4.《ネタバレ》 リアルタイムでサイレント時代からトーキーを経て映画を愛し続けた方々にとっての、この作品に対する感慨は、おそらく想像以上に凄いものがあったんでしょうね!しかし現代のようにサイレント映画も手軽に楽しめるようになると、自分のような後々のファンにとっても、その感慨の断片くらいは充分に感じることが出来る、いや出来るどころか震えてしまいます。もう映画に対する究極のリスペクト、精神を病んでしまった過去の大女優、その残酷さ。大なり小なり今後、僕自身も今以上に良かった頃の思い出に幻影として取り付かれていくことがあるのだろう。徹底している、この作品の全てが徹底しまくっている。ラストシーンのスワンソン、そして元夫の執事、シュトロハイムの愛のかたち。優しさとは何か?息をのむしかない驚愕のラスト。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-11-05 07:50:01) (良:3票) |
3.《ネタバレ》 これは何とも言えずとても残酷な…。この映画の表皮1枚下にある意図に気付いた時、その相が一変する。男女の愛憎話、痴話話、“よくある話”。その一枚下に何と残酷な暗喩を置いたのか(いやむしろここまで露骨だと直喩なのだが)。これは、映画史の中の一時代への一種の葬送。サイレントの大女優スワンソンを主人公役に、サイレントの大巨匠シュトロハイムをその執事役に据える残酷さ。新時代の巨匠デミル監督は本人役で登場。サイレントからトーキーへ。シュトロハイムからデミルへ。遺物としてのチャップリンへの回顧。豪奢で薄暗い屋敷はサイレントという過去の栄華の暗喩(直喩)。陽の当たらなくなった過去の遺跡の中に生きるスワンソンとシュトロハイムの一方で、華やかな撮影所のライトの下、隆盛を謳歌するデミル監督。これはビリー・ワイルダーの一級のグロテスクで残酷なユーモアなのですね。ラストの凄絶な花道。魔都ハリウッドを貫く大通り。だけれどその名はサンセット。衰退。 【ひのと】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-05-15 22:38:47) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 「イヴの総て」つづきで私も最近になって見ました。このプール、どうやって撮ったの?とばかり考えてました。初っ端にコレを映してくるこの自信には恐れいりますよね~(意外な結末や犯人を最後の最後に明かしても面白くない作品はあまたあるじゃないですか)。登場人物たちは、身勝手でそして哀れでした、でも自分だったらそうするかも、と納得もしますね、やられた。 スワンソンやポーカー(だったっけ?)仲間役のthemselvesさんたちが実際に当時「過去の人」になりつつあったというのもえげつないです。オスカー取る力あってオスカー向きでない、怖すぎ。 【かーすけ】さん 9点(2004-10-11 15:49:29) (良:1票) |
1.所謂サイレントの時代には本作のタイトルと対をなす「サンライズ」という傑作があり、執事のマックス役のシュトロハイムが監督し、映画のオールタイムベストには必ず顔を出す「グリード」があり、劇中、グロリア・スワンソンが道化て扮するチャップリンの一連の作品は言うまでもないが、スワンソン自身「チャップリンの役者」に出演してたりする。スワンソンが劇中語るように映画が最も輝いていたのはサイレントの時代であり、映画は音声というものを得た替わりに見る者に与える夢を失い、また、質そのものもノーマのキャリア同様、凋落(つまりサンセット)の一途をたどっているのだろうか・・・という危機感をワイルダー自身、本作製作当時に抱えていたことは想像に難くないが、映画を撮り続けることの必然を見出そうとし、得た答えが(誤解を承知で言えば)最早映画とともに心中するしかない、というものであるがゆえ逆説的に作品に永遠の生命を吹き込む、という何とも皮肉な離れ業をやってのけたことには只々敬服するしかない。つまり、本作のオープニング、死人のモノローグから始まるという当時としてはえらく斬新であった手法も「終わりから始まる」という永遠の時間軸の中を生き続ける、ということからその必然が理解できよう。すなわちエバーグリーン。 【ダイ】さん 9点(2002-03-07 12:19:31) (良:1票) |