8.《ネタバレ》 情け容赦なく、殴って蹴って殺って犯ってヤりまくってバラす! ヌメヌメグチャグチャドロドロズッコンバッコンゲロゲロ映画! こんなにブチ切れた映画がインディーじゃなく、メジャーな感じで公開されてヒットしてるなんて、なかなか気持ち良いね。公開劇場増えればいいのに。 ブチ切れてる映画って、結構観客置いてけぼりのオナニー映画になりがちだと思うんだけど、本作はしっかりエンターテイメントになっていて、面白いのが凄い。2時間半弱の長さは全く感じない。ハードバイオレンスに、コメディ風味が足されているので終始苦笑いで観られる。 濃厚なゲロの味がするような、すげえ汚いけど、すげえ面白い映画。 実話ベースとは言っても、ここまでやられるとファンタジーにしか見えない。 細かいツッコミなんてしゃらくせえ。 18歳未満お断り! 「冷たい熱帯魚って面白そうだけど、グロいの苦手なんですけど大丈夫ですかね?」 とかイチイチ聞くような人は観ないでヨロシ。 しかし、間違ってもお母さんと観に行ったりしちゃダメだぞ! 「いやー、良い見世物を観た!」というような清々しい気持ちで劇場を後にできました。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-13 12:16:21) (良:4票) |
7.《ネタバレ》 確かに、熱帯魚は綺麗で美しい。だが、魚は魚を食い、弱肉強食の如く憐れみの欠片も見当たらない。なぜならそれが、自然の摂理だから。思えば人間とは、そういう本能的な部分を普段は理性の衣で覆い隠している希有な生き物である。劇中の登場人物、村田はそんな人間が大嫌いだという。言うまでもなく、村田という人物は相当ヤバいキャラで、主人公の社本は観客にははっきりモノを言わない優柔不断な男に映るだろうが、彼が言うならば今の日本人の等身大だとも言える。それ故に観客は社本に肩入れをし、終盤で村田やその妻愛子をめった刺しにするシーンは見ていて胸のすく様な思いすら覚える。不思議なもので、やってることは村田と同じなのだが、その行いのカタルシスや凄まじいものがある。思えばこの作品は、全編に渡って嫌悪感を感じるとんでもないエログロの爆弾みたいな代物なのだが、なぜだか笑えてきてしまう。それは実を言うと、殺戮の行為というよりも描き方に理由があって、人間の描かれ方が表面的でポップだからだ。リアルだけならただの嫌悪で笑いにならないが、ありえない反社会的行為であってもそれがブラックジョークになる。カタルシスを覚え、多いに笑ってしまう自分を省みたとき、その時初めて自分自身が表面上小綺麗に演じているだけの「冷たい熱帯魚」であることに気づくのだ。話長くなったが、とにかくでんでん氏の怪演は相当見ものだということは間違いない。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-08-22 23:51:41) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 台風の影響で計画していた九州旅行がキャンセルになり、やり場のないエネルギーをぶつけるには『キック・アス』で最も信頼できる監督の一人になったマシュー・ボーン最新作の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』よりも、欲と欲がぶつかり合い過剰なエネルギーが横溢する園作品こそ、旅行キャンセルのフラストレーションを受け止めてくれるのではとの主張が通り、妻と名画座に観に行ってきました。『愛のむきだし』と同じく「愛」と「家族」をテーマとしているものの、B級要素を放り込んだごった煮大ほら話であった前作に比べて物語のスケール感は後退しましたが、血糊とエログロは大幅に増量して吹きこぼれ寸前の作品を、でんでんという悪役でフタをしたのが本作です。村田夫妻のかもし出す過剰さ、悪役としての突き抜け方とケレン味は秀逸で、でんでんと黒沢あすかには万雷拍手を贈りたいです。バラバラ殺人を「ボデーを透明にする」と言い換え、輪ゴムにこだわるB級感覚とハッタリに賭ける過剰さこそ園作品の真骨頂であり、私が本作に望むものでした。のび太が眼鏡を外してスーパーサイヤ人化する終盤を過ぎてからのハチャメチャな展開も園作品のお約束で、作品のモチーフとしても、映画への取り組み方にせよ「やりたいことは、やれ」という一貫した姿をスクリーンで大写しにして示す様子に私は安心して鑑賞できました。一方妻はグロ要素に拒否反応を示し、作品選定と鑑賞料金について説明責任を追及されてしまいました。 【さめがい】さん [映画館(吹替)] 8点(2011-07-19 15:51:00) (笑:2票) |
5.《ネタバレ》 表現は非常にグロテスクですが、内容は非常に骨太で見応えのある作品です。特にでんでんが、軽妙な明るさの陰にどす黒い闇を抱える男を見事に演じています。コワモテの男よりもこういうオッサンの方が本当に怖いですからね。 そして、前代未聞の異常な事件をモチーフにしてはいますが、この作品で描かれているのは家族関係の問題、そしてでんでん演じる村田が決して突然変異で殺人鬼となったわけではなく、誰しもがそうなる可能性を持っているということですね。
現に、最初に人体の解体シーンを見たときの感じ方と、2回目、3回目のシーンを見たときの感じ方は全く違っているはずですから・・・・・。
しかし、元ネタの事件は酷い話ですね。背筋がゾッとしました。
【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-12-11 23:25:27) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 一度見始めたら、やめられない。自分もいつ、何をしでかすか分からないと、自戒しているワタシですが、村田にはなれないと断言できる。すべての自分のトラブルを自分で解決してきたと言える村田。「善人面」のワタシはグウの音もでない。ラスト間近の展開は、社本が村田のスパルタ教育に過剰適応してしまった結果。「善人面」って、そういうことをやらかしちゃうもんなんですよ。村田の誤算。「お父さん、ごめんなさい。もうしません」と繰り言をいう村田をその妻に、「ボディを透明にしろ」と命じた後、社本には、警察に行って欲しかった。壊れて自ら命を絶つよりも、正気を取り戻し、この忌まわしい体験に身を焼きながら、生きて過ごす残りの日々の方が、「善人面」の社本には、絶望的なはず。それでも、そうして欲しかった。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-10 10:18:04) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 この作品は、園子温監督が、底知れぬ人間の欲望と狂気を通して「人生と家族の在り方」を描きたく、46億年の地球に準えて壮大なドラマに仕上げたのではないか。 その熱き想いが劇中からひしひしと伝わってくる。まるで生中継しているような臨場感や迫力を感じるのは、出演者たちのアグレッシブな演技にみるリアリティー他にならない。中でも、村田演じるでんでんの存在感は抜群である。人の弱みを即座に見つける嗅覚に長け、その鋭い眼光と巧みな話術で弱者を支配する。そのたたみ掛けるような光景の連続に好きであろうと無かろうと自ずと物語に引き込まれてしまうからスゴイ。 本能の趣くままに実行する村田、一方で、なすがままの社本、この対称的な二人の出会いは偶然ではなく必然だったといえる。再婚して以来、空虚で仕方がなかった社本。そんな徒然な日々から脱出しようと妻の薦めもあり村田の手伝いをするハメに。言いなりでも懸命にもがき始めるのだが、娘には理解してもらえないもどかしさを抱えたまま•••。そんな折、どんどんエスカレートしてゆく村田の指示にいつしか社本の理性のリミッターはプッツンと解除されてしまう。そして怒涛の急展開をみせ、作品に込めた重大なメッセージ(まぁ説教くさいけど)を社本が体現(自決)するのだが、それは痛み伴ってきた母なる大地へと還元されてゆくんだよ、そしてやがて消えゆく運命なのだよ、と地球規模にまで昇華させようするんだから半端ないのだが、今更人生と向き合い始めた父親言われても説得力はないだろう。 人の闇の部分ってのは誰しものぞき見したくなるのが本能。それをこの映画はうまく利用してエンターテイメントとして確立させている。 問題作を撮り続ける園子温監督の「紀子の食卓」に並ぶ、いやそれ以上の屈指の集大成だと思う。観るべし! 【シネマブルク】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-08-18 22:31:10) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 でんでんと黒沢あすか夫妻の壊れっぷりと、吹越満の小市民感(というか至極まっとうな人間感)、凄まじい殺戮の融合。なんだかもう、わけがわからんけど、とにかく園子温らしく、全体的に赤いイメージの、ショッキングながらもパワーがある映画だった。 個人的にはスプラッターやグロいのはあまり得意ではないけれど、シリアスではなくどこかポップでもある(たぶんこれが園作品の特徴なんだと思うが)から、二時間半の長い尺も楽しく観られた。吹越満による「生きるって痛い」という娘へのメッセージ、そして娘のリアクション。ひどいオチだが、だからこそこのメッセージも生きる。ところで、「アウトレイジ」もそうだったが、バイオレンス表現があまりにひどすぎると笑えるというのはどういうメカニズムなんだろう。ダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクション芸を見て笑うのと同じなのか。大量出血も肉片も見慣れてくる頃には観客の倫理観も完全に麻痺していて、現実的に考えれば法的にも心情的にも許されないようなシーンでも構わず爆笑が起こる。そんなサディスティックで不思議な空間にいたことも、体感として忘れられない。「この素晴らしき世界」はまさしく、映画館で体験するべき。
【よーちー】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-15 12:15:07) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 村田(でんでん)の徹底した悪人ぶりに圧倒され、現実から逃げて楽な服従を選ぶ社本(吹越満)。実際、観ている側も圧倒されます。エスカレートする圧力へ反抗心が芽生えても、人のネガティブを知り尽くした悪魔のような村田の弁舌に消沈する。これは大人のイジメの話なのかと思いつつ、社本のストレスがいつ、どの方向へ解放されるかを心待ちにしました。タガが外れた後の社本は期待以上。村田をメッタ突きにして溜飲を下げた後、家族への態度も変わる。村田が口にしていたネタを教訓にしたような横暴ぶり。コイツは村田2世になって、その強権で家族をまとめ上げるのかと思ったら、そんなありがちな回答は用意していない。妻を道連れにし、娘には遺言として社会の厳しさを痛みと共に教えようとする。人生はイタイとかツライとか…。たぶん、円満な家族ならそれは伝わるけど、この家族には無理。娘にしてみれば「私だってイタイしツライわよ」で終わり。何の成果もあげずにウザイ親父の死として娘を喜ばせる。テーマはシンプルだと思う。崩壊している家族を徹底的に暴こうとした映画。あるいは、崩壊していても体裁を保つことが出来る、家族と呼ばれるあやふやな人間関係に豪快にケチを付けた映画だろうか。ウチはあそこまで酷くないと思える人には良い映画なのかも知れない。徹底的にやる映画は素敵だ。グロさのインパクトが不穏な余韻を残す反面、全てを見せられた快感がある。スクリーンに向かってもう十分と言いたくなる作品は滅多にありません。役者に対する褒め言葉に「体当たりの演技」と云うのがあるが、本作の黒沢あすかと神楽坂恵こそ、その言葉に相応しいと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-09 23:31:44) (良:1票) |