33.《ネタバレ》 あの小人さんたちは、けっして人間に幸福をもたらしてくれる甘ったるい妖精さんではなく、現実的な生存競争のなかを生きている自然界の動物なのですね。かたや人間のほうは、この珍しい動物を利用して、何やらよからぬことを企もうとしている。したがって、人間と彼らの関係は、予定調和のファンタジーにはならず、むしろ『ジュラシックパーク』みたいな過酷なリアリズムになっています。 人間の心が豊かだった時代には、ああいう小さな生き物たちにも気前よく間借り(というより寄生)させていたのでしょうけど、社会が世知辛くなって樹木希林みたいな人間ばかりになったから、そのようなゆとりがなくなったのでしょうか。 大人の視点から見ると、この物語の着地点は、小人の一家がただ気の毒なだけで腑に落ちないし、樹木希林の言動がリアルすぎてドン引きでしたが、子供に見せるぶんには、ああいう小さな世界への感受性や想像力が養われて良い映画だろうと思います。たぶん大人よりもお子さんにお勧めの映画。 【まいか】さん [地上波(邦画)] 7点(2020-08-29 09:13:48) (良:1票) |
32.《ネタバレ》 こういった設定の映画である以上「小人から見た世界」が面白く描かれていれば問題無いと考えながら視聴した為、まず満足。
部屋に飾られている大きな時計が人間の腕時計だったり、お茶を淹れる際にも水滴が大きかったり、猫や狸が巨大な獣だったりと、色々楽しかったですね。 逆さに伏せられた硝子のコップを、物珍しい美術品のように眺めるアリエッティというシーンも印象深い。 ……ただ、虫が巨大なサイズで気持ち悪かったのは難点かも。 ダンゴムシをボール代わりにして弄んだりする描写なんかは、ちょっと引いちゃうものがありました。
タイトルになっている「借りぐらし」に関しては、いくら作中で「人間から借りているだけ」と主張されても、明らかに泥棒だよなぁ……と思えてしまい、ノリ切れず。 もうちょっと小人なりに人間の生活に貢献しているとか、借りた分を些細なお手伝いなどで返してみせる描写があれば納得出来たのでしょうが、小人はひたすら人間を恐れて隠れつつ盗みを働いているだけですからね。 ただ単に「借り」と「狩り」のダブルミーニングにしたかっただけでは? と感じられました。
ドールハウスと小人の寸法がピッタリ同じというのは、ご都合主義だとばかり思っていたのに「実は小人の為に作らせた代物」だったと判明する辺りなんかは、上手い脚本だなと感心。 アリエッティの母親救出の件で、さながらスパイ物めいた音楽と演出になったり、窓を開ける際に「人間には出来ない事でも小人なら出来る」と示す流れになったりするのも良かったですね。 原作の元ネタと思しき「秘密の花園」を読んでいるシーンなんかも、思わずニヤリ。 「秘密の花園」→「床下の小人たち」→「借りぐらしのアリエッティ」の三作品には、それぞれ四十年以上の間隔が空いている事を思うと、魅力的なストーリーラインは時を越えて受け継がれるのだと、しみじみ実感させられます。
そして、事前に調べなくても「ヒロインの描き方が全然ロリコンっぽくない」という時点で宮崎監督作じゃないと気付いた本作なのですが、これも結果的には良い作用を齎したんじゃないかと思えます。 小人の美少女なんて、如何にもフェチ心をくすぐる題材だし、やりようによっては幾らでもエロティックに出来たのでしょうけど、そちらは極めて薄味な作り。 それが物足りない人もいるのでしょうが、自分としては好みなバランスでした。
むしろ脚本と監督の溝というか、作中の台詞と全体の流れが噛み合っていないのでは? という点が気になりましたね。 脚本を書いた人がビッグネームな時に起こりやすい現象なのですが、監督さんが脚本に気を使って、書かれていた台詞をそのまま採用してしまったがゆえに生じる違和感のようなものがありました。 その最たるものが「君は僕の心臓の一部だ」というクライマックスの台詞であり、確かに感動的なのですが、それまでの流れを考えると、どうしても(そこまで言う程の深い交流があったかな?)なんて思っちゃうのですよね。 死にゆく病人と滅びゆく種族とで、シンパシーを感じたのだろうけど、長年連れ添った恋人同士じゃあるまいし……なんて、ついつい意地悪く考えてしまいました。 別れのシーンは、台詞だけでなく、音楽や演出も悪くなくて、グッと来るものがあっただけに、そこが凄く残念。
それと、中盤に母娘で針仕事をしながら「この大きな袋は何なの?」と娘が尋ねるも、母親は答えないというシーンがあるんですよね。 ここ、てっきり気球かヨットの帆を作っていて、それが引っ越しの際に役立つのではと予想していたのですが、見事に外れました。 こちらは、ちょびっとだけ残念。
でも、本作には「薬缶に乗って河を移動する、静かなエンディング」の方が似合っていたようにも思えますね。 希望の象徴と言うべき海のポスターを効果的に活用し、単なる悲劇では終わらせず、より良い明日に向けての「旅立ち」を感じさせる終わり方であった点も含め、中々に心地良い映画でありました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-05-10 10:18:04) (良:1票) |
31.原作はシリーズの5作品全部読んでおり、それなりに思い入れがあるので、ケチを付ける気まんまんで観ましたが、いやあ、見事!の一言。もっと早く観れば良かった。文章をビジュアルとして提示出来る強みが最大限に発揮されてます。何気ない背景や小物類にも色んなアイデアが詰まってて細かいところまで見応えがあります。基本的に1作目のストーリーを軸に、2作目と3作目の要素もちょっとプラスしている感じですが、原作を読んだ人ならきっと大満足できる内容にまとまっていると思います。それにしても公開から6年も経っているのに続編が作られる気配がないのは残念です。実は、原作は、1作目よりもそれ以降の作品の方が面白いんです。気球を作って空を飛ぶ4作目なんかすごくアニメ映えすると思うんですが。抜群の素材(原作)がまだ手つかずで残っているのに、このまま一作だけで終わってしまうのは勿体ないなあ。 【すらりん】さん [地上波(邦画)] 8点(2016-04-22 00:39:51) (良:1票) |
30.個人的にはジブリの中ではベスト3に入ります。 ストーリに起伏がないという意見がよく見られますが 登場人物が大声をあげたり、アドレナリンをだしまくる ような物語は正直辟易としているので、このアニメの 淡々と声を抑えた物語ががとてもすきです。
BGMもきわめて控えめででしゃばらず、小人から見た 世界の景色や音、物理法則をスケールを考慮して描いて いたり(例えばポットの表面張力とか)ディティールが とてもいいです。
歴史や世界観といった大げさなものではなく、もう少し 家族数代といったぐらいのスケールの、きわめてローカルな、 個人の時間の積み重ねみたいなものがきちんとにじんでいるのも とても素晴らしい。
必要以上に世界や歴史をしょい込んだ物語ではない点 (ナウシカやもののけと違って)、小人といっても、 トトロのような「お話」ではなく、きわめてリアルでみずみずしい ファンタジーになってるところ、などなど。
絵空事ということではなく、生活感覚と密着した幻想性みたいな 感じがとても好きです(妖精もこんな感じでもっとリアルで近しい ものだったのでは?)
物語に大きな起伏がないのに、何度みても飽きない。 傑作なんだと思います。 【ウンコマン】さん [地上波(邦画)] 9点(2014-07-19 00:26:26) (良:1票) |
29.《ネタバレ》 他のジブリ作品と比べて小ぢんまりとした話に思えるのは、小人だからか。 そんなに短い作品ではないけど、ショートストーリーのようなあっさり感。 【afoijw】さん [DVD(邦画)] 3点(2014-03-16 04:40:40) (良:1票) |
28.《ネタバレ》 ファンタジーなのにワクワクしない。 ワクワクしないファンタジーって感情移入出来なくて視点が冷めてしまうので、うん、そうなんだ、ふーん。で終わってしまう。 過去のジブリのファンタジーの作品と同じく、ワクワクする下地は確かに存在しているけれど、山場においての悪役となる家政婦に主張がなく、何がしたいのかさっぱりわからんまま。 結局感情移入どころか、ヤマと感じることすら出来なかった。 家を出た後にようやく面白くなりそうな片鱗が見られるのだが、そこで物語が終わってしまって消化不良。 題材は面白いので、その後の話を描いていれば、もっともっといい映画になれたのかもしれない。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-12-14 12:43:20) (良:1票) |
27.なぜだかよく解らないが鑑賞し終わった後の気分は良い。 人間は誰もが心に陰の部分を持っているが、本質的な優しさはそれらを遥かに凌駕する、的なメッセージを感じたからかも。 人間が作った道具を小人用にアレンジして部屋の中をクライミングするシーンが前半の見所であり、そのあたりは流石に芸が細かくていい。 もしかしたら小人と人間との関係性は「寄生」ではなく「共生」なのかもしれないが、本作ではそこまで説明はなされていない。作品のテーマとは違うのであえて触れなかったのかもしれない。 と、なんとなく色々と擁護したくなってしまう作品だ。 アリエッティが素敵だからかも。しばっっていた髪をほどくのは男心をくすぐります。
ただ、多くの人が書いてるように母親役は絵も声もダメダメ。 これが違ってれば家政婦が母親を捕まえるシーンはもっと素晴らしくなってたはず。 アリエッティは魅力的なのになぜ母親はこんなイメージになったのだろう。本当の親子ではないのかと深読みまでしてしまう。 大竹さんには悪いけど、このせいで二度と観ようとは思わない。残念。 【banz】さん [地上波(邦画)] 7点(2012-03-04 03:23:51) (良:1票) |
26.《ネタバレ》 東京都の多摩地域に住んでいる小人が外人名前で外人顔で(材木にくっついて来た外来種?)、それでいてひらがなも読めるのが何とも荒唐無稽だが、ストーリーとしてはそれほど悪くない。劇中の少年がまだ若いのに、自分の生命などたかだか67億分の1(今だと70億分の1)でしかないと悟ってしまっているのは切ない気がするが、そのことで一方的に共感を寄せた相手には厳しくはねつけられてしまったわけで、この辺はさすが生命力豊かなジブリのヒロインだと思う。 ただ、少年の方が勇気をもらったのはいいとしても、少女の種族の未来はやはり先細りという予感しかなく、最後の小川の場面で、個人的にはターミネーター(1984)のラストシーンが思い出されたのはつらいものがあった。
ところで、この映画では家政婦の存在が非常に不快なわけだが(母親も相当不快だがまあいいとして)、実はああいう素質をかなりの人間が持っており、だからこそ彼らは絶滅しかけているという想定なのだろう。子どもの頃なら昆虫や小動物を虐殺するのはよくあることで、姿が人間に似ていれば余計に虐待のしがいがあるはずだ。大人はさすがにそういうことをしないのが普通だが、あの家政婦はもともと性質が自然人に近いため、虐待衝動がモロに出てしまっただけだと思われる。ここは家政婦を罵って終わりにするのでなく、人類すべてが自戒すべきということなのだろう。 しかし、今回の件であの家政婦を解雇したりすれば、近隣に悪口雑言をふりまいて嫌がらせの限りを尽くすのではないかと考えると、やはり出来が雑な人間はどうしようもないと思ったりする。まあ世間も人を見ているので、全部が全部真に受けるわけでもないだろうが。 そのように考えていると次第に話がそれてしまうが、とにかく最終的にはそれなりに面白いという印象が残ったのでそれなりの評価にしておく。 【かっぱ堰】さん [地上波(邦画)] 5点(2012-02-18 22:39:36) (良:1票) |
25.虫嫌いの私としてはちょっとキツかった…というのはさておき、単純にもっと面白く出来たのではないかと思うわけです。いろいろフラストレーションたまったので、せめて男の子に家政婦さんをぶっ飛ばして欲しかったですね。 【なこちん】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2012-01-05 01:55:03) (良:1票) |
24.《ネタバレ》 アリエッティが独断で角砂糖を返しに行ったところ、家政婦がイジワルなところ、お母さんがやたらと消極的で役立たずなところ、翔が勝手に台所を取り替えるところ、そして草っ原で翔がアリエッティに例の話しをするところが醒めポイントでした。 よくよく考えたら好きなジブリにはこの醒めPが限りなく少ないことに気が付きました。 あと、見所である「借り」のシーンをもっと増やして欲しかった。 若いころと違い、大人になって寛容さは随分と身についたつもりでしたが、翔の暴言を許容できませんでした。 自分が辛い境遇に置かれていることが他者を傷つけても許される免罪符になるとは思いません。 年端も行かない子供相手に何いってんだ…と言われればそれまでですが。 【りんす】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-12-20 21:01:05) (良:1票) |
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23.序盤の父とアリエッティの「借り」のシーンで高まった期待の回収先がないまま終わってしまった、という感じ。個人的には、ストーリーはたいして展開しなくても小人の借りぐらしという世界観に浸る「雰囲気映画」という路線も別に悪くないと思う。ただ、雰囲気を楽しもうとすると、翔君の「滅び行く種族」発言とか家政婦さんの突然の悪役展開など、中途半端なメッセージやドラマがそれを邪魔する。あと、セシル・コルベルに日本語で歌わせる必要があったのか? 「雰囲気映画」だったら、ラストこそその世界観に浸っていたい部分なのに、突然の「かーりぐぅらーししてたのおー」でぶち壊しです。いや、セシルは本当にがんばって日本語の詞をモノにしてると思います。でも、なぜわざわざエンディングであれを流さなきゃいかなかったのか。雰囲気に浸りたいのに浸らせてくれないフラストレーションを抱えての終幕でした。 【ころりさん】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-12-19 06:17:37) (良:1票) |
22.《ネタバレ》 小人の目線から見た人間の世界がリアルに描写されていて、そこはけっこう良かったが、話としては小さくまとまりすぎている感じで、ドラマとしての大きな盛り上がりや深みがなく、劇場アニメというよりはテレビアニメの1エピソードのような印象が強い作品。一応、小人を捕まえることに執着する家政婦が悪役として描かれているが、そのエピソードもはっきり言ってムリヤリ話を盛り上げようとしているようにしか見えないし、終わり方もこれで終わりかよというくらい唐突で、見終わってほとんど何も心に残らない。元々ジブリ作品って昔からそんなに好きというほどでもないので、期待もあまりしないのだが、新人監督育成のための企画とはいえあまりにやっつけ仕事感がする。最近のジブリ作品を見るのはぼくとしては「ルパン三世」のテレビスペシャルと同じくらい惰性に近いものがあるのだが、こうなると作り手の側も惰性で作ってるんじゃないのという気さえする。結局、ジブリは宮崎駿監督のブランド力でもっている、今まで薄々感じていたことだが、今回は特にそういうことを考えてしまった。ジブリは元々宮崎監督と高畑勲監督が映画を作るために設立されたスタジオなので、鈴木敏夫プロデューサーは後進の育成にあまり本気でないのかもしれないが、このままだといずれジブリの将来は危ないと思う。そう考えると劇中の「君たちは滅びゆく種族なんだ。」という翔(神木隆之介)のセリフがジブリ自身の将来を暗示しているように感じられてしまう。 【イニシャルK】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-12-18 03:17:15) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 「私たちは未来の人たちから今の地球を借りている」そういう考えがありますが、それに似たテーマーなのかな~と思った。翔くんの「君たちは絶滅する~」の台詞はムカッとしましたが、病気の話で「ああ、自分のことか…」と分かる。67億人も人間はいるのに自分は数日後には死ぬ…その恐怖からでた言葉なんですね。ちゃんと謝るのはえらい。小人の気持ちも確かめずにキッチン取り替えは「おい…」と突っ込みたくなったが死ぬ前に何か残したかったのかもしれない。でも結局彼のした行為で小人は出ていく事になった。人間は好奇心の生き物だ。が、別の立場からみれば大迷惑なのだ。親切の押し売り、探究心はほどほどに。「触れない」思いやりや他人の尊厳をもっと大事にしようよ。そうすれば、もっと謙虚になれる気がする。それにしても、ジブリ作品っていつからか説教くさくなったな… 【果月】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-12-17 14:13:12) (良:1票) |
20.《ネタバレ》 純粋に作品の評価として6点。小人は長年人間を敵視してきたようだが、アリエッティは翔に協力を求めた。お父さんは弱さを受け入れ、違う種族に頼るのを恥と考えるだろう。しかし、新たな関係を築けるかもしれないと感じさせてくれたアリエッティと翔の友情は清々しい。ただジブリがこんなものを作る意味は全然分からない。ジブリである意味がない。他でも作れるんだから。「ジブリだ、ジブリだ」ってありがたがって見ているのは宮崎駿という一人の天才が残した遺産なのであって、作画の水準やジブリ流の演出が他と比べて特別優れている、などという事はない。勘違いしないでほしい。オリジナルで勝負できる監督が出てこなければ、ジブリは今の地位を絶対に失うから。 【リーム555】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-12-17 00:46:46) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 これは、シンプルに面白いです。最後まで引きつけられました。物足りないとの意見も多いようですが、ワタシには、ここでぜひ終わってくれ、と願ったタイミングでした。いさぎよし。「人間に見られた小人は、その家を去らねばならない」という族長(父親)の意見を、そのまま運命と受け入れ、旅だっていく「やかん船」は、今後の波瀾万丈を十分想像させます。なお、本編とは関係ありませんが、声優さんはプロ声優の方のほうがよいとの意見、ワタシはあまりそういうふうには考えていません。日本語吹き替えの「ハリー・ポッター」を見てて、磯野波平さんがこんなところにも出張している、と考えてしまうクチなもんで。というわけで、本作の神木隆之介さんには、第二の「松田洋治」を目指してほしいと思っています。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-18 22:44:54) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 【メインテーマ】『両親とは縁が薄くてたまにしか会えず、病弱ゆえに友達もいない孤独な少年。数日後には心臓手術を控えており、静養のために母の実家に引っ越す。少年はそこで小人を見る。そしてよかれと思い、ドールハウスの台所を小人の家に据える。人間に見られたら引っ越すという家訓を持つ小人は、少年と対話しにいく。少年は自分の命が儚いことから、小人に「君たちは滅びゆく種族なんだよ」と失言を吐く。小人は「どんなことがあっても生き延びる」と反論。小人のためによかれとしたことが最悪の事態をまねき、意気消沈する少年。しかし小人に助けを求められ、生け捕りにされた小人の母親の救出に成功。初めて人を助ける(守る)という行為をしたことで自信を取り戻し、手術と向き合う勇気をもらう。別れの場面で「君は僕の心臓だよ」というのは生きる勇気を与えてくれたことに対するお礼。小人も人間は悪い人ばかりではないことを知り感謝の涙を流す。小人達は新しい住処を求めて旅にでる』以上のようなことを表現したかったのだろうが、失敗している。少年の心が描けてないから。 【疑問点】①少年は押入れの床下に小人の家があることをどうやって知ったのか?そもそもどうして押入れの床にドアがあるのか?②借りぐらし=失敬ぐらし。小人と人間が対等でないとテーマが成立しない。小人が一方的に人間に従属していたのでは自尊心が育たない。何か恩返ししないとね。③途中小人二人が縫っている大きな袋は何だったのか?④コオロギの脚を食うって何事?人間から借りるんじゃなかったの?⑤いつか海を見たいという母親の伏線は? 【感想】少年と小人の心の交流を中心としているため、アニメ特有の冒険や空想物語のマジックが薄味が薄味になってしまった。小人世界の世界観を表現することに汲々として、人間が描けておらず、冒険も中途半端、起伏の少ない展開で収束。小人にジャンプ力とか飛行能力とか、何か特殊能力がほしい。敵役があの家政婦では役不足でしょう。誰も危機感をもっては見ない。家政婦も小人に対する執着心も唐突すぎる。伏線が必要。蝦蟇にさらわれ結婚を迫られる「親指姫」の方がよほど悲壮感がある。鴉や狸の描写はうまいのだから、もったいない気がします。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-13 18:29:22) (良:1票) |
17.《ネタバレ》 小人の大きさが、ありんこやだんごむしとさりげなく比較されている。つまり彼女は意外と大きいのだ。残念なのは冒険をしないことです。「冒険」あってのジブリだと思う。ラストでアリ子がナマズを見て興奮するシーンがあったが、本当の冒険はそこからはじまる予感があった。如何せん90分は短すぎる。翔くんが、小人にたいして「君は滅びる運命だ」と言った言葉は、多くの観客の顰蹙を買っているようだ。しかし、私はあえて彼を擁護しよう。そもそも翔くんは口下手だ。彼の言葉を超訳すると、「君らはぼくと同じ運命なんだ」ということ。この気持ち分かる?毎日、病気で苦しい思いをして、生きることに諦観を持った少年が、滅びることを認めないアリ子に対して、「どうせ頑張ってもぼくと一緒でムリなんだよ!」という怒気も含まれている。彼はただ、怖かっただけなのだ・・。翔くんがアリ子のことを心臓の一部だと言ったのは、アリ子をすべて理解した後である。これは人間の心臓を、生きるための原動力と捉えたメタファーなのだ。また私がこの台詞を超訳しよう。「君はぼくの生きるための原動力だ」と、翔くんはアリ子にお礼を言ったのだ。小人ゆえにアリ子の動きは常に何かによじ登ったり、ジャンプしたり、ダイナミズムだ。そんなダイナミズムな動きそのものが「生」を象徴している。そして生きることに諦観を持った翔くんは、生の象徴たるアリ子の姿をて、みるみるうちに再生していく。翔くんが自暴自棄で言った台詞→君はどうせ(ぼくと一緒に)滅びるんだよ。でもこの台詞を彼が口にすることは二度とないでしょう(泣)最後はもう涙ボロボロでした。 【花守湖】さん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2011-08-15 11:01:20) (良:1票) |
16.けっこう酷評を聞いていたのでそのつもりで観たせいか、思っていたよりは面白かった。でもこれ映画料金1800円出すかと問われると迷う。 往年のジブリ映画は観終わるとき「ああ、もう終わっちゃう…」と心惜しさが残るのに比べ今作は「あれ、もう終わっちゃう?」と物足りなさが残る。この差は大きい。監督が誰(何)の為にこの作品を手がけたのかという疑問がわいた。一見すると尺の短さや物語の素朴さに問題があるように感じるのだが、よくよく考えてみるとジブリの平均点を目指すことに尽力を注いでしまい、肝心の主要キャラクターが脚本通りにかっちり動きすぎていて監督がアリエッティと少年に踏み込もうとしていないところが原因ではないかと思った。面白い映画の主人公は創り手の意思を飛び越えて自由に動き出してくるものだけど、アリエッティはそうじゃなかった。主人公にもっと深くするどく突っ込んで練りに練って推考しまくった結果があのアリエッティだったのだろうか?否、どこかにサラリーマン根性が臭う納期に間に合わせた感のあるキャラだ。そういう点で非常に惜しい作品だと言える。(これに限らず猫の恩返しもゲドもそうなんだけどね) 余談だけど、ゲド戦記辺りから胸糞悪くなるような嫌味なキャラは皆オバちゃんだけど最近のジブリの中の人はオバちゃんに何か恨みでもあるのかな?でももし宮崎駿だったらあの家政婦を意地が悪くても何故か憎めない面白いキャラに描けたのではなかろうか。監督としての力量の差がここで大きく出たなと思った。 それと居心地のよかった住処から引越ししたくないけどやむを得ず新天地を目指さなくてはならなくなり海のポスターを見つめ将来の希望を見出すアリエッティの母親の姿に今後のジブリの姿勢を垣間見てしまったような気がしたのは勘ぐりすぎですかね。 【どぶん子】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-07-06 01:34:04) (良:1票) |
15.ジブリはこういった系統の方が私は好きです。ポニョ、ハウルで楽しめなかった人にお勧めします。 【映画】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-06-29 15:54:54) (良:1票) |
14.我が家の屋根裏にもちっちゃい人が住んでいて、夜になると走り回ってます。 でも、一向に出て行く気配はないですけどね。 それにしても、この設定でこんなつまらない作品になってしまうとは驚きです。 借りぐらしのワクワクするようなギミックは秀逸で、彼女らの生活を眺めているだけでも楽しいです。 前半は明らかに名作の勢いで、どう頑張ってもハッピーエンドは望めそうにない展開に切なくもなります。 でも、後半は予想の斜め上を行く展開に唖然とさせられました。 そんな無理矢理に出て行く状況を固めなくても、見られた時点で出て行かなくちゃいけないのは確定なんだから、その切ない運命にスポットを当てようよ。 わざわざハルさんを悪人に仕立て上げる必要性を感じなかったです。 人間はみんないい人なんだけど、それでも出て行かなくちゃいけないという方が切なさも増したんじゃないだろうか。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-06-28 18:31:17) (良:1票) |