★4. ネタバレ 次作『ヴァンダの部屋』のヴァンダが俳優として別人役で登場していますが、他の登場人物も多く、リスボンのスラム街に屯するプロの俳優ではない人々が多々演じている…という意味で、前作『溶岩の家』から『コロッサル・ユース』以降までへと続いてゆくコスタの作風が固まりつつあったという作品なのかとは思われます。ただ、それでいて、やはりまだ後年の作品に比べればその「可読性」は相当に高度に備わっている…とゆーか、むしろ本来、別に「これ位に分り易いハナシでも全然好い筈ジャン!」と、後の作品を先に観てしまうと(どーしたって)そう思ってしまう…みたいな感覚もあるのですよね。
シンプルに、そのリスボンのスラム街に在る諸々の侭ならなさや、それに起因する人々の絶望(に極めて近いだろう感情)を、今作から感じ取るコトは(筋が明確で分り易いから)ごく容易でありますし、個人的には第一作『血』に比べると(ソコに加えて)ある種の進化と言うか、それは続く『ヴァンダの部屋』で更により一層明確になるコトだとは思いますが、今作も、その「取り繕わない」感じがまた演出方針や監督の作風自体には非常にマッチしていたかな…と思ったりもするのですよね。しかし、だからこそ、根本的にどうにも「出口の無い」お話だった様に見えている(⇒実際、終わり方自体は明確に解釈できる様なモノではなかったと思いますし)というトコロから、結論的には今作が、この建付けでこの内容であるのならば、描かれるモノの性質を鑑みると、私としては『ヴァンダの部屋』より高い評価になるかと言われれば、否…というコトになるのですよね。とは言え、いったんこの評価としておきます(私嘗て『ヴァンダの部屋』にもう一点高く付けたと勘違いしてた……) 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 6点(2025-05-04 23:16:52) ★《新規》★ |
3.今のところココでの平均点が高いとは言えないこの作品が、そしてこの作家が、多くのシネフィルたち、あるいは映画作家たちから絶大なる賞賛を浴びていることをまず書いておきながら、やっぱり私も6点どまり。以前に驚きと戸惑いと共に見た『ヴァンダの部屋』(これも6点なんだけど)と比べれば実にドラマチックで物語だけでもじゅうぶんに面白いはずなんだけども、悔しいかなどうしても退屈なのである。画面に映っていない世界、つまりフレーム外を意識させる音の演出にしても『ヴァンダの部屋』の映されているものよりも映されていないもののほうがメインのような音の演出を先に体験してしまった者からすればなんだか物足りない。にしてもその筋では大絶賛の人。それなりの理由があるはずなのだ。むりに同調するつもりはないけども、退屈さを凌ぐ何かがあるような気もする。その何かを期待してペドロ・コスタをまた見たい。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-07-26 16:30:34) |
2.ネタバレ そもそも、旧植民地からの移民が多く住むスラム街というシチュエーション自体が十分ドラマ性(語弊があるかもしれませんが)を持っているわけで余計な脚色は逆にそのドラマ性をぼやかしてしまうのかも知れませんね。そういった意味で余計なものを削ぎ落としたこの作品の製作手法は間違ってはいないと思います。
ただ、事前に作品内容についてある程度の予備知識を持っていないとはっきり言って何がなんだか良くわからないのではないかなとは思いました。 【TM】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-10-01 00:26:08) |
1.ネタバレ 冒頭から、極端なほど会話がなく、登場人物の顔を映して沈黙の表情をただ見せるだけといったシーンだったり、覇気のない様子を延々と映し出すだけのシーンが何度もあって、かなり退屈してしまった。 これら一連のシーンを、そこに生きている人の貧しさや暗さだったり絶望感が描かれているものとして捉えるべきなのかもしれないが、これはただ単に作り手の表現力の乏しさ故のものだと考えたい。 上記のシーンに意味合いが生じてくるのは、登場人物のその場での生活状況や心情がまずストーリーとして前もって描かれてからであり、映画の序盤からいきなりそのような淡々としたシーンを並べても全くと言っていいほど効果が現れないように思う。 ラストで見せた微かな笑いは、日常のささやかな喜びやこれからの一抹の希望を表現したものだったのだろうか。もし仮にそうだとしても、それまでのストーリーで特に面白い点もなかったこともあり、かえって虚しい笑いのように感じた。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 4点(2010-09-30 01:14:24) |