4.今どきお金を払ってこの映画を観に行く人は滅多にいないと思いますが、日本映画の良心として、この映画を作ろうと思ってくれる人がいることは嬉しいです。作りとしては非常に古式ゆかしい日本映画ですし、ここまで真面目に真正面からこういう題材を撮ること事態、あり得ないぐらい特殊なことだと思います。ただし映画にはこういう使命もあるということを、たまに認識しておくのは悪いことではないです。こういう事件があったことを、多くの人に知ってもらいたい、という作り手の誠意がこれほど感じられる作品に、最近では滅多にお目にかかれません。そしてこれをきちんとこのタイミングで映画にしておくことで、この作品は歴史にこの事件を記録しようとしているのです。それは正しいことで、楽しいことではないかも知れませんが、そういうことも映画としての一つのあり方ではないかと私は感じます。 【anemone】さん 8点(2003-12-28 11:59:18) (良:4票) |
3.面白いか面白くないか、と言ったら面白くない。 上手いか上手くないか、と言ったら上手くない。 しかし、撮りたいこと、伝えたいことが、こうも熱く明確な作品には、心を動かされずにはいられないものだ。 愚直で真っ正直な作風が、監督の清廉な人柄を伺わせる。 そしてその「志」が、作品の品格を高めているのだと、私は思う。 【poppo】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-07-25 08:55:39) (良:1票) |
2.事実経過の概要はある程度多くの人が知っている対象であるわけですから、きっと綿密な取材と検証を経た濃密な再現と解釈が提示されるのだろうと期待していたら、いきなり冒頭の高校生の語りでずっこけました。この作品を見る人の視点がこの高校生であることは誰でも分かる当然の前提であって、何でそんなことをわざわざ作中に盛り込まないといけないのかなあ・・・。現に、寺尾聰や石橋蓮司がどれだけ頑張っても、現在の取材シーンがずかずか入り込んでくることによって、作品の緊張感は容赦なくぶったぎられますし、当時の生の状況など伝わりようがありません。まあ、好意的に考えると、全部を再現にしてしまうと、映画表現としてのデフォルメは避けようがないとの判断で、あえて「確実に事実と確定できる部分」に絞ったのかもしれませんが。もっとも、こういったことを映像記録として残すことは重要ですし、志や目的意識の高さは評価すべきと思いますので、この点数。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-01-04 17:48:04) (良:1票) |
1.熊井啓監督の生真面目さ、正義感の強さがプラスに出た映画。映画の出来云々というより、いまこれを作らなければならないという義務感、使命感をすごく感じる。一部の俳優陣の学芸会みたいな演技が辟易するが中井貴一、石橋蓮司のうまさが、それを救ってあまりある。サリンでバタバタ人が倒れていく場面は怖かった。熊井監督の面目躍如だ。こういう映画は斜に構えないでこっちも真摯に見たいものです。 【ひろみつ】さん 8点(2004-01-14 14:51:19) (良:1票) |