4."ぼくのそばにいて欲しい..."「死体を見たくないか?」物語を作る才能がある内向的で真面目なゴーディ。家庭に問題があり将来を悲観しているが正義感に溢れるクリス。父親に虐待を受けているが父を愛する眼鏡のテディ。太めで臆病なうっかり者のバーン。本作は、この四人の少年たちによる、ひと夏の他愛もない冒険小旅行の物語だ。主題は「死体探しの旅」であるが、年上の不良グループとの諍いも適度に絡めつつ、それぞれ家庭に問題を抱えた彼らの身の上が分かり易く表現されており、誰もが通過するであろう「大人」への純粋な憧れが清々しく描かれている。その道中での多感な少年の行動や心理の細かな描写が素晴らしく、彼らの友情が心に沁みた。リバー・フェニックスを始めとする、子供たちの演技の新鮮さも見どころだ。特に焚き火のシーンで、クリスがゴーディに「大人の裏切り」について告白するシーンが素晴らしい。対比的に、大人になるために色々なものを失わざるを得なかった寂しさ、虚しさを感じさせるリチャード・ドレイファスの存在感も特筆ものだ。また、主題歌である"Stand by me"の素晴らしさも言わずもがなだろう。この映画のために創られたと思えるほど作品にマッチしており、エンドロールでこの歌が掛かると物語の感動も一入となる。作品としては小粒に映るが、誰もが懐かしさと清々しさを感じる内容は素晴らしい。ハナマル! 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-04-16 21:31:55) (良:1票) |
《改行表示》 3.私自身はこの主人公の少年たちを演じた俳優たちとほぼ同世代ということもあって(実際には4人の年齢はバラバラで、映画の設定よりも年上、ってのが多いですが)、この「大人になった主人公が昔を回想する」という物語であるにもかかわらず、どこか「現在進行形」として観てしまう部分が、かつてはあったのですが。しかしもう30年前の映画になったんですね。さすがに今となっては、4人のパッとしないその後(ひとりは惜しまれつつ若くして世を去ったけど)などもふまえつつ、自分のパッとしない人生もふまえつつ、ノスタルジーを感じたりはする訳で。 それにしてもこの、線路を歩く、という話。日本だったら、芥川龍之介の「トロツコ」ですね。でも本作には、ああいう心理の移り変わりのようなものはあまり無く、少年たちに他愛ないバカ話や他愛ない事件が描かれてます。不満といえば不満、上手いといえば上手い。冒険には何の役にも立たない櫛を持ってきて、鉄橋から落としてしまう、というユーモラスな描写もあれば、少年たちが心に抱えた傷がふとしたことで垣間見える深刻さもある。それを「少年の日のちょっとした冒険」の中に織り込んで見せたのが、本作の上手いところでもあるんでしょう。しかし少年の成長物語として何となく捉えにくい部分もあって。 冒険を通じて初めて何かを成し遂げた主人公。それとともに、もう元の無垢な少年には戻れない寂しさみたいなものもある。それ自体はとてもよくワカルのだけど、それを描くのがこのクライマックスでよいのか、と。なーんかちょっと、違和感あるんですよね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-29 21:15:44) (良:1票) |
2.観終わった後、「あいつはどうしているだろう?」と子供の頃の友人を懐かしく思う。ノスタルジックな名作ですね。 【東京ロッキー】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-05-05 16:45:54) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 原作の題名は「The Body」(死体),映画の原題は「Stand by Me」。また,テーマ曲は恋愛の甘酸っぱい思い出を語る名曲であるが,映画には恋愛なんぞ登場しない。何故だろうか?。少年の頃の微妙な心理とノスタルジーを描いた映画と思われがちだが,原作と違う狙いがあることを映画のタイトルは示しているのではなかろうか。確かに「もう失われたあの頃」の話なんではあるが,この映画のメインテーマは実は「少年時代への決別」だと私は思う。少年達は鉄橋を通って死体を捜しに行くが,鉄橋を渡る前は少年として描かれ,鉄橋を渡った後ではもう既に以前の彼らではない。あの鉄橋は少年から大人に至る掛け橋であり,「死体探し」は大人になるための儀式の隠喩なのだ。この映画を観て感じる喪失感とか郷愁,ほろ苦さというのは,純粋に子供の頃の思い出に対するものというよりは,ズバリ「大人になった時」つまり初体験のそれに近い。スタンドバイミーという曲がこの映画とマッチするのは,いわば当然のことなのである。 |