6.《ネタバレ》 弁当屋開業初日、支度中の主人公は何故泣き出したのでしょう。夢を叶えた達成感?納得の弁当を作れた充実感?それとも周りへの感謝の気持ち?どれも違うと思う。彼女が泣いたのは自分の責任を自覚したからだと感じました。小料理屋の主人いわく彼女の手は“子供の手”。それはすなわち“大人の手”ではないということ。無論“親の手”でもない。「そういうの何か嫌なんで」そんな理由で彼女は慰謝料も養育費も求めなかった。ただ働きも喜んでした。心意気は悪くない。でも彼女は自分が置かれた状況を判っていない。おそらくは“家を出た”“行き場所が見つかった”という状況の変化に酔っていたのだと思います。夢を追うのに必要なのは情熱のみ。それが許されるのは子供だけです。大人は違う。ましてや人の親ならば。まず考えるべきは生活の糧を得ること。子供を育てること。夢を追うのは次の話です。真っ当な大人は、間違っても恩人の店で暴れたりしない。子供の権利を放棄したりしない。日が昇る前から調理をはじめ、出来た弁当は20個ほどか。確かに美味しそう。でも採算は取れるのでしょうか。趣味の疲労は苦労にあらず。小遣い稼ぎも似たようなもの。でも家計を担う労働は身にこたえます。責任は重圧に変わり疲労を倍化させる。彼女は身をもって働くことの意味を知ったのだと思います。だから泣けた。価値のある涙でした。親子2人が暮らせる利益が出る弁当を作れて、初めて彼女は弁当屋になるのです。その道は易しくない。でも彼女は母親です。涙の向こうには子供の笑顔がある。頑張れるはずです。一日も早く大人の手を、いや親の手を、手に入れて欲しいと願います。身の程知らず、世間知らず、でも一生懸命だから応援したい。そんな微妙なスタンスのヒロインを小西真奈美は好演しました。演技は上手い。表情のみで魅せられる女優さんだと思います。岸辺も貫禄の存在感でした。小料理屋の主人のような大人になりたいものです。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-03-17 18:28:41) (良:3票) |
5.《ネタバレ》 とと屋の厨房で出来上がったお弁当が約20個ほどですか。今後彼女はこのお弁当でやっていけるのでしょうか。ちょっと簡単に試算してみました。東京という相場を考えて、お弁当の値段、例えば一個が600円と設定致します。それが一日20個売り切れだと一日の売上合計12,000円。×25日だすると一月の売上合計、ちょうど30万となりますね。 あとは原価です。材料費が一食につき約3分の一の200円だとすると 200×20×25で100,000円。あとは水光熱費及び謝礼の意味も含めて仮に3万円を岸部一徳氏に渡したと致します。残りは17万円。そこから倍賞千恵子さんにも家計費として最低2万円は渡さなければならんでしょうや。その他、交通費やら宣伝費やら もろもろと雑費で2万円ほどかかったことにすると、つまり、手元に残る諭吉さんの数は13枚ほどとなりますね。 なんとかやっていけるんではないでしょうか。やっていけるんなら結構なことなんですが、、小巻がせっかく作ったお弁当を気前よくタダで配ったりしなければの話なんですが、、、 一徳氏との約束は守れるのでしょうか。娘の為に、世話をかける母親の為に、恩人である一徳氏の為に、大人の手になるには まだまだ2年3年かかるような気がいたしますが、せっかく見つけた道だ がんばってってほしいもんですね。 ところで、そんな小西真奈美。例えば今後、彼女が芸能界で職を失い、実生活のほうで就職活動なんて ひょっとして もしかして することなんてあるならば、履歴書なんてもんは必要ないんじゃないかな。この作品自体が熱~いプロフィールとなるはずです。安心して見れたし、楽しく見れたし、頑張ってましたね かなりよかったです。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-17 22:44:27) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 岸部一徳に「あんた見てるとタダで弁当配りそうだ」と心配させる小西真奈美のキャラクターがピタリ合ってる。真剣になるとおかしくてかわいい。弟子入り志願のとことか、夫とのケンカのとことか、絶対演技過剰なんだけど、なんか彼女だと許せてしまう。そうそう、あとホテルの駐車場で息を確認するとことか。料理の才があったというのは、つまり彼女が家庭の人だったということで、問題は自分の才能が金銭に換算され得るという可能性に気がつかなかったこと、あるいは金銭を請求する交渉から逃げていたということ。ああそうか、昔の時代劇ではよく深窓の姫君が身をやつして町に入りシモジモの暮らしを体験するってのがあったが、あれとどこかでつながってるな、この話。ヒロインの「子どものような手」は姫君の手でもある。それは金銭を請求する手にならなければならない。旦那に慰謝料を請求せず、岸部一徳にはタダで働かせてください、と叫んだり、下町江戸っ子のきっぷのよさ、ってのは、どこか「まだ子ども」ってところがある。最初の保育園で配った弁当代は向うからやってきた、岸部に労働代の封筒を提示されてから「お金下さい」と言った、自分はお姫様のままだった(言っただけでも進歩)。だからラストは本当なら、「お弁当、おいくら」と尋ねられて、値段をはっきり言うセリフでカットってのが正解だっただろう。彼女の将来、前途洋々には見えないが、一緒にハラハラしてやろう、というぐらいの気にはさせる。最初、町に帰ってきたヒロインをおばさんたちが騒々しく取り囲む場で、うるさい下町人情ものなのかと心配したが、そうではなくあれは下町の鬱陶しさを描いていたのだった。本当の「下町の人情」ってのは、岸部がハラハラしながらも見守るところに出ている。写真館がやっていけなくなる今現在の下町の厳しさもちゃんと描かれていた。今までサバのミソ煮はスーパーで調理されてるやつをもっぱら買ってたが、これを見たらつい自分でやってみたくなり、やってしまった。切断面から煮崩れした。それと小骨は前もって取っておかなくちゃいけないんだな、きっと。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-05-16 12:08:41) (良:2票) |
《改行表示》 3.リアルな東京、現実的な現代劇といった感じなのに、どこか平和な風が作品全体に吹いていて、結構好みな日本映画。 ロケーションも良くて、東京の下町を主体にしている。 実際に行ったことのある場所が沢山出てきたのも、リアルさを感じられた要因かもしれない。 これはおそらく、東京を良く知っている人がロケの場所を厳選したから出来たことで、偶然ではない。 現代の東京をリアルに描こうというコンセプトが感じられる。 随所に出てくる様々な登場人物達も個性があって、なかなか良い。 就職活動の厳しい現実の描き方、採用面接の業界ごとの違いなども、良く描かれていた。 小西真奈美の魅力も堪能できた。 フォトにおさめられた、スーツを着た小西真奈美の振り返る姿が、とても素敵だった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-07-13 11:07:31) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 何の前知識無く見た作品。原作も未読。 だからかも知れないのですが、面白かったです。 最初の卵焼きを作っているシーンから、夜に見るんじゃなかったと後悔させられる程に、食欲を掻き立てられました(笑) 最初のあの幾つも味の重なったのり弁も、美味しそうでしたね……食べてみたい! そのままずっと最後まで飽きずに集中して見られました。 小西真奈美は、とても頑張っているのはよく判ったけれど、ちょっと演技っぽい所が鼻につき。 その辺を脇が上手く受け止めて居た感じ。特に岸部一徳が相変わらずのあの演技で、安心感在り。それから山口紗弥加がとっても自由で面白い!岡田義徳はダメな男をやらせるととても填る! 本編は、所々面白く印象に残る台詞もあって、これは原作そのままなのだろうか?と思ってみたり。 ラブホテルの駐車場のちょっとした仕草とか、旦那と殴り合いの喧嘩をする所とか、思わず笑ってしまうシーン多々在り。 最後の彼女の笑いと涙、そしてあの、手。 きっと、これからの彼女の行く末を、見る人一人一人がそれぞれ想像するでしょう。 私は、彼女の最後の元気な笑顔にちょっと安心しました。 【ももりん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-09-11 02:19:55) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ととや登場の演出はすごく良かった。私なら、カウンターで岸部一徳が一人で料理作ってるところ見ながら白いご飯だけでお腹いっぱい。細腕ヒロインが逆境にもめげず頑張る健気なストーリーなら割と好きなんだが、小巻は全然健気に見えない。確かにあのダンナはどうしようもないが、そこから自立したい、自己実現したい!って突き進む小巻の姿はひどく自分勝手。甲斐性無しでも子どもにとっては大好きな優しいパパとして描かれているのに、そんな子どもの気持ちを思いやっての葛藤なんて微塵もなく、ひたすら夢に向かって前進あるのみ!のヒロインだなんて、全然共感できない。挙げ句の果てに幼い子どもの前で殴り合い&罵り合いのケンカして、その後平然と一緒にご飯食べながら冷静に離婚・再婚話、子どもが泣き出せば白々しく抱き合って仲良し演出とかありえなさすぎで腹が立った。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-05-04 17:08:18) (良:1票) |