6.《ネタバレ》 私自身は決して一人であんな峡谷へは行かないと思うので、その意味で主人公の行動には最初から感情移入しにくかったが、「腕だけが岩に挟まれ動けなくなる」という特異なシチュエーションに惹かれ鑑賞。アーロンはアウトドアのベテランらしく、はじめは冷静に様々な脱出策を試みるが、それがほぼ不可能と悟るや次第にこの岩場に至る自分の人生を振り返り始める。そして最後は「この岩は隕石の時から俺の上に落ちてくるのを待っていたんだ」と、親不孝や、恋人へのわがままな態度、そして行き先を告げずに峡谷に出かける無用心さなどが招いた因果応報をいやというほど思い知ることになる。こうした主人公の内省プロセスは観ている者自身の生き方も省みさせるだけの効果があった。こういった題材を単調にせずに商業映画として完成させるには、シナリオやカット割、撮影の順番などが大変難しいと思うが(俳優の衰弱具合を時系列にしなければならない)、ビデオカメラを上手に使ったり、ウォーターボトルなどを容器の側から撮るところなど、いろいろ工夫されていた。またあえて他の場所にシーン転換せず、ひたすら岩場と回想・幻想のみに場面を限定したことで、観客もアーロンと共に最後まで岩場から動けない状態にさせることに成功している。人は誰しも窮地に立たされた時に初めて本当に大切な物事や普段の生活のありがたさを思い知るわけだが、本作のような映画はそのような疑似体験ができる意味で非常に有意義であると思う。 【田吾作】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-03 18:26:43) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 「自然は人間には無関心だ」(池澤夏樹の著書より)ダニーボイル監督作品は面白いね。観ていて「イントゥ・ザ・ワイルド」を思い出した。調子に乗って、自然の中に飛び込むと、こんな事があるんですよ。この後も懲りずに自然の中に飛び込んでいくのがバカな人だったってことですね。「バカは死ななきゃ治らない」 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-01-07 23:55:59) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 一人の男が岩の隙間に挟まれるという内容で、どうやって間を持たせるのかが気になっていたのですが、過去の思い出と妄想、夢で大半を占めるという構成になってましたね。サバイバル術みたいなものを期待していたのですが、いい意味で裏切られました。岩に手を挟まれ、食べ物や水もなくなり、このままでは絶命してしまうという状況。ダニー・ボイル監督のこれまでの作品を振り返ってみると、けっこう残酷描写が多かったりしていたので、「あぁ、これはつまりそういうことか、、、」と最初の段階で察しがつきました。それでもやはり、例のシーンでは思わず目を細めてしまいましたね。自分だったら、腕を切る勇気があるかな~なんて思いながらも、主人公の境遇や行動にはどれも共感するものがありました。ただ一点、主人公が無事に腕とおさらばした時に、現場の状況をカメラで撮影するシーンがありますよね。「うわ~、そんなことするん。自分だったらやらんわ~」ってその時は思ったんですけど、あれはやっぱり、凄く象徴的な行いだと思うんですよね。要するに、彼は自分の家族とか、あるいはガールフレンドに対して、自分の思いを率直に伝えるということが出来ていなかった。それがフラッシュバックで明かされているけれど、そういう風に本心から逃げていた自分を悔いて、初めて自分と正面から向き合った。それがあの行動なんだと思います。「なにかを得る為には、なにかを失わなければならない」という言葉がありますが、彼は自分の腕を失った代わりに、ものすごく大きいものを得たんだろうと思います。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-01-07 15:38:08) (良:1票) |
《改行表示》 3.シーンもほとんど変わらず、役者も出てこない映画なのに、最初から最後まで飽きさせない映画を作り上げたダニーボイルはさすがである。 途中、ザ・ビーチを彷彿させる、独特の世界観は好みの分かれるところだとは思うが、主人公が少し間が抜けていて、お気楽な性格がシリアスな映画でもそこまで暗くさせず、希望を持ってみることが出来る。 ノンフィクションなので、ほとんどの人は結末を知っているであろうが、十分に楽しめる映画である。 【シネマファン55号】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-07-13 15:43:25) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 岩に腕を挟まれて身動き取れなくなったある若者の127時間。その間、彼は何を考え、何をしたか? まず良かったところから。主役のアーロンの人物造形がとてもリアルだ。隣に住んでそうだ。イケメンでいい奴なのだがちょっと変わっていてアウトドアがやたら好き。ウィークデーはアウトドア用品店でバイト。週末は車に自転車を積んでアウトドア三昧。何度も来てるブルー・ジョン・キャニオンなんてマジで俺の庭だから的なノリの軽さ(悪い意味ではない)。道に迷ってる女の子には声をかけちゃうし、ヒーロー気取りで秘密スポットも教えちゃう。この親しみやすさ(キャラクターの汎用性)が後半のドラマを盛り上げる。 あとは音楽の使い方がよい。この映画では、ぶっちゃけて言えばほとんどの時間を主人公アーロンは腕を岩に挟まれているわけだから、ジェームズ・フランコの一人芝居が延々と続くことになる。いくらアカデミー賞にノミネートされるほどの演技力と言っても、それだけで90分はさすがにキツい。だから音楽とか回想シーンの使い方が重要になってくる。回想のリアルさ(要は自分の選択に関する後悔の連続)もさもありなんという印象で面白かったが、それを盛り上げる音楽の選曲がとてもよかった。しっくり来ていた。 一方、減点要素。どうしても、取り扱ったテーマ上、どうしても退屈な部分が残ってしまう点。僕が結末を知っていて、「何だかんだやってても結局は○○しちゃうんでしょう!?早く○○しちゃえ!」と思いながら観てしまったせいもあるかもしれない。この映画を観る人はできるだけ事前に情報を仕入れずに行くことをオススメする。結末だけが面白いわけではないが、結末については何も知らずに観てほしい作品だ。 あとは、主人公の窶れぶりがイマイチ物足りない。確かに目の下の隈とか顔色の蒼白さとかはある。しかし、もっと目やにが出るだろうし、口の周りには干からびて白くなった唾液がついているはずだし、口内の水分も少なくなってもっと呂律も回らないはずだ。5日間くらい風呂に入らずに埃っぽい野外にいたら、もっともっと不潔にはなっているんじゃないか。細かい部分だがちょっと考証が甘いかな。 総合するとほんとは6点くらいなのかもしれないが、この映画のポジティブなメッセージには共感できるので少し甘めの7点。ビデオを前にしての一人ライブシーンはよかった!そのユーモア力に拍手!! 【枕流】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-19 17:51:53) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 そもそも山で遭難して、一人ぼっちで・・・っていう内容なので映画にするには、ドラマ性が極めて薄い題材。世界まる見えとかの1コーナーで、ノンフィクションとして 盛り上がるには良い題材だろうけど。 それをこんなスタイリッシュな映像と、効果的な音響、あれやこれやと技巧をつくして 退屈させないような一本の上質な映画として仕上げたダニー・ボイルさんは流石。 オープニングから、タイトル「127時間」が出るまでのカッコ良さは筆舌に尽くし難い。 それでも、前半はイマイチ面白くないなー、と感じてしまった。妄想や回想にフラフラ切り替わる手法はあまり好きではなく・・・。 しかし、あのクライマックスは凄まじかった。 痛い痛い痛い!!! 数々のホラー、スプラッタで人体が破壊されていくのを観てきたが、ここまで目を覆いたくなるような事は稀。 終わるころにはグッタリ・・・。 人間の手足って、もっと簡単に取り外しできればいいのにね!! 【すべから】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-19 15:00:34) (笑:1票) |