11.《ネタバレ》 みんなの意見に従い、伊勢海老をフライにした西村くん。このエピソードが好きです。彼が持論を貫いて“正しく美味しい伊勢海老料理”を提供したとしても、満足してもらえなかったと思います。どんなご馳走も想像の味には適わない。“やっぱり刺身だったなと愚痴りつつ伊勢海老フライで我慢する”がこの場合の正解でした。ラーメンの在庫が底を尽いたと知り、落胆する一同。ここでの正解は唯一ラーメンのみ。うどんや蕎麦、スパゲティじゃダメなんです。それを知っていた主人公は、かんすいの代用法を聞くや否や駆け出しました。結果、彼の作った一杯のラーメンは、きたろうやバター男の病んだ心を救います。味は大事。栄養も重要。でもそれだけじゃありません。胸焼けする不味い唐揚げが、傷ついた心を癒したりもするのです。西村くんの料理は、本職のシェフに味では劣るかもしれません。でも、間違いなく良い料理です。料理には人柄が出るといいます。高級料理も素晴らしい。でも自分は、幸せな気分になれる料理を食べていきたいと思いました。愛すべき南極料理人を堺雅人が好演。彼独特の笑み(堺スマイルと勝手に命名)が、人の良さを物語ります。南極行きを上官から告げられ、「家族と、相談を、させて、ください。」を繰り返す半泣きの西村くんが、気の毒だけど可笑しくて。彼が困る度面白かったです。その他の面子も芸達者を揃え、手堅い布陣。ただし、きたろうの存在感が強過ぎて、シティーボーイズの舞台を観ているようでもありましたが。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-02-18 18:16:08) (良:1票)(笑:1票) |
10.《ネタバレ》 あまり期待しないで観た分面白かった。極限の状況に閉じ込められた仲間たちが変化のない日々を淡々と過ごす…ってシチュエーションは無人島サバイバルものとよく似てて、ラーメンが底をついた辺りからそういう流れになるのかな、とハラハラしたけど最後までユルい話でほっとした。やっぱり食事の心配がないことと年中行事をキッチリこなすことが心の安定につながっているのかな? 大きな事件は特に起きないけど退屈、というわけではなく、所々笑わせに来たり(伊勢海老のフライとステーキ肉焼くシーンは最高だった)泣かせに来たり(生瀬の誕生日のくだりとか唐揚げ食うシーンとか)とダレることなく観れた。そして何よりシメがいい。自分で作った料理って、自分で食ってもなんか味気ないしね。やっぱり食べてくれる人がいてこその「料理」だよね、ってことで8点。 |
9.《ネタバレ》 「食べ物を粗末にするんじゃ無い」 爺さんは僕にいった。なんて事をするんだお前は、と、大好物の鶏を猫に与える孫をにらみつけた。人間様の食べ物は人間様が食べるのであって、猫様には猫様にふさわしい食べ物がある。彼の言いたいことはしまいには大義名分になって、僕の棒々鶏は取り上げられてしまった。脇の甘いところを見せた孫に一発良いのを入れられたことで、なにやら上機嫌でもある。 いやだって猫も時々は美味しいものを食べたいんじゃないでしょうかと言い返すも、テレビに見入ってしまった彼は全く聞いておらず、そうだねーうん、などと一モルも理解していない生返事をよこした。
南極で辛苦を共にする八人の隊員は、自分の仕事を大切にし、誠実に向かい合いつつも観測所での食事を楽しみにしていた。食事に見せる変な、他の言葉に何となく置き換えたくない、変な執着が耐えがたい極寒をイベント程度の日常に変えてしまっているかのようで見ているこちらは楽しくもあったのである。 事件らしい事件が起きない随筆の様なこの映画で、八人が起こした最大の凶行に僕の目は釘付けになってしまった。伊勢エビ。豪華食材である伊勢エビを、身では無く殻に風味が詰まった高級魚介をよりによってフライにしてしまった彼らは、やりきれない食卓の上で転がらない会話を無理にでも放り投げていた。
あのさ爺さん、「棒々鶏だけどさ、ほんの少し僕の分をニャン吉にあげて僕はその分は食べたつもりになって満足で、ニャン吉も満足なのでは?」どうよ、と次の日にもう一度訊ねる。 「そうなの?」まるで覚えていないが、あああのことね程度に孫の相手をする。 「いや、そうではないんだ。戦争中は敵地で食べ物というもののありがたみがあった。戦争が終わったら今度はありがたい食べ物そのものが無いんだ。物理的に手に入らない。戦争中の方がましなくらいだ」なにやらまじめに答える祖父に、意外性すら感じた。 だから、満足がではないんだと言う。お膳に上がったものだけじゃ無くて、お膳に上がる前の食べ物にだって礼儀を払いなさい、と。 伊勢エビを見て、ただ大きいからやりたいと言うだけでフライにしたがる大の大人たちはこの言葉を思い出させた。
が、そう言えば祖父は海軍学校でタダ飯を喰い、終戦直前に軍服を着て写真を撮ったら戦争が終わっていたなどと舌長であった。油断ならない男である。 【黒猫クック】さん [地上波(邦画)] 8点(2013-05-09 20:08:01) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 南極越冬隊に同行した調理担当のお話。自然の厳しさや越冬隊の研究など南極という特殊な環境に重きを置きたくなるところをあえて主人公と料理だけに割り切ったのがよかった。この作品のゆるさを心地よいととるか物足りないととるかによって評価が変わりますね。感涙したりハラハラドキドキするような作品ではないが、見ていて心地よい。 【時計仕掛けの俺んち】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-13 14:22:56) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 南極っていう苛酷な状況を前面に出さずに、あくまで『食』に徹した潔い作品でした。 ユーモアのセンスも良くって、長尺な作品ながら最後まで楽しめました。 後半ところどころ『おや、シリアスな展開か!?』ってのがあるんですが、見事なまでにスカされます。 やはり舞台が南極ですし映画ってことで、観てる側としてはいろいろ詮索しちゃうんですが、最後の『ウマッ』が意外とドラマチックだったりします。 大きな事件がなくったって、毎日の食事ってのは充分ドラマを含んでいるんですね。 おいしい料理をつくりながら、きっちり映画としても料理されていたと感服しました。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-12-14 09:00:32) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 こういうのを本当の佳作っていうんでしょうね。コンクールなどの影響で、佳作って「中の下」的なイメージがありますが、ここでは「良い作品」という本来の意味です。 南極越冬隊という普通の人が知らない未知の世界への興味や、食べ物の問題を解決することに対する知的興奮など、上手い脚本だなという印象です。よく、笑って泣ける映画という宣伝文句がありますがそれが誇大広告でなく、鑑賞中、何回も声を上げて笑いました。ちょっとしたところで笑えるんですよね。また、主人公の料理人が、他の隊員が作った半生の唐揚げを食べて泣くところはぐっときます。主人公の妻が同じく半生の唐揚げを作ることを思い出して、寂しくて泣くんですね。ラストの、隊員が家族や恋人の出迎えを受けるシーンもいいです。 【MASS】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-07-24 10:24:42) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 ゆる~い脱力系映画ですね。料理を主軸にちょっとしたことがちょっとだけ起こりつつストーリーは進むけれど、それ以上の展開は一切なく、淡々とおっさんたちの南極の暮らし~帰った後を見せられるだけ・・・なのに面白い。憎めない登場人物たちとおいしそうな料理が、南極という辺境の地に暖かさをもたらし、微笑ましくなります。ちょっとテンポを殺しがちな"間"も、この映画だからこそ許容できる演出だと思いました。「オーロラ?そんなもん知るか!」って隊長(笑) 【Nerruc】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-03-24 23:49:51) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 【たんぽぽ】さんと同じく、「かもめ食堂」入ってるな、と思いつつ鑑賞したモノです。もちろん、ごはんのシーン。おいしいそうな料理、それをていねいに作ってる様子、みんなで食べる食卓の風景は見る者を安らいだ気持ちにしてくれます。メインキャストは、基本的に同性だけってのも共通点。「かもめ食堂」は女の人ばっかり、本作は男ばっかり。色恋沙汰に、発展することはなさそうだな、と。これまた、安らいだ気持ちで見せてくれるポイント。あの隊員のなかに、男勝りでちょっと変りものだけど美人の生物学者なんてのがいた日には、なんかメンドくさいエピソードがついてきそうです。台無し、と言ってもいいくらい。汗くさそうだけど、居心地いい。ワタシ、椎名誠氏の「あやしい探検隊シリーズ」が大好きだったクチですんで。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-03-22 06:49:18) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 あ~ホントに良い作品でした。 ぬるーいお風呂にぼちぼち浸かって、のほほーんとしているような気分でした。
でもでもその内容は、南極の厳しい自然の中で仕事をまっとうして行く、頑張りやのオッサンのお話しですから。 そこはふわんとしている中にも、緊張したり身につまされたり、しょーもないと呆れ果てたり。 オッサン達の喜怒哀楽にこちらもつられて、感情移入してしまうのでありました。
ホントの南極観測隊にはこんなご馳走出ないでしょう(笑) ステキなお料理とは不釣合いな食べ方もまた、見どころでしたね(爆)
男版「かもめ食堂」と思ったのは、私だけでしょうか? 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-10-04 21:26:48) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 なんというか・・不思議な映画。主軸となるような大きな物語はなく、ふじ基地の8人のメンバーの淡々とした日常のエピソードを羅列してるだけともいえます。物語のクライマックスも特に無く、強いてあげれば『ラーメン』を食う所でしょうか。でも、トータルでは好きです・・心地よかったです。メンバーのやりとりやセリフにクスクス。おにぎりや様々なメニューの食事にがっつく姿に伊勢エビフライの展開、ラーメンがなくなった時の哀愁・・そして伏線とも呼べる油ギトギトの唐揚げの流れ、どれもこれもいい塩梅なんですよねぇ。堺雅人の料理人の存在感と作る料理がメンバー達の関係の潤滑剤的役割を果たします(メンバーがその食事をどれもこれも美味しそうに食べるんだよなぁ・・。)その中で各々のキャラクターがさりげなく活躍して最終的にはメンバーはだいたい覚えてしまう、絶妙な見せ方も感心。まぁ他の映画と比べたら、妙な違和感は拭えない所もあったり、冗長に感じる瞬間もあります・・が、それも含めてこの映画の何とも言えない雰囲気が私は好きになってしまったので仕方ありません。今後、自分の手が届く距離に常に置いておきたい愛すべき映画になるかも・・ 【まりん】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-09-27 16:08:21) (良:1票) |
1.ここまで密度と打率が高く、終始クスクスしっばなしというコメディもなかなか珍しい。堺正人の困り顔、いじけ顔(どちらも苦笑い)にははずれなし。 出てくるのは男だけ。若者というわけでもないので熱苦しくぶつかったり、大げさに絆を深めあったりせずに、大人の距離感を保っております。 おっさん達が極寒の地で、飯くったり、いじけたり、はしゃぐ様を延々と見させられるだけなのに、何故こんなに面白い? 一つ文句を言うとすれば、小出早織の出番はあれだけかっ! 【すべから】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-08-26 15:15:00) (良:1票) |