5.《ネタバレ》 ゆる~いおっさんたちが、食を中心に南極でひたすら日常生活を送るだけのお話。それがなんでこんなに面白いんでしょう。そして、見終わったら、なんでこんなにラーメンが、それも「あっさり醤油ラーメン」が食べたくなるんだろう。というわけで、これはおすすめ。ただし、できたら、映画館で見てください。DVDやBSじゃなく、リバイバル上映で。あの巨大なエビフライや、あまりにも旨そうなラーメンは、大画面で見ることを計算されて撮られているのだそうです。 映画としては、かなりの硬派です。最近は字幕が読めないだけではなく、役者側が過剰に言葉で説明したり、説明エピソードを入れなければ理解できない観客が増えたと言われていますけれども、そんな層は最初からおかまいなしです。南極の自然環境の厳しさを、言葉で説明させることも、説明エピソードを入れることもしない。400日以上男だけで暮らすので、食が唯一の楽しみであること、そのためにどれだけの食材を苦労して運んでいるのかの説明もしません。一見たるいおっさんにしか見えない人たちが、どれだけの碩学かの説明もなし。作中で掘り出される氷柱が、100万年前までの地球の環境を知る世界第一級の資料であることも強調しません(これはホントです。これほど凄いのは日本にしかありません。地球環境関係なら、ほぼどんな文献にも引用されている世界唯一の資料なんです)。そういったネタになりそうな事項はガン無視して、ひたすらおっさんたちの日常生活を描くだけ。南極の厳しさが描けてないとか、エピソードに乏しいとか、ぐだぐだ抜かす想像力がない層への配慮は全くありません。頭を空っぽにして見るだけでも愉しい、想像力を働かせても愉しい、説明過剰な昨今のテレビ中毒の人にはつまらない、そんな映画です。 【えんでばー】さん [映画館(邦画)] 9点(2012-10-04 20:19:45) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 猛吹雪の雪原、建物らしき黒い影。その中を駆け抜ける3人の男たち、倒れて揉み合う。逃げ場のない氷原、生きるために仲間を励ます。 「遊星からの物体X」みたいなサバイバルアクションでも始まるのかな?と思ったらぬくぬくとした部屋で麻雀始めちゃうんだもんなー。 撮影は「トウキョウソナタ」といった黒沢清作品でも腕を振るう芦澤明子。冒頭シーンの凍りつく画面、その後の居心地が良い画面が素晴らしい。
麻雀、漫画、ビデオ、音楽、ボウリングでストライク、カクテルとバー、卓球。極寒の密室、その極限状態に耐えるための娯楽、美味い飯! 命懸けで仕事に挑む人間たちが、飯を美味そうに食っているシーンの多さ。なんて腹の減る映画なんだ。心は満腹になるけどね。 飯を食いながら登場人物の紹介、好き嫌い、トマトに悪戦苦闘、丹精込めた料理に調味料をかけられすぎるのは料理人のプライドが見過ごせない。
空が晴れると白い建物。太陽が遮られた時はあれほど黒く見えたのに。
朝、ドアをめぐるやり取り、ラジオ体操と“目の保養”、落花生の箸置き、仕事内容の確認。
1年だけの付き合い、1年も務めなければならない厳しさ。
意気揚々と仕事にかかるプロフェッショナルたち、掲げられる旗、旗、旗。風の強さをストレートに教えてくれるし、時には誕生日といっためでたい日を祝う。
ボーリング調査といった仕事。 天然の冷蔵庫から材料を運び入れ、一品一品真剣な眼差しで作っていく。
サングラスをして何かを待つ男たち。「ワルキューレ騎行」と共に自転車に乗ってやってくる飯時。 飯めがけて全力で駆け、転ぶ。
読書中の主任に弁当の配達、積み重ねられ始める不平不満。基地のアチコチに張られた異性のポスター、受話器の向うの甘い声、家族の写真や宝物。すべてはホームシックの叫びを抑えるために。
雪を掘って水作り。他の面々も生きるために食飲み食いするものを作る。8人にとって無限に等しい原料。伊勢海老につられてくる面々、エビフライコール。
回想、揺れる船、帰りを待つ家族、胃がもたれる嫁の手料理は母の味。文句を言いながら食う食卓の団欒。 願った人間に訪れる事故、願わなかった人間に降りかかる仕事。 「家族と相談させて下さい」 「おめでとう」 「家族と相談・・・」 「行ってらっしゃいお元気で」 ああ殴りたいあの笑顔。
節分のお面、裸の鬼を締め出す・・・て殺す気かwww 劇中の面々は度々裸になって氷点下を満喫する。記念撮影もトライアスロンの特訓もパンツ一丁。 時間の限られた電話、砂時計、天然の氷で乾杯。
夜食を目の当たりにして「もう勝手にしろよ・・・」とドアを閉じる。人が何のために丹精込めて飯を作っているんだよと。 でも食う本人たちもそれはそれ、これはこれ。
凍傷への対応で怒る男たち。真剣な者と嫌々でやっている者たちの対立。
でっかい肉を外で火をつけて肉を振り回すシーンの面白いさこと。 「楽しいwww」
巻き込まれる主任、誕生日ケーキと肉のステーキでパーティー、料理人を支える娘の歯。
いちごの原液をかける天然のかき氷、原液はそのまま野球のベースラインに。
太陽を拝めない日々の鬱屈とした様子。 誰のための正装か解らない祭、凍傷が治った手と伸びた髪が物語る日数。
料理人もお母さん状態。 「あ~ぐ~ら」
ラーメン中毒者とバター中毒者が出てくる状況。重症です。
さあクソ主任との対決だ!後ろから迫る怒り、料理人も有無を言わさず蹴る、フラれたショックで自殺行為、医者「はい凍傷ね」
そして娘の分身に等しかった歯ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!! 精神的にグロッキー。
胃にもたれる母の味が料理人に涙と活力を与える。仕事仲間たちが、家族たちが食べさせてくれていた愛情。お母さんと娘の計らい。
本土との通信。 「可愛い動物は~?」 こんなに可愛いおっちゃんたちがいっぱいいるじゃありませんか。おっさんは非売品。
“冠水”作り、ラーメン>>>>>>>>>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>>>>>>>>>>>オーロラ。
いつもの朝食風景が、食卓を囲む人々が消えていく瞬間の何ともいえない寂しさ。
再会、そして出会う人々。“声”だけで出会った恋人たち。
成長した子供たち、氷原と灼熱のアスファルトを駆け抜ける男の生き様。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-11 23:36:31) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 小学生2人と笑い転げながら見た。おにぎりやラーメンがめっちゃ美味しそうなのはもちろんだが、日本人の食卓がいかにバラエティに富んでいて素晴らしいかがよく分かる。(他の国の越冬隊員はいったいどんな食生活をしているのだろう?)だからこそ、腕の良い料理人が一人いれば、極寒の僻地での野郎だらけのむさい暮らしもそれなりに楽しそうに見える。でもどんなに素晴らしい料理でも、休日の遊園地で家族と食べるジャンクフードの味には敵わない、ってところがミソ。嬉しくなる映画。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-02-16 14:30:47) (良:1票) |
2.あたし、これ好きだわぁ。極限の閉鎖空間というシチュエーションコメディとしてこれほど良く出来ている映画は久々に見た気がします。大笑いする様な物では決して無いのだけど、ひたすらクスクスと笑わせてくれる。過去にも似た様な映画あったなぁと考えてみたら「タンポポ」ですよね。アプローチの仕方は全く違うのだけど、目標としてる所が非常に近い所にあると思います。 【奥州亭三景】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-06-03 01:49:11) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 下の歯なのに、ラーメン>オーロラ、KDDの清水さん。 ゆる~く挟み込んでくる笑いが最高です。 配役もパーフェクトとしか言い様がないし、単なるバカ話だけじゃなくて、意外といい話とかもあって感動しましたよ。 オチへの伏線として本編中では徹底して料理を褒めるセリフはありませんが、その美味しさは充分すぎるほど伝わってきました。 料理を褒めちぎるしか能のないグルメリポーターに見せてやりたいものです。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-05-20 12:31:22) (良:1票) |