6.《ネタバレ》 正直あまり期待していなかったのですが、これがどっこい、凄く面白くて驚きましたよ。期待してなかったというのは、ティム・バートン版のやつがあまりぱっとしない焼き増しだったので、今回もまた中身のない代物になるのかなと思っていたのですが、とてもしっかりとしたドラマツルギーで、主役のお猿であるシーザーの痛烈な胸の内がひしひしと伝わってきました。そう、この作品の一番の見どころは、シーザーの表情なんですよね。彼の目は、とても理知的でありながら静かな悲しみ、切なさをたたえており、この目が雄弁に物語ってくる。もちろん、彼は100%CGなんだけど、そのフルCGのクリーチャーがここまで心情に訴えかけてくるんだから、驚愕せずにはいられない。映像技術の進歩を見せつけられたと同時に、制作者にとっては大きな挑戦であったでしょう。牢から脱し、橋の戦いへと続く一連のシーンは素晴らしいスペクタクルで迫力満点です。思えば、初代の「猿の惑星」は、人間と猿があべこべになった世界。人間が猿に首輪をつけられ、家畜のように扱われるその様が衝撃的であったのに対し、本作は猿が知的になり、ペットのように扱われることに対する不満からのレジスタンスということで、ある意味逆なんですよね。この設定が、いわば皮肉そのものであり、この知的なお猿さんたちは例えば自然のメタファーだったり、奴隷のメタファーだったりと色々な意味に捉えられて面白い。つまりは、「猿の視点」から人間を見て、その人間の愚かさというものを見せつけているわけですよね。唯一不満だった点は、あの薬の煙?を牢でバラまいて一晩で知能が芽生えるという。それはちょっと無理があるんじゃないかと。その点はマイナスだけど、映像技術への果敢な挑戦と、主人公とシーザーの切ない関係をベースにした面白いストーリー、両方とも見事に成功していて、娯楽作品としては文句無しの出来映えだと思います。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-02-22 13:36:36) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 NOと言えるチンパンジー。毛利元就の3本の矢。日本人に対する揶揄でしょうか。面白かったですけどね。 【いっちぃ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-10-29 20:18:20) (笑:1票) |
4.《ネタバレ》 素直に面白かった。「猿の惑星」のメイクもすごかったけど、CGでついにここまで表現できるのか!?という驚きと感動があった。なによりシーザーがいい!段々と脳が発達し、愛を感じ取っていくシーザー。言葉は発することはできないけど、切ない表情から充分に伝わってきました。そして決定的なシーンが、主人公がシーザーを檻まで迎えに行った場面。最後の瞬間まではシーザーはまだ希望を持っていたはず。しかし手に持っている「首輪」を見て理解してしまった。「自分は人間とは違うのだ」と。 人間並みの知識を持ち、愛を理解し、不当な虐待を受け続けたシーザー。それゆえに生まれた怒りと悲しみが仲間を作り出し、独立することを決意させたのでしょう。だから無闇に人を殺さなかった。殺したくないし、殺してしまうと自分たちが全滅させられることを理解していたから。ゆえに最後、森で仲間と生きていくことにしたのでしょう。 その終わり方もよかった。どうやったら元祖猿の惑星につながるの?と思ったが納得。猿が反旗を翻したんじゃなくて、人類が勝手に衰退していったんですね。 あまりにも人間サイドがマヌケ度合いがひどすぎる(薬が家の冷蔵庫からなくなった段階で気づけ主人公!体調不良なら電話しろ飼育係!)ので-1点。良作です。 【HIGE】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-10-26 14:52:51) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ジョン・リスゴーと猿、と言えば何故か『ハリーとヘンダスン一家』を思い出すが、あれは猿じゃなくてビッグフットだったか…(笑)久し振りにリスゴーの怪演を観れて嬉しくなったが、もちろん映画自体も大変面白い。あの名作SFのエピソード0という意味では、新『スター・ウォーズ』よりもよっぽどよく出来ている。人類は結局自らが作り出した新型ウィルスによって自滅の一途を辿り、それとは逆にウィルス効果で知性をつけた猿が地球を支配していくということか。オリジナルファンをも納得させる周到な脚本作りには唸らされる(もっとも、オリジナルの続編シリーズとは辻褄が合わなくなってしまうが)。ただひとつ惜しいのは、CGの飛躍的な進歩により、猿(シーザー)の表情が人間的過ぎて違和感があること。予告編を観た時から気になっていたことだったので、久し振りにオリジナル版のレトロな猿メイクも観たくなった。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-10-21 10:19:58) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 ジョン・リスゴーの出てる映画をそれほどたくさんは観てないですが、彼の演技にというか存在感に好印象を持ったのは『トワイライト・ゾーン』以来です。奇異な感じなく、とても自然に観られました。映画全体に関しては、壁に窓を描くシーンと、それを消すシーンがこの映画の一番の名シーンだと思います。心に焼き付いてます。終わり方も好きでした。お隣のパイロットから世界中に感染していく経路をバックにしたエンドクレジットにゾクゾク。人間は絶対にシーザーをそのままそっとしてはおかないだろうし、みるみる蔓延していくバイオの脅威に翻弄されながら、同時に世界中で利口になっていく猿たちをどうにかしようともがくのでしょう。1作目は言葉を持たない原始人と文明を持った猿の話でしたから、今回の物語の後に、人間は絶滅するのではなく文明を失っていくことになるのでしょうけど、その成り行きを観てみたいなと思いました。たしか一作目の舞台はおよそ2000年後だったと思いますが、人間が言葉を持たない原始生活に退行するのにどのくらいの年数かかったのか気になります。細菌感染もののホラーが掃いて捨てるほど作られたので、それらの二番煎じにならない人類衰退の歴史を見てみたいと思いながら、映画館を出ました。なお、一作目の主人公テイラーはこの一大事件を知らずに壮大な宇宙探索プロジェクトに出かけていなければならないわけですが、現実の地球の科学技術はまだそこまで進んでないですね。 【だみお】さん [映画館(吹替)] 8点(2011-10-21 00:16:31) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 もともと猿の惑星って地味な映画の部類だった気がするが、今敢えてエピソードゼロを公開するにあたって、徹底的に派手でエンターテイメント性に特化したものを作ってやろうという気概を感じる。 例えば、猿君が最初に外で元気よく運動するシーン。ふつーだったら、サラっと流しそうなシーンなのだが、これが凄い。木から木へ飛び移る猿君にぴったりひっつき、グリングリンと臨場感のあるカメラワークで、自分が猿になって飛び跳ねているような気持ち良さを与えてくれる。ストーリーとしては地味な部分であっても、こんな風に客を退屈させないような工夫が随所に見られる。 最後もバシっと決まってるし、人に薦めたくなる手抜きのない大作。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-10-11 01:45:30) (良:1票) |