4.《ネタバレ》 観るのがこれほど辛いのに、思わず観てしまう、そんな映画ってそうないと思います。今時、生活の中で大きな岐路に立たされたとしても、ソフィーほど辛く破壊的な選択肢を突きつけられることはないでしょう。そして最後の選択が「自らの命を絶つ」ことで、そのことによってようやく安息を得られるなんて、あまりにも悲しい。観てもハッピーになる映画ではないけど、できるだけ沢山の人に観て貰いたいです。 【ソフィーの洗濯物】さん 10点(2004-01-28 19:57:30) (良:2票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 純朴な青年がほろ苦い大人の恋愛を垣間見て成長するというオーソドックスな青春映画なのですが、そこに壮絶なキ〇ガイ演技を絡めることで、相当にインパクトの強い作品となっています。なかなかブレンドの難しい素材だったと思うのですが、これを違和感なくまとめてみせたアラン・J・パクラはさすがの手腕を見せています。。。 物語の成否は、主人公・スティンゴの行動をどう合理的に説明するかにかかっていました。ソフィーとネイサンは、常人ならば絶対に関わり合いになりたくないカップルです。決して変わり者ではないスティンゴが、そんな彼らと深い親交を結ぶに至る経緯の説明は困難だろうと思うのですが、映画は、その辺りを実にうまく処理しています。ある時は強引に連れ出され、ある時はプレゼントで友情を示され、そのうちにスティンゴはこの三角関係の一員になるのですが、その過程にまるで違和感がありません。出色なのは、ヤれると思っていた女の子とヤれずに悶々としていたスティンゴが、その代わりに、あわよくばソフィーとヤれればと親切な男ぶって話しているうちに、思いがけず彼女の壮絶な過去を聞いてしまうという件。ここから物語は核心部分へと突入していくのですが、正義感や人道主義ではなく、男のスケベ心をその発端とした語り口は面白いと感じました。。。 ホロコーストが主題となる後半パートは、見事な出来だった前半と比べるとイマイチでした。ナチスシンパの父親の元で育ち、その後は一転してレジスタンスの男と交際してアウシュビッツに送られたというソフィーの半生は波乱万丈すぎて作り物感全開だし、収容所のドイツ人達は鬼畜すぎて、かえって生々しさから遠ざかっています。どうすれば普通の人間が殺戮者へと変貌するのかという点までを考えて人物造形がなされていた『シンドラーのリスト』と比較すると、本作のアプローチは表面的すぎて訴求力に欠けます。。。 メリル・ストリープの演技はとんでもないことになっています。業を背負いぶっ壊れてしまった女を、押しの演技と引きの演技を巧みに使い分けながら完璧に演じています。うますぎて嫌味に感じてしまうほど。ただし、魅力的な年上美女というソフィーの設定をストリープが具現化できているかという点には、少なからず疑問符がつきますが。容姿やエロさまでを考慮すると、同年のオスカーを争ったジェシカ・ラングの方が役柄にマッチしたように思います。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-07-30 21:04:03) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 最初に見たときは、現在の妙な三角関係の描写ばかりで話が前に進まないとか、ケビン・クラインが1人で切れすぎではないかとかいろいろ拍子抜けした部分があったのですが、よく見てみたらとんでもない。あの三角関係の中にこそ、ソフィーが背負ってきたものの重さが全部に滲みまくっているということが今頃になって分かりました。ネイサンはひたすら自己中心的でコミュニケーション不全なのですが、解放後に魂を抜かれたような状態になっていたソフィーとは、きっとお互いに同じものを感じ合ったはず。そうすると、ケビンの切れ具合も必須の描写であったことが分かります。また、一気に話を飛ばすことなく、一枚一枚薄紙をめくるように明かされるソフィーの過去も、強力な現実性をもって迫ってきます(「嘘をつきすぎてどれが本当か分からなくなった」というソフィーのさりげない一言が重い)。これこそが人間ドラマの描写です。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2005-07-11 00:18:15) (良:1票) |
1.この世の中にこれほどの絶望の生があろうか。彼女には狂気という逃げ場さえも奪われているのだ。生きるということを決定的に引き裂かれ、それでも生きていかなければならない、それほどの地獄があるということに、僕らはただ息をのみ、言葉を失うしかない。 彼女はそれでも「不在」の神に祈りを捧げるのだろうか。「不在」の神とは、常に「沈黙」する神。「カラマーゾフの兄弟」でイワンが切々と訴える「永久調和の世界が将来達成されたとしても、それが何であるかを理解しえずに涙を流したまま死んでいった子供がいる以上、到底承認することができない」神でもある。もし、祈り続けられる勇気があったのなら、本当に狂気から目をそらさずにいられるのだろうか。 【onomichi】さん 9点(2003-10-18 22:55:45) (良:1票) |