《改行表示》 5.《ネタバレ》 『一度見ただけで理解できて分かりやすい毒のない感動的な作品が素晴らしい映画、アニメ作品がドキドキワクワクファンタジーが当然だ』というのならこの映画の得点は低いでしょう。ある意味分かりにくてもいい映画があってもいいでしょう。実際何度か見た後にはとんでもなく凄い構成の映画だと感じます。実際、私が映画館で見たときは難しかったっし???が何度も頭の中に浮かびました。この映画は、リラクゼーション&ヒーリングのBGV(バックグラウンドビデオ)的な面と、もの凄く計算されつくされた構成で出来ている謎解きタイムトラベルストーリーの面があるところが熱狂的なファンを産んだ原因ではないでしょうか? 原作があり、すべて一人の少女の周りで起こった事実です。別に無理やり不倫させたり自殺させたり迷子にしたりした訳じゃありません。事実から変更している細かい所も意図して変更してある。大人向きで子供にわかるのか?という意見も多いですが別にすべて理解する必要はないでしょう。友達を作ること、大切な色エンピツを雑にあつかわれるところ、みんなでどろんこになって遊ぶところ、妹がいなくなって心配するところ,理不尽な現実に対する憤りや抵抗・無力感、十分子供向きでしょう。外国の映画祭で、何でナギコになるのが新子じゃなくて貴伊子なのか?と監督に質問した子供がいたそうですが、監督の答えは『君はどう思うの?』言ったみたいです。正解が無いと文句を言う大人が多いこと。そのくせ、例えは適切ではないかもしれませんがピカソの絵を理解している振りをして有難がっている大人があまりにも多い。人が死ぬことがとんでもなく凄い事件であるような今の風潮ですが、生き物である限り死ぬのは当たり前のこと。生きている時にどれだけ素晴らしい生活をし、いろんなモノを分かち合うのが重要なんじゃないでしょうか?病院でいろんな機械をつけて長生きさせることにに幸せがあるのか疑問です。どれだけ時代や環境が違っても子供は子供でしょう。小説での千年の魔法はひづるが生き返ることが千年の魔法とされていますが、映画ではもっともっと、千年の魔法は凄いことになっています。 【マーガレット81】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-29 21:09:21) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 新子のマイマイは想像力と感受性のアンテナ。千年前の人々の暮らしに思いを馳せ、友の痛みを自分の痛みとして感じ取る事ができます。新子の父親は研究者であることから、もともと好奇心旺盛な家系なのでしょう。しかしマイマイは新子の専売特許ではありません。貴伊子も新子と同じ千年の夢へ飛び込めたように、マイマイはどの子どもだって持っています。いや、我々大人にだって。ただ、新子のように「明日の約束を返せ!」と叫ぶのが“しんどい”事や、空想に割ける時間が限られている事を大人は知っています。だから、普段は仕舞っているだけ。でも使わなければ、どんなお宝も錆びてしまいます。自分のマイマイを久しぶりに出してみたくなる本作のような映画は、大人にとって貴重な存在だと思いました。類似作品として真っ先に思い出されるのが『となりのトトロ』。“ススワタリ(真っ黒くろ助)が見えるのは子どもだけ”と、空想と現実世界に明確な線引きがされていたトトロに対し、本作の境界はやや曖昧です。マイマイが有る限り、人はいつでも千年の魔法に酔う事が出来るのですから。そういう意味では、ファンタジー色の強いトトロの方が厳しい世界観だと感じました。トトロは成熟した大人が作ったアニメ。マイマイ新子は子ども心を忘れない大人が作ったアニメ。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-01-04 22:53:23) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 前半は子どもらのやることを笑いながら見ていて面白かったが、後半に入ると影がさして来て、妙に深刻な事件が起きたりする。主役の女の子があんな顔で怒鳴るのはやりすぎなんじゃないか。原作ではもっとあっけらかんとした感じだったろうと思うが。 またストーリーが複雑で難しいので、一回見ただけでは何が起こったかわからず、理詰めで考えなければならなかった。何か話を作りすぎのような気がする。独りよがりな台詞も多い。 ただ、映像的に美しいのは心に残る。また個人的には特に、千年前と昭和30年の風景を直接重ねて見せるような、いわば歴史地理学的な発想が面白いと思った。それがまた、都びとの目には何もないように見える一地方にも何百年、千年にもわたる人の暮らしが積み重なっている、という映画独自の主張につながって、時間的な深みを感じさせている。 それから千年前の一般庶民にも、花を散らす牛車を見てなごむ程度の心の余裕があるように描かれているのはよかった。世の中いいことばかりでないのは当然だが、悪いことばかりでもなく、楽しいこともある。それは千年前も今も同じだろう。昭和の事件の結末も含めて、この世界に対する基本的な肯定感が伝わって来て嬉しくなった。それはあくまで“子どもの世界”なのかも知れないが、中年男に向けた癒し効果もあったと思う。 そういうわけで、マイナス面もあり他人に勧めるのは躊躇するものの、個人的には忘れがたい映画になってしまった。 なお、登場人物のうち特にお姫さまのキャラクターが可笑しくて可愛い。周防権介の息子らをいいように使ってやりたい放題だったが、後半、山中の家を訪ねた場面は見ていて泣き笑いだった。周防守の権威をもって、この母子にいい継父を世話してやれないか。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-12-31 15:44:38) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 昭和30年代の地方の田園風景の再現は「トトロ」を彷彿させる。「トトロ」が家族の親愛の物語ならば、本作は友達とのコミュニティを扱った作品だろう。子供たちは友達と遊ぶことで世界を拡げて行く。行動半径だけではなく、精神世界も広がってゆく。学校の授業では教わらない、とても大切なものを身に付けて行く。その舞台として用意されるのが、デジタルが一切無い緑と水に溢れたご近所。その豊穣な世界観を観るだけでも意味があると感じる。一方で、友人の父親の自殺が大人の世界への鬼門として表現される。本作の子供たちは、それに抗する手段を持たない未熟な弱者として描かれる。いつかは、友達と遊ぶ時間も厳しい現実に取って代わる予感。だからせめて今は精一杯に遊ぶ。その時間と仲間たちを慈しむ。それだけを切々と謳っている映画でした。心を素にして感じる。そんな映画でした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-04 17:32:44) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 結論から言えば近年のアニメ映画の中でも傑作だと。大人こそ観るべきアニメでしょう。 でも意外に賛否両論ある作品で、理由はファンタジーの要素が少なく冒険ものとしてあまりわくわく出来ないこと、終盤の展開が現実的でシビアな点があると思います。 でも自分はこの作品が大好き。昔の子どもたちの遊びや生活を観ているだけでも楽しい。 古代の人たちのエピソードも、夢か、それとも新子の力によるものなのかはわからずじまいなのですが、この映画は「どっちでもよい」というスタンスをとっています。子どもたちの世界は、子どもにとって「ほんとう」であればよい、というふうに受け止めました。 ハッキリとした描写の映画が多い中、こういった作風は個人的にものすごく好きです。 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-13 18:21:34) (良:1票) |