5.《ネタバレ》 「脱獄は簡単だが、その後が大変だ」という台詞が印象的。 この台詞が序盤で語られる場面だけでも充分にインパクトがあったのですが、映画の終わりにも再び繰り返されるというんだから、何だか徹底していましたね。 脱獄に成功した主人公達の未来を示唆する台詞であり、この映画を象徴する台詞でもあったように思えます。
とはいえ、その簡単なはずの「脱獄」も充分に困難である事が劇中で描かれており、だからこそ(逃げ続けるのは、コレ以上に大変なのか……)と思える終わり方になっているのが見事。 脱獄に成功し、ハッピーエンドと呼べる終わり方のはずなのに、まだまだ前途多難である事を示唆される。 でも、それまでに描かれてきた主人公の力強さを思えば、そんな困難も必ず乗り越えられるはず……と、希望を失わずに前向きな着地を果たすバランスは、かなり好みです。
そんな具合に、中々の佳作と呼べる品なのですが、難点としてはやはり「主人公の妻が無罪かどうか、最後まで謎のまま」って事が挙げられるでしょうか。 主人公は一貫して無罪を信じている訳だし、物語の展開としても「そんなの、どっちでも構わない」って話ではあるんですが、やっぱり観客としては気になっちゃうんですよね。 仮に有罪であれば「それでも主人公は妻の無罪を信じ、殺人を犯すほどに暴走してしまった」という切なさが生まれただろうし、無罪であればハッピーエンド感が増したであろうし、答えを明かさないままというのが勿体無く思えてしまうんです。 意味深な場面を挟み「どちらでも観客の好きなように解釈して良いよ」って思わせるような形でもなく、何か「妻が有罪なのか無罪なのか、答えを出すのを忘れてた」って感じられる構成だったのも痛い。 ここは素直に「妻は無罪である」と示す場面を挟んでも良かったと思います。
あと、コレは観客側の自分が悪いんでしょうけど、今回久し振りに鑑賞し(あれ? 主人公が殺す相手って、因縁とか全く無い麻薬の売人だったの?)って驚いて、ガッカリもしちゃったんですよね。 「序盤に主人公を騙して金を奪い取った相手から、復讐がてら大量の利息込みで金を奪い返す」って展開だと記憶していたんですが、実際はそういったストーリーの繋がりは無く、勝手に美化して記憶しちゃってたみたい。 その場合、序盤で主人公を騙した奴らに何の仕返しもしないまま終わっちゃうのかって不満も生まれるし…… この辺りは、思い出補正の恐ろしさというか「一度観た映画を、何年振りかに観返して評価する」事の難しさのようなものを感じました。
でもまぁ、そういった諸々込みで考えても、やっぱり「良い映画」「面白い映画」でしたね。 単純に、妻が美人で息子が可愛いってだけでも、主人公を応援したくなるような魅力がありましたし。 脱獄計画で大変な中でも、幼い息子を公園に連れて行って遊んであげたりする場面とか、ちゃんと主人公が「良い奴」だって事を示す描写があるのも嬉しかったです。 劇中で妻のリザが困惑していたように、ともすれば観客としても(この主人公、やり過ぎ)(いくら愛する妻の為とはいえ、流石に応援出来ない)って気持ちになってもおかしくなかったのに、そこをギリギリで踏み止まる形になっていましたからね。 空港に指名手配の写真が届く前に、間一髪で間に合った場面とか、そこで観客に(あぁ、良かった……)と安堵させる為にも、主人公を完全に「暴走する狂人」としては描かず、感情移入出来る余地を残しておいたのは、正解だったと思います。
警察側も数多くの証拠を掴んでいるし、後の「スリーデイズ」(2010年)に比べると、主人公達がいずれ逮捕される可能性も高そうな本作品。 それでも、きっと彼らなら大丈夫だと思えるし、そう思いたくなるという…… ビターなチョコレートのような、程好い余韻を味わえる映画でした。 【ゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-09-28 21:24:50) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 すべて彼女のために、でもすべては自分のために、そして息子のために、家族のために。選んだ道はとことん裏街道。残念だったことは銃に頼ってしまったこと その銃で殺人の罪を犯してしまったこと その銃で汚れた金を奪い取ってきたこと そしてその汚い金が家族三人の生活資金となってゆくこと。 この男を 許すか 許さざるべきか
許して賜う そもそも突如不幸に見舞われた家族だ。 決して声を大にして言えることではないが、だからあえて、小声で蚊の泣くような声で言わせてもらうよ ぶう~ん 『許しますよ』 ぶう~ん 『だからとことん逃げ切ってネ』 ぶう~~ん。とな 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-27 20:37:41) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 のっけからフランス人カップルっていちゃいちゃし過ぎじゃないのか?と引く。もう少しで家じゃん。エレベーターの中くらい節度を持て。そもそもそんなことしてなきゃコートの血にだって気づいたのでは。ニュースにだって目が行ったのでは。・・そこはまあ置いといて。平凡な国語教師の夫の奮闘ぶりがまあ涙ぐましい。よその女が秋波を送っても数ミリも心が動かないのがエライ。D・クルーガーがいくら美人だといってもこの鉄の意志たるや。子供も可愛く撮れている。ダイアンが後ろからそっと覗き見たときの小さな丸い背中、嗚咽をこらえてそっと横に座る母親らしさにもらい泣き。ここは「無事に逃げ切ってくれー」と全力で祈る場面だ。最後まで口を割らなかった父親の腹の座った表情も渋かった。フランス映画にしては珍しいハッピーエンド。パリ警察が徹頭徹尾無能なのには困ったもんだ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-21 00:11:19) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 ラブストーリーのような邦題の作品ですが、地味ながらなかなか見応えのあるサスペンスであり、家族を愛する男のドラマでもありました。 特に病院から脱出以降、相乗りの男と検問、空港へ手配写真がファックスで届くタイミングなどなど、派手さは無いですが緊張感を持続させる終盤の脱出劇の展開もいい。 しかし、冤罪で投獄された妻を救うのはいいのですが、夫に本当の罪を犯させてしまったのは良くなかった。 そのせいもあってラストも鑑賞後もスッキリとした気分にはなれないものが残る作品でした。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-10 21:43:34) (良:1票) |
1.ある日突然愛する妻が警察に捕まり殺人罪として懲役20年を食らってしまいそれを受けて夫が取った行動とは・・な感じのストーリーですが犯人探しというより妻をどうやって助けだすか、がメイン。まぁ「プリズンブレイク」のフランス版ですわ。平凡な国語教師が裏の世界に入り込み妻の為なら何でもできる、やれるという愛情は素晴らしいけど金の為に街のゴロツキまでやっちゃうっていうのはちょっとやり過ぎ感が。でもこの夫婦に子供がいるっていう設定がとてもよくてどことなくチャールズ・ブロンソンみたいな主人公がヴァンラン・ランドンにハマってるのがポイント。96分でよくまとめたなぁ~っていう監督の演出ぶりにはアッパレです。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-05-09 00:00:25) (良:1票) |