1.《ネタバレ》 端的に言うと失敗作だと思います。2004年NHKドラマ版(ジェームス三木脚本)の出来が良すぎただけに、どうしても較べてしまいます。ドラマ版では上川隆也演ずる寺坂吉右衛門が主人公で瀬尾孫左衛門(香川照之)が親友だったのを、映画版では逆に孫左衛門を主人公にして、さらに可音がらみのエピソードだけに絞り込んだのは時間の都合上仕方ないと思いますが、そのせいで寺坂と瀬尾の友情の描き方が不十分です。また可音の桜庭ななみというキャスティングは悪くなく、役所広司演ずる孫左との淡い恋情などはよく描かれているとは思いますが、前後の状況説明が足りないため最後の切腹の説得力が減じている気がしてなりません。せっかく寺坂に佐藤浩市という実力者を配したのに実にもったいない。やはりドラマ版のように寺坂を主役にした方が物語が理解しやすい気がしました。ただドラマ版を知らずに映画を見た人にとっては、「こういうものかな」と素直に受け取れるかもしれません。 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 4点(2010-12-21 22:11:58) (良:1票) |