5.主人公のアリスは、8歳で“Alice doesn‘t live here anymore”(原題に同じ....アホなので訳せない)を聞き、「あたしの方が上手く歌えるわ」という大きな勘違いから歌手になる事を決意し、一応その夢は叶ったようだが結婚により廃業。35歳で夫と離別し12歳の息子と旅にでることになるわけだ。私が興味を持ったのは彼女と一人息子との関係である。子を持つ親なら誰もが頭をよぎる格言がある。子は親の鏡」まさにアリスの息子は、その言動・行動において彼女の心を移す鏡の役割を担っている。そしてアリス自身も息子との会話の中で、自分でさえも気付かなかった(と言うよりも封印していたと言うべきか)本音に触れ、しだいに自信を取り戻していく。ただし結末は「本当にこれでいいのか?」という疑問を残す。ところで、本作の前に同監督の「タクシー・ドライバー」を先に観てしまうと、とんでもない心理状態に陥るだろう。例えばハーベイ・カイテルが登場したその時「うわぁ、た、大変だ!この男は絶対に悪い奴だ!」と100人中95人は思う。例えば息子のGFとしてジョディ・フォスターが登場したその時「うわぁ、た、大変だ!この子はきっと災いをもたらす!」と100人中87人は思う。そして...「ほら見たことか」とアリスたちの行く末をますます心配するようになり、見終わっても結局スッキリしないかもしれない(汗) 【nizam】さん 8点(2003-12-19 18:21:30) (笑:3票) |
4.夫に突然事故死され、子供一人抱えたアリスは家財道具を処分して、もう少しマシな地方都市へと車を走らせる。母子の前に広がるのは無限の荒野と長い道だが、心細くなりながらも元気を取り戻していく。これこそがフロンティア・スピリッツで、いかにもアメリカ的人間そのもの姿であり、その活力が彼女たちを生き抜かせていく。友達関係のようなアリス母子の描写が面白く、又、アリスがウエイトレスになって、最初は喧嘩ばかりしていた先輩格の女とやがて仲良くなって、太陽の光を浴びながら二人で話をしているアップの秀逸なカット等々、M・スコセッシの印象的な演出は冴えわたる。 【ドラえもん】さん 8点(2001-04-01 19:19:13) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 タイトルは「不幸なアリス」と言ったところか。たった90分程度の間に何度泣いたか気がしれない、しかも男運悪し。初めの夫だって決して良い人だったとは言い難いし、二番目のハーヴェイ・カイテルなんて最悪の極み。こうなると三人目の男もなかなか信用できなくなるわけで、でも最終的には彼女は幸せへの一歩を踏み出すことに成功する。そこで気付く、この映画のタイトルは 「幸福なアリス」なのだと。 【かんたーた】さん 7点(2004-03-26 18:45:34) (良:1票) |
2.主人公は母親であると同時に女でもある。子育てもするし、労働もするし、恋愛もする。厳しい現実に直面しつつも、自分の夢を追い求めたり、子供のために必死に生きようとする。決して完璧な母親ではないが、そこには人間的な一人の女性がいる。私は今35で主人公と同い年で、子育ての苦労も無くノンビリ暮らしているのだが、私の母親が35の時の頃を思い返した時、主人公と同じように決して完璧ではなく、今考えれば納得のいかない言動もあったが、彼女なりに私を育てるために必死だったんだろうなあと思えて、とても感慨深い気持ちになりました。 私を生んで育ててくれた事に感謝したいです。 |
1.フェニミズムが台頭してきた70年代半ばから末期は、それまでのアメリカ映画における女性の扱い方が大きく変化した時期だが、この映画はその大きな転機となった、記念すべき作品。女性の自立、男性文化・社会への挑戦を試みた点と、主演のバースティンが当時40歳を過ぎた中年女性であったということは、忘れてはならないと思う。監督のスコセッシを指名し、配役にも決定権を持ち、クルーも女性を揃えたバースティンの意欲は評価できるが、内容としては妥協的なのだ。勿論、女性ドラマとして十分堪能できるし、ウェイトレス仲間のダイアン・ラッドとの掛け合いも楽しい。しかし、結果的に彼女は、新しい恋人クリス・クリストファーソンに頼ることによって、経済的・精神的な安定を手に入れるかのように見える。これをフェニミズム映画と呼ぶことはできない。本当の転換は77年に起ったように思うからだ。この年には優れた女性映画が多数製作された。「愛と喝采の日々」「グッバイガール」「アニー・ホール」等など。未見の方は、こちらの映画もあわせてご覧あれ。「結婚しない女」(79)もお薦めです 【ノブ】さん 6点(2003-02-02 16:35:45) (良:1票) |