《改行表示》 6.《ネタバレ》 いま見終わりました。 メキシコから運ばれる麻薬は膨大だと聞きます。麻薬は当然カネに成る。カネに成ると言う事は 合法非合法問わず人間がそれに群がり、その莫大な利権を周旋調整する人間が メキシコ、アメリカ双方に必要に成るはずなのに 特にブルーのアメリカ側でそれが全く描かれてませんでした。 描かれてないのは意図的に描かなかった、とも取れます。 イエローのメキシコ側では警察は腐敗し国境警備軍(?)の将軍も 麻薬カルテルの手下に成り下がっている。これが現実です。 劇中メキシコ国境での摘発を描いてましたが、関係者の皆が威勢よく各部署を闊歩します。 飛行機の中(?)の会議で麻薬撲滅部の本部長であるマイケルダグラスが語調鋭く自論をぶち上げ 各部の代表にも斬新な意見を求めます。でも誰も何も言わない。黙り込んでいる。何故か? その答えは麻薬の売人の1人が捕まって、免責を受け元締めの裁判で証言をする為に 命を狙われるので警察に軟禁状態にされます。そこで彼が言います。 「お前等のやってる事は結局無駄なんだよ。麻薬戦争とお前等は言うがそんな物はとっくに終わっているんだ。お前等はもうとっくに負けているんだ」と。 そう、アメリカはもう負けていたと言う事です。それは政府も重々知っている。 本当の麻薬ルートというのはもっと合法的に、しかも大量に運ばれて来ると聞きます。 それには全く触れられて無い。圧力整形の人形ルートだけが僅かに言われただけです。 終盤でマイケルダグラスの娘が麻薬中毒になり 自らその職を辞する場面が有りますが あれは自分の家庭を優先したという事ではなく もうとっくの昔に勝負が付いているにも関わらず それを知らされていないアメリカ国民の溜飲を下げる為だけに 自分が政治家、官僚に利用されている事に気が付いたからではないでしょうか? 結局の所、この監督さんは麻薬撲滅戦争などと高らかに謳っている アメリカ政府の偽善と欺瞞をこの映画で描きたかったのかも知れません。 しかもこんな偏屈な切り口で しかしながらその麻薬撲滅の現場で働く人間は諦めてません。 建前のみのスローガンを掲げて実際はやる気の無い当局上層部とは違って 多少のブレは有ってもその正義を貫かんとする為に命を掛けています。 それをこの監督はラストにやさしく描いています。 そういう意味合いで1点プラスしました。 【一般人】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-02-22 20:49:52) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 ここでのレビュー読んで「難しいだろう」と覚悟しての鑑賞でしたが、結構スンナリ見えました。 いい出来じゃないですか!結局何も終わってなどいないというリアルさ(=麻薬という問題の根の深さ)を追求しながらも、ちゃんとラストには観客をほっとさせるカタルシス(ラストのメキシコのナイターシーン)を用意するなんて心憎いですね。こういう社会派(?)っぽいのはややもすると鑑賞後、気分がめいったりするもんだけど、これはそうならない。その辺のバランスがいいんでしょうね。 ただ惜しむべきは、デル・トロがいとも簡単に米国の麻薬捜査官にネタを持っていけちゃったところ。あそこをもっと緊迫したギリギリでの攻防として描けていたらもっと良かった。あれじゃあの将軍はまるでただの馬鹿ってことになっちゃうじゃないですか。 全体がホントにいい感じだったんでそこが返す返す残念。でもあとはいいですね。マイケル・ダグラスの間抜けぶりとかクワレぶりは全然気にならず、むしろ確信犯って感じがします。つまり「上層部の役人なんて結局はこんなもんよ」ってことも描きたかったんでしょうね。 【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-11-29 17:08:11) (良:1票) |
4.90年代に泣かず飛ばずだったソダーバーグ監督だが、本作は久々に「ソダーバーグの本領発揮」とも言うべき作品になっている。無理に娯楽性を追及せずにドキュメンタリー・タッチに徹したことが良かったのだろう。冒頭の「笑えないジョーク」や毒殺オチには参ったが、主要キャラ3人の顔合わせをさせないという設定が話をわかり易くさせ、普段の「ゆれるカメラワーク」もかえって作品にリアリティを持たせている。メキシコの2つの組織の対立と、アメリカとメキシコの刑事が共に相棒を失うところは興味深かった。ラストの盗聴器も終わりなき戦いを象徴していて余韻を残してくれる。ただ、ヘレーナの変貌が理由・結果という安直な描かれ方なのが残念。キャロラインが家出するシーンもどうせならオリジナルどおりロバートに追い出されるほうが良かった気がする。それにしても、次回作「オーシャンズ11」以降の失速振りをみると、どう考えてもソダーバーグは「セックスと~」以降の失敗から何も学んでいないとしか思えない。ソダーバーグの次の「復活」はいつになるだろうか。 【マイカルシネマ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-11 23:12:35) (良:1票) |
3.アメリカでは麻薬はすでにお酒やタバコと同じように嗜好品としての地位を築いているのではないかと恐れてしまう映画だった。タバコやお酒には中毒性がある。やりすぎると危険なのは誰もが知っているが法律で禁止しようとはしない。なぜ麻薬だけが法律で禁止されるのか? 麻薬を禁止するから、それを利用してアルカポネのようなマフィアが莫大な利益をあげようとする。抗争で死人も出る。 このような開き直りともとれる言葉が映画の登場人物を通して、麻薬取引をしている人間の口から当たり前のように出てくる。 つまり、昔アメリカが行った禁酒令と同じように麻薬撲滅はすでに不可能に近い状態になりつつあると言いたいようにもみえる。 本当はアルコール中毒患者も世界には多く、お酒の害は誰もが知っているが、法律的には認められている。多くの人は適度にお酒を飲んで楽しんでいる。 だからそのうちドラッグも体には悪いが、適度の使用ならば認められるようになってしまうのではないだろうか? それで治安は少しはよくなるわけだし。 とにかく日本では考えられない現状がアメリカにはあるみたい。そのような絶望性がちらりと覗いて見える。 【花守湖】さん [映画館(字幕)] 7点(2004-06-13 18:29:39) (良:1票) |
2.マイケル・ダグラスの家族が一般人として一番身近な存在だけに共感できた。麻薬に溺れていく娘と両親の苦悩、そして家族の再生は見応えがあった。社会派ドラマは重く難しいイメージがあって苦手だけど、ソダーバーグ作品は最後まで見れる。独特の飾らない乾いた映像が印象深い。登場人物それぞれの内面や性格を、セリフではなく映像の雰囲気で表現していると思う。それには役者の演技力も欠かせない。「エリン・ブロコビッチ」も良かった。 【ピンク】さん 7点(2004-02-11 23:55:56) (良:1票) |
1.何本かのサイドストーリーが同時進行していくんだけど、結局の目的は一緒なので、かなりの数のキャストも整理しやすかったです。重いテーマなんだけど、かなりテンポよく進み、きっついバイオレンスシーンもない。派手さはないんだけど、何か都会的なつくりというかね、ドキュメンタリータッチで作られた雰囲気があって、作風は私好みです。いろんなサイドストーリーがある中で、個人的にはハビエールがサラサール将軍を挙げる一連の殺伐とした雰囲気が好きです。デル・トロはクールでかっこいいですね。ちょっと詰め込みすぎて詳細を簡略化した部分もなきにしもあらずですが。マイケル・ダグラスの役どころはベタだったけど、仕事上での立場と父親としての葛藤というのは何かとても複雑でうなってしまった。 【ブッチ・ハーモン】さん 7点(2004-02-10 14:44:15) (良:1票) |