憶しておりました。 映画が始まりしばらくは、つまらない展開が続きますが 多部ちゃんが出てくる当たりから徐々に物語に引き込まれて行きました。 しかし展開としてはブツ切りで各時代のストーリーへと移り変わり 一つの物語が徐々に深く展開していくわけではないので こういった構成が好みではないのであれば時間が長く感じられるかもしれませんが 過去の物語達が繋がって行くと何とも言えない爽快感がありますね。 昔懐かしいようで古くない。そんな独特の世界観を受け入れられるかどうかで この映画が面白いと感じるのか苦痛と思うのか別れそう。 全体を通してホラ話や何が真実なのか冗談なのか分からない事だらけ。 ある意味どうでもいい展開を最後繋がって行くと一つの壮大な物語ができあがる。 その物語は壮大でバカバカしくて、あり得ない。だからこそ面白い。 作り手のセンスの良さを感じました。 【デミトリ】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-11-30 09:22:20) (良:1票) |
4.60年間の3世代に渡る大河ドラマ。自分はなぜ今ここにこのように存在しているのか?を考えさせられた。いろんな本や音楽や映画に出会い、そういったものが影響して、人生の選択や意思決定をして、今ここに居る。それらの作品を作った人にも各々の人生がある。そういった、人はどこかで繋がっている、人はどこかで関係しているという、人生の本質と深遠さを感じさせられた。バンドメンバーは結局その後どうなってしまったんだろう。そこが知りたかった。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-10-07 10:30:08) (良:1票) |
3.一見バラバラの馬鹿馬鹿しくさえも思えるエピソードが見事にまとまってひとつの物語になる。まさしくフィッシュストーリー! 繋がった瞬間あっと驚いたのは私だけだったろうか。好きだなあ、こういう展開は。最初やかましいだけに思えていた主題曲も、最後は好きになってしまった。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-04-15 11:12:58) (良:1票) |
2.伊坂幸太郎はもともと『パルプ・フィクション』のようなことを小説でやってきた人なので、彼の作品は非常に映画的だし、実際、原作小説よりも映画化の方が面白いことも少なくない。今回は『アヒルと鴨のコインロッカー』の監督ということで安心して観られた。オチは予想を裏切るほど凄いものではないが、「次はどうなるのか?」という興味を引き立てるには充分に機能している。「フィッシュストーリー(ほら話)」という名の売れないレコードが、いかにして世界を滅亡の危機から救うのか。いくつもの時代と複数の登場人物が交錯し、奇跡の結末へと収束していく様は何とも心地よい。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-10-17 07:12:28) (良:1票) |
1.「風が吹けば桶屋が儲かる」ってな話だね。幾つかのエピソードが最後にうまくまとまって気持ち良かった。伊坂ワールドをうまく表現してくれてると思います。歌もよかった。 【tonao】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-10-10 21:47:13) (良:1票) |