4.《ネタバレ》 主人公が、まだあどけなさの残る少年をストリートギャングの世界に引き入れる冒頭から、この映画の世界は深い闇に包まれています。暴力と殺戮に支配された世界で、ひたすら鬱々とした物語が続いてゆくばかりなのですが、情感をもって詩的に語られる映像と共に少女に託された仄かな希望の輝きは、見終わって清々しさすら覚えました。救いのない旅の終わりに、幾つもの閉ざされた未来の中に、ほんの少しだけ輝くもの。破滅の中にあって、みんなが望んだ夢。堕ちてゆく少年の姿と対比されたそれは、現実を嘆いてはいても、決して絶望はしない、前を向いた姿。物語は最初から約束された道を進むような、ひねりのないものですが、役者達から発散されるリアルな存在感、そしてそれを的確に捉えてゆく映像が、がっちりと心を掴む力作でした。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-07-14 16:53:15) (良:2票) |
3.途上国の貧困層における悲惨な現実とかすかな希望を描いた意味のある小品やったとは思うねんけど、途中から愛の逃避行のような展開にしてもうてたんはおいら的には失敗で、全体通してとにかく脚本が弱いと感じたし、主人公ふたりの行動にもどうにもうなずけないところが多々見られた。淡々とした列車の旅と、容赦のないバイオレンス描写はよかったんやけどねぇ……。 【幻の『モンスター』】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-12-22 10:07:25) (良:1票) |
2.まだちいさな男の子が大勢のギャングにリンチを受ける。 リンチを終えて痛みに泣きながらも嬉しそうに笑う男の子。 目をそむけたくなるようなこのシークエンスで、この国がギャングにでもならなければまともな暮らしができないことをガツンと知らされる。 そして暴力と貧困の中で生きる主人公は、なまじっか“愛”などという人間らしい心を持ってしまったために、命を追われる身となる。 そんな彼と行動を共にするのもまた、劣悪な環境から逃れ危険を覚悟で米国に向かう移民の少女。 明るい未来なんか何一つない彼らのロードムービーには不似合いなほどに美しいメキシコの大自然と朝日が印象的だ。 人間らしい心を取り戻しながら死に向かう主人公と、人間らしい心を失いながら生きる術を手に入れていく冒頭の少年の対比がただただ悲しい。 ひたすらリアルに中米の貧困、移民の現実を描いた秀作。 【poppo】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2011-08-15 22:27:47) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 「明日」など遠い未来。次の一瞬を迎えることさえ命懸けのギャングと少女の道行きは、常に熱気を帯びていた。まだほんの子どものスマイリーが、生き抜く手段としてギャング業にしがみつく姿もまた然り。望んだ明日を掴むのとはほど遠い、最後それでも足を踏み出す若者の姿、その目の光がこの映画のパワーとなっている。ラストの“ms”は、ニッと笑うと見えるように彫ったのかな。どのみち待ち受けるのは張り詰めた瞬間。サイラもスマイリーも。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-02-11 12:18:00) (良:1票) |