《改行表示》 9.《ネタバレ》 「犬神家の一族」の大ヒットを受けて翌年に公開された横溝正史原作による金田一耕助シリーズ第2作目となる今作も前作同様、奥の深い作品に仕上がっている。単なるサスペンスではないそこにあるのは明らかに家族の物語であって、市川崑監督らしい美しい映像の世界を作り出している。シリーズ史上最も切ない上に犯人、岸恵子演じる青池リカの悲しさが身に染みる。腹違いの子をも怨んで殺すことの苦しさ、そんな青池リカが自分を愛している男、磯川警部(若山冨三郎)の前で涙ながらに自分の胸の内を苦しみながら話す場面、「夫を心底憎めたらあんなことにはならなんだ。酷い男と解ってても好きやった。忘れられまへんのや」て言う場面、それを近くで見ている磯川警部、この二人の思いが物凄く悲しくて涙なしには見れない。岸恵子の存在感ある犯人像、映画史に残る忘れられない犯人像、観れば観るほどどんどんこの作品が好きになってくる。もう、この映画の影響からか?前屈みで歩いてる老婆を見ると全部、青池リカだと思えてしまうぐらい重症です。初めて観た時の強烈さ、インパクトでは「犬神家の一族」のが上かもしれないけど、物語としての完成度、犯人への同情、刹那さ、悲しさなど含めるとこの「悪魔の手毬唄」のが総合的に見て上のような気がしてならない。最初は8点にしたけど、今では満点にしたいぐらいこの作品が大好きでたまらない。よって8点から10点へと変更します。 【青観】さん [DVD(邦画)] 10点(2006-12-31 11:49:04) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 歴代金田一映画の中で、一番好きな作品です。これぞ横溝作品、というエッセンス(戦後という時代背景、山奥の田舎という舞台、そこでの古い因習や価値観、過去の事件との因果関係、複雑な血縁関係、見立て殺人等々)が満載です。また、小説が作られた時代ならではの動機が映画にも色濃く出てたので、このような評価にすることにしました。皆様からご指摘の多い犯人の動機に関しては、この作品の設定を考えれば十分納得ができると思います。戦後という時代に、外の世界を知ることもない人達がほとんどの閉鎖された環境では、現代では理解不能の価値観がそこに存在するわけで、父親が同じ3人娘が綺麗なのに自分の娘だけが痣があったり、その妬みの対象である娘(しかも兄妹)に息子が盗られそうになったり、というのは充分動機に値すると思います。また、何故20年も経ってという意見もありますが、放庵のゆすりに対する恨みと3人娘に対する嫉妬(小さい村だから綺麗に成長していく様を日々目の当たりにしているのですよ)が積もり積もった20年に、息子の恋愛と千恵の帰郷というタイミングが重なった、ということで充分に納得できるのでは、と思うのです。俳優陣が完璧な点も、かなり評価してます。中でも岸恵子と若山富三郎は秀逸なのですが、特に若山富三郎が岸恵子を疑っていながら、恋愛感情との狭間でゆれる磯川警部の役を熱演しています。最後の駅での金田一耕助と磯川警部の会話、とても感動しました。 【なおてぃー】さん 9点(2004-02-15 02:52:33) (良:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 犬神家の一族よりこっちを評価します キャッチャーなシーンこそ少ないものの抑え気味の演出で村にみちる恐怖がひしひし伝わってきます。 なんといっても演技陣が良い。 若山富三郎と岸恵子の会心の演技。 陰惨な事件にあって一服の清涼剤加藤武。今回は石坂浩二が少し下がって演技していたのが良かったように思いました。 横溝正史原作なんでなんじゃこりゃ感は否めないんですがそれを超えるものがあります。 【CBパークビュー】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-21 16:46:43) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 この雰囲気、胸を衝く音楽に絡め取られて痺れる。日本の鄙びた田舎の因習がもたらす妖気。色の無い山道を、金田一が歩く印象的なシーン。真っ黒でまっすぐな杉が愛想無く林立する山。ラストでわが子を殺した岸恵子が半狂乱で走る、彼女を取りまくのがまた山だ。ずっしりと暗くて陰気な。怖い、怖いです。女たち、母も娘もみな哀れで切ない。岸恵子の嗚咽、呆然自失の若山富三郎、目を丸くして困惑顔の石坂浩二。娘たちの死に様とか、半分あざで覆われた顔とか、今ではお祭りのお化け屋敷のようにしか見えないけれど、人物たちの織り成す人生の哀しさが、興味本位の猟奇を凌駕する。怖いといえば居るだけで怖い白石加代子も強烈。あと、字幕で“総社”って出るだけでぞくっとするのは何故だろう。 【tottoko】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-10-11 00:25:54) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 金田一耕助というのは、追っかけ追っかけ事件を解決する「防御率」の低い探偵として知られている。全部とは言わないが、彼の事件解決法は多くの場合、昔の事件の資料や証拠を現場ではない場所へ行って調べてくる、というもので、他の名探偵と比べると論理によって「コレコレこうだから、それしかありえない!」という推理の見事さがない。そこの所はミステリの醍醐味の一つだから、原作を選んだ時点での大きなハンデといえる。前作『犬神家』の場合は、そんなもの無くても、事件そのものに魅せられるドラマ(愛という普遍的テーマ)が有ったが、今回の事件は状況があまりに特殊で、そういう部分で感動を得るのは難しい。息子が異母兄妹と結婚する羽目になりそうでさあ大変、というのではちょっと心動かされない。 また、これを言ったら酷かもしれないが、事件とその周辺事情が前作ほどシンプルでないため、これだけの時間を使ってもまだ、描き足りない感じが残る。殺人を手毬唄になぞらえる意味とか、里子が入れ替わる部分とか。なにかバタバタとイベントをこなして、事件が解決したような感じ。まあ、それだけ原作に無駄が無いという事かも知れないが、2時間半の映画にするなら、それなりの収拾選択というか脚色・潤色が必要だったろう。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-04-23 17:57:55) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 好き度合いは「犬神家」と甲乙つけ難いのであります。 久しぶりにDVDで鑑賞しました。 宿で待つ耕助の元へ磯川警部が訪ねてくるシーンだけで早くも泣きそうになります。 「やあ」とかけるその声と表情だけで,この二人がどれほど深い信頼関係で結ばれているかが表現されています。すばらしい演出だと思います。 横溝正史の一連の金田一シリーズに親しんだ者は「本陣」「獄門島」「八つ墓村」等の難事件で共闘した二人の久しぶりの再会という目で見てしまいますからなおさら万感胸に迫るものがあるわけです。 自転車に二人乗りしてゆるい坂を下りながら言葉を交わすシーンもたまりません。 【まきげん】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-07-25 13:39:29) (良:1票) |
《改行表示》 3.磯川警部、かっこいいですね。 あの人形のシーンは怖すぎですが、 村中みんな姉妹というのはもっと怖い。 【Skycrawler】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-12-01 01:08:42) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 子供の頃見たときはひたすら怖くて(特にお地蔵さんに血がかかるところと、人形が毬ついているところ)ストーリーはよくわからなかった。中学生のとき、もう一度見て今度はストーリーも理解できたがやっぱり怖かった。大学生で見たときは怖さはなくて普通に面白かった。そして社会人になってみたとき、こんなにも切ない話だったのかと感動した。これ、ミステリーというよりはメロドラマだったのですね。子供の頃よくわからなかったリカの心情が今はよくわかります。「悪い男とわかっていても好きやった」ですか・・・。文句なしに10点です。 【陽炎】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2007-07-28 12:55:08) (良:1票) |
1.TV放送を親父と一緒に見ていて、怖い映像にビックリしてなめていた飴玉(小梅の大きいヤツ)を喉につまらせて、死ぬ思いをしました。死ぬほど怖かったです。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2003-08-04 20:57:17) (笑:1票) |