1.つまらなくはないが突出して面白くもない、アメコミ実写化作品としてはものすご~く標準的な仕上がりで、「ジ・アヴェンジャーズ」のために突貫作業で製作された作品であることが丸出しとなっています。70年代からヒーローの実写化企画に挑んできたマーヴェル・コミック社が、その失敗と成功の歴史から学んできたノウハウをまんまブチ込んで作っただけの作品という印象で、本作独自のアイデンティティには乏しいと感じました。。。愛国心の強いアメリカ版のび太くんがスーパーヒーローに変身する物語なのですが、もやしっ子が突如アスリートを超える身体能力を手にしたことの爽快感がうまく表現できておらず(「スパイダーマン」第一作では表現できていたんですけどね)、変身ものの醍醐味を活かしきれていません。ロジャース少年はその善良さと正義を愛する心を評価されてスーパーソルジャー計画の被検体に選ばれたのですが、彼の人柄もうまく表現しきれていませんでした。同様に、レッドスカルの残忍さの描写も不足しているため、悪役の存在感もイマイチ。レッドスカルはヒトラーをも超える誇大妄想にとり憑かれてナチスを離脱し、独自の軍隊「ヒドラ」を率いて世界制覇に乗り出したという素晴らしい悪党なのですが、映画ではそのスケール感がうまく表現できていません。また、その戦闘能力を発揮する見せ場が少なかったことも、悪役の存在感を低下させた原因となっています。ヒューゴ・ウィービングは相変わらずよくハマっているだけに、脚本と演出の手落ちが惜しい限りです。その他のキャラクターの描写も薄く、ヒロインであるペギー・カーターはキャップの心の恋人としての魅力に欠けるし、トミー・リーは缶コーヒーのCM並のやっつけ仕事ぶりを隠しきれていないし、キャップが選抜した特殊部隊のメンバーにもこれと言った見せ場がありません。唯一素晴らしかったのはクライマックスに登場したニック・フューリーで、サミュエル自身が持つスターオーラの賜物か、「ジ・アベンジャーズ」への期待感がそうさせるのか、尋常ではない大物感が漂っていました。最後に、本作は3D上映もなされていますが、悪名高き後付け3Dであるため3D効果は薄く、それどころか3Dメガネを通して見ると画面が暗く感じるため、2Dでの観賞をお勧めします。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-10-14 17:41:30) (良:1票) |