《改行表示》 5.《ネタバレ》 マット・デイモンの怪演のすんごいこと。彼のパブリックイメージから、マット=好青年との思い込みで観始めるとえらいことになる。M・デイモンの起用は観る者に目くらましをかける効果があっただろうな。すっかり騙された・・マークにもソダーバーグにも。 何しろこの男はおそらく良心の無いタイプの人格障害と思われる。周囲の人間はことごとく傷を負う。人を傷つけているのに良心が痛まないから、表情は平板で謝罪の言葉を並べながらけろりとしている。 この、”ああ言えばこう言う”輩に翻弄されるFBIのブライアン捜査官が私は気の毒で仕方なかった。FBIに同情することなんてほとんど無いのだが。いかにマークが怪物か。あまつさえ、出所後はまたどこぞの企業のCEOに納まってるとは空恐ろしい。 犯罪話なのに音楽はコミカルで全編軽いタッチで描かれる。マークが棲むのがそもそも清廉でもない巨大企業だからか。この男の素性と事件の全体像をちょっとずつ小出しにしてゆくソダーバーグ十八番の展開が見事に効いている。 ラストに明かされる、一番(?)大きい真実ときたら。あいつヅラだったのか。あーあ。こんなことにまで騙されるとは。ワタシもブライアンと一緒に引きこもりたくなっちゃった。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-15 18:12:18) (良:1票) |
《改行表示》 4.序盤の流れは大企業の不正を暴く内部告発者を主人公とした実話モノ。となるとマイケル・マン監督作「インサイダー」のようなシリアスで硬派な人間ドラマが思い浮かびます。 しかしながら、本作も主人公の男も一味違う、ブラックユーモアにあふれた作品です。己の人生から嘘で塗り固めた男。そんな男に振り回されるFBIや会社も滑稽に描かれています。実話モノでなければ完全に喜劇です。そんな一風変わった作品の世界観を演出する、名作「スティング」を思い出すようなマーヴィン・ハムリッシュの軽快でコミカルな音楽が効いている。 そんな主人公の男を演じるのはマット・デイモン。マット・デイモンだと言われても彼に見えない変身ぶりで見事に胡散臭さを醸し出しています。そしてラストに語られる主人公の男の「今」も信じられない。ウソのようなホントの話をソダーバーグが皮肉を込めて笑い飛ばしたような愛すべき怪作です。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-04 20:51:04) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 これは例えば、自分が乗っている船に穴を開けても自分だけは助かると根拠なく信じている男のお話。その人物像がかなり面白かったです。最後は「狼が出たぞー」の少年よろしく、誰にも信じてもらえない虚言癖人間って扱いになってしまいましたが、もっと奥が深い人ですよ。彼はお気楽ということでもなく、頭が悪い訳でもない。むしろ周到に物事を進められる優秀な人物です。何が欠落しているのか。それは「自覚」ですね。徹底的に自覚が足りない。誰もが大きな勘違いをしていることに気付いて冷汗をかくような場面を経験したことがあると思うが、彼は勘違いに気付くのが極端に遅い。そして気付いても、持ち前の頭の良さで自分に都合の良い理屈を捻出して勘違いではないと思い込む。その存在自体がギャグであることを、コメディチックなBGMが上手く表現しています。犯罪を犯しながら自分は大丈夫と信じている男を、マット・デイモンがマット・デイモンらしくない風体で好演しています。でも、これを字幕版で一回観ただけで理解するのは相当難しいと思う。自分は2回観てやっと細かい部分の流れが分かり、味わいが増しました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-02 14:05:27) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 コメディ仕立てではあるがあつかう題材はかなり重い。 相当ブラックな話になっている。 1990年代に実際にあった販売価格操作(闇カルテル)事件の話なのだが主人公がすごい。 会社重役の立場にありながらFBIに協力して内部情報を何年にも渡り収集して証拠集めをする。 ついに事件は立件され告発されるが実はこの主人公は調査期間中にカルテルで得た会社利益のキックバックやら脱税やらマネーローンダリングやらで900万ドルも個人資産にしていた。 結果その罪で彼は8年半も連邦刑務所に服役することになる。 でも出所後の後日談がすごい。 今はカリフォルニアにあるバイオテクノロジーの会社社長なんだそうな。 これだけだとなんかすごく重い犯罪映画なんだけど、完全にコメディタッチで描いている。 主演のマットデイモンの好演が見もの。 すごい人格を見事に演じて観客を惑わせてくれる。 実は観ている間はマットデイモンだとは気がつかなかったのだが。 それくらい役になりきっていたということか。 それにしても実在の人物(しかも今も現役の会社社長)をこんな風に映画で描いちゃって良いのかな。 【称えよ鉄兜】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2010-02-27 13:18:53) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 アカデミー賞ノミネート確実? 私にはいつも通りの多作ゆえに粗雑な作りのソダーバーグ作品って感じに映りましたが。そりゃマット・デイモンの怪演っぷりたらありません。企業やFBIだけじゃなく、観客も振り回されちゃうんですから。何度も「おいおい!」ってツッコミ入れたくなる凄くヘンな人物像を見事に創り上げてます。だけど、コメディと言ってもクスクスってレベル、映画的な爽快感も企業、FBI、司法連中の振り回されっぷりがあまり描かれないのでそんなにはなく、組織の中で優先される金と、その金を更に利用した者とを通して歪んだ社会構造を・・・なんて深みに迫るワケでもなくて。ばーっと脚本書いて、ばーっと撮ったでしょ?みたいな。嘘が処世術、ってところがこの映画の最大ポイントに思えますが、それでいいのかな? あと、日本人に見せるつもりがないのか、日本人の悪口連発な上、時代考証をちゃんとしてる映画なのに東京の映像だけは1994年当時には存在しなかったモノが映ってたり(六本木のドンキホーテ屋上の、苦情で使われずにオブジェと化した絶叫マシンのレール)。それにしてもワーナー製、ソダーバーグ監督作、マット・デイモン主演でなんでこんなにひっそりと公開されるかね?と思ったら、実際に国際カルテル事件に関わった日本の大企業の実名が登場してたりするんですね。そりゃ大公開は無理だわ。私的には、そこがこの映画のいちばん面白かったところ。つーか、実名が出てくる2つの企業名でぐぐっても、出てくるのがこの映画のことばかりで事件について記述されてるサイトがあんまりヒットしないってあたりがねー、妙にリアルでイヤだわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-12-09 17:24:27) (笑:1票) |