4.表層的なサスペンスよりも、登場するさまざまな人物像が面白い映画。逃亡した主人公を支えるのは、ブルーワーカー然とした長距離トラックの運転手、世捨て人のような盲目の紳士、見世物として糊口をしのぐサーカスの人々。フライの電報を投げてよこしたあの赤ん坊まで含めれば、みんな社会の弱者という点が共通しています。一方、こうした人たちに支えられ、主人公が立ち向かうのが金銭的に成功し、社会的地位のある人々。こうした設定に、この映画に託された「大衆賛歌」が見て取れます。そう考えれば、場面として登場するロックフェラーセンター、自由の女神という各地の名所も、「自由と民主主義の国アメリカ」のわかりやすい象徴といえます。フランク・キャプラばりのヒューマニズムが横溢するヒッチコック作品ということで、もっと高い評価が得られてもいいのではないでしょうか。蛇足ながら、看板や本棚の本のタイトルでメッセージを伝える手法は粋で思わずニヤリとさせられます。 【satoshi】さん 9点(2004-12-21 12:19:56) (良:2票) |
3.最近、ヒッチコックの作品をよく鑑賞してますが、いまいちかな。本作はラストシーンが見所であり、それ以外はあまり印象に残らない。渡米経験のない私には自由の女神像の内部構造を見せてくれたのは新鮮でしたね。そして、ラストの落下シーンには圧巻。肩口が徐々に破れていく様子が、リアルで緊張感がありました。ヒッチコックのカメオ出演は事前に情報を得ていたものの発見できませんでした。BS放送での鑑賞の為、おそらくカットされていたのかと。余談ですが、盲目の老人があまりにも善人すぎて、心温まりました。あ~いう人間が増えれば世界は変わるでしょうな。 【マーク・ハント】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-04-22 04:29:14) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 濡れ衣を着せられるまではテンポも良く惹きこまれましたが、工作員の中に潜入してからは迷路でした。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-30 12:46:17) (笑:1票) |
1.《ネタバレ》 とにかく冒頭からやたらテンポがいいです。開始早々、あっという間に主人公は濡れ衣を着せられ警察に追われる身に。ここまでテンポがよいと、ちょっとイヤな予感がしてくるのですが、案の定で、大した伏線を張ることもなく、スイスイとお話が進んで行く。テンポが良すぎて、シーン前後の繋がりの悪い、説明不足の部分も散見されます。それにこの映画における主人公の立場が曖昧なのがどうにもイタい点、テロ組織は彼をどうしたいのやら、よくワカランし(ロクな確認も行わないヌルい組織だ)、主人公自身も脚本家も、警察に追われているという立場を後半忘れてしまったんじゃないか?という迷走ぶり(「警察と組織の両方から狙われる」というルールを提示した以上、最後まで通してもらわないと・・・)。ビルの窓からメッセージを落とすシーンも、さほど有効に機能しておらず、場当たり的との印象を強める。「サービス過剰は必ずしも大サービスならず」と言ったところでしょうか(我ながら名言だ・・・?)。さてしかし、やはり数々の見所はやっぱり忘れ難いものがあるわけで、例えば冒頭の火災シーン、なかなかにスタイリッシュ。あるいは中盤、ダンスしつつイチャイチャする二人に、しっかり追随していくカメラ。そしてお馴染み、ラストの自由の女神。実に迫力あるシーンに仕上がっています。フライが落ちて行くときの悲鳴、文字では何とも書き表せないような絶叫で、なかなか心がこもっておりました。ははは。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-27 22:41:13) (良:1票) |