6.“バレリーナ”という人種をカテゴライズするならば、「芸術家」と「アスリート」どちらが適切か? 「バレエ」というものをまともに観たことは無いが、それに関する物語や、実在のバレリーナのドキュメンタリーを見る度に、そのカテゴライズに戸惑う。 一流のスポーツシーンを観たときに感じる芸術性を踏まえれば、「バレエ」という表現は、「芸術」と「スポーツ」それぞれの究極が重なり合う領域に存在するものなのだろうと思う。
そして、「芸術」と「スポーツ」その両方を愛するからこそ敢えて言いたい。“両者”が行き着く先は、果てしない「自己満足」の世界だということを。 詰まりは、「バレエ」という“表現”の到達点は、究極の「自己満足」であり、「自己陶酔」だ。
だからこそ、その「究極」を追い求める過程において、精神世界の屈折、そして自我の崩壊は、往々にして避けられない。 そういうことこそが、この“異質”な映画が描き出す本質だろうと思う。
ひたすらに純粋で無垢な欲望を追い求める主人公の望みが叶った瞬間、自らが抱える闇が蠢き始める。
そこには、芸術と肉体が融合した「バレエ」という表現の特異性と、バレリーナという生き方における破滅的な精神世界が入り交じり、言葉にし難い「混沌」が映し出される。
究極の「完璧」を追い求め、次第に“崩壊”していく主人公。 自分を取り巻くすべてのものを傷つけ、嘆き、その“ダメージ”がすべて自らに向けられたものだと知った時、彼女が見たものは何だったのか。
とても、色々な捉え方が出来る映画だと思う。 目が離せないシーン、とても観ていられないシーン、それぞれが連続して波打つように展開する。決して心地の良い映画ではない。 ただ、振り返ると、様々なシーンが脳裏に浮かんでは消え、その時々の主人公の心情に思いを巡らしていることに気づく。
「どういうジャンルの映画か?」と問われると、返答に非常に困る作品であるが、観る者それぞれの心理に直接訴えかけるような“一筋縄ではいかない”映画であることは間違いない。
儚さ、脆さ、危うさ、愚かしさ、そして悍ましいまでの恐ろしさ。それらすべてを包括した主演女優の美しさに圧倒された。
「レオン」から16年、よくもまあ凄い女優に成ったと思う。素晴らしい。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-05-15 01:46:01) (良:2票) |
5.んー、「ヘンな映画」というのが正直な感想。何かをする「能力」ってのは、そのものを上手くやることとかセンスの良さに加えて、要領よくこなすとかプレッシャーを味方にしてしまうとか、そういうのもひっくるめたものを指すわけで、そういう意味で、ニナは主役を張る能力のない凡ダンサーってことです。母親との確執がベースにあると言いたげな描写だけど、あの程度の母親の暴走は「想定内」じゃないかなー。もっと凄いステージママは一杯いる。見ている間、ドキドキやハッとするの繰り返しで、飽きずに最後まで見られるけど、これほど見終わってなーんにも残らないのは映画としてはイマイチ。ナタリーは、見事にバレリーナの体つきになっており、これは、おおっ!と思ったんだが、踊りは、んー、頑張ってるけど、プリマの踊りにはやっぱり見えぬ。ベスがウィノナだったなんて、後で知ってびっくり。彼女はやっぱり上手い。それでも、エンタメ映画には一応仕上がっていると思います。 【すねこすり】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-11-23 22:05:07) (良:1票) |
4.バレエの捉え方は、舞台シーンも練習シーンも大変雑でガッカリ。山岸凉子漫画の精神世界を真似たような物語は、陳腐な流れで新しさなど感じられない。ポートマンは、もっといい演技をした役が他にいろいろある。悪い意味での驚きでいっぱいな映画。お金も注目も両手いっぱいに集めたアロノフスキー監督には、次回作めちゃくちゃ期待している。 【のはら】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-09-09 16:48:32) (良:1票) |
3.よそ見すると取り憑かれそうな映画でしたw内容の異様さもさる事ながら、演技がその異様さを何倍にも増幅しており、観ている間すべてを奪われます。なので観終えて何も言葉が出ず、せっかくのデートなのにあっさり家に帰ることになりました。そんな彼女は後日一人で再びこれを観たそうです。。。何かに取り憑かれた僕の彼女の心を返してくださいの8点ww 【nazu】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-09-03 19:18:58) (良:1票) |
2.バレエって単語で拒否反応が出てスルーしてましたが、全然バレエの知識に疎くても観られます。むしろバレエのバの字も知らない人間でさえグイっと映画の世界へ引き込む官能と狂気が入り乱れるすごく力強い映画でした。圧倒されました。役者、映像、演出、音楽、どれをとっても文句なしの出来で満足です。エロシーン満載ですが決して下品ではなくむしろ美しささえ感じる。これぞエロス。芸術品みたいな映画ですね。ラストシーンの演出なんかはゾっとするぐらい良かったです。オーケストラの音楽が凄いので是非映画館で観ることをお勧めします。 【ケ66軍曹】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-05-27 19:05:50) (良:1票) |
1.ストレートで分かりやすい内容でした。久々に派手なアクションや奇抜な設定、謎解きなどがない映画を観た気がする。 ヨーロッパ映画みたいな雰囲気。芸術は自己表現であるがゆえに、常に情熱と狂気がともなう。私のように「テレプシコーラ(バレエ漫画)」にはまった人はおもしろいけど、興味のない人はつまらないかも。 ナタリー・ポートマンはオスカー受賞も納得の演技。 主役ニナの比重が7、8割占めるので、オスカーとるぐらいでないともたなかっただろう。 ビデオレンタルで観てもいい気がするが、舞台で大勢の人がいる時と一人の時(孤独)との違いや舞台の奥行き、黒鳥の見せ場の迫力などはスクリーンでないと味わえない。 バレエに関する基礎知識があった方が楽しめると思う(お勧め本は「私をバレエに連れてって」←別に宣伝じゃないけれど…;図書館でどうでしょう?;) 映画を支えきる力をもった女優(プリマ)に喝采を贈りたくなる映画でした。 【果月】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-15 10:46:52) (良:1票) |