《改行表示》 10.《ネタバレ》 強い絆で結ばれていた父が9.11で亡くなり、その父との絆を強く求めて、父の遺品だと思われたカギで開けられる場所を必死で探す精神障害の少年。 そういうスタートを切ったのであれば、この物語は、少年がカギを開ける場所に到達し、その場所に、少年の心に光を照らす何かがあって、ハッピーエンドで終わるべきではないだろうか? しかし。 必死にカギの場所とそこにある父の影を探し続けてきた少年の前につきつけられた答えは、 「その鍵は、見知らぬオッサンの父親の貸金庫を開ける鍵」 ということだった。 結局、この物語で”感動”をもたらすエンディングとして提示されたエピソードは カギで父が遺したステキな何かを発見して少年の「あの時、父からの電話に出られなかった後悔をクリアしたい。お父さんとの失われた8分を取り戻したい」という思いが成就することではなかった。 精神障害の息子とイマイチ深く関われていなかった母親が、息子のカギ穴探しの旅がスムーズにいくように密かに根回し活動をし、 後日「エッ、オカンが裏で支えてくれてたん?」と知った息子が母と和解するということであり、それによって心がクリアになった息子が9.11のトラウマを乗り越え、父に誘導されても乗れなかったブランコに乗れましたとさ、めでたしめでたしということであった。 確かに、”謎のカギ”や”冒険”という、けっこう小説では使われがちなテーマは、一歩使いかたを間違えると、よくありがちなパターンになって「オチ読めたし、つまんねー」と、否定されやすい。 父親からの息子への手紙とか、生まれたばかりの息子を抱く父とか、そういうテッパンのアイテムが カギで開けた箱に入ってたら、それはそれで評価ダダ下がりだっただろう。 だからあえて、カギの先にあるものと父親をリンクさせるという真正面からの真っ向勝負に出なかったのでは? しかしながら、カギの先を探している過程で意外にも祖父との距離が縮まりました、とか、カギの先を探すサポートをしてくれた母親と和解できました、という、サイドストーリーを持ちだして 「はい、実はこっちが感動エピソードなのでした。意外でしょ?えへ、なかなか面白いプロットでしょ?」 と、やってやったぞ感に満たされてストーリーを書いていたとしたら、非常にタチが悪い。 貸金庫の話も煮詰めないまま突然終わらせ、そのカギの持ち主が離婚したはずの妻となぜかヨリ戻してるワンシーンを意味もなく見せ、祖父の死んだ息子や孫への気持ちもよくわからないまま「はい終了」で、誰が感動できるというのだろう? (この映画にガマンならないので、あの開いた貸金庫には100億ドルの金塊が遺されていて、それに目がくらんだ元妻が遺産狙いで「やっぱりまた夫婦に戻りましょう」と色目を使ってカギの持ち主の男とモトサヤに持ち込んだに違いないと、いぢわるな解釈してやる。) 相撲の勝ち方で批判を浴びていた白鵬にたとえるならば 「勝てばいい」とばかりに、まっこう勝負に出ず、立会いの変化によって、ふいをつかれた相手を倒すという勝ち方と同じではないか。 この映画は、「はっけよーいのこった!」の声で立ち上がり相手に向かって突進するそぶりを見せて、ひょいと身をかわし、相手を「おっとっと!」って土俵際まで勢いづいたまま行ってしまったその背後から背中をポンと押して「はい、勝ちました」と言っている様な映画ではないか。 どうりで、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞でも かすりもせず、アカデミー賞では作品賞&”しゃべらないオジイチャン”が助演男優賞でノミネートされただけで、オスカーは渡っていない。 9.11、精神障害、謎のカギ、探検・・・なんて、ずうずうしく並べて、いかにも「みんな、感動してくれ!」って感じなところとか、かえって毛嫌いされたのに違いない。 しかも「オスカーをくれ!」といわんばかりに、主人公にオスカーとか名づけている時点で、もうアウト。(実際そのつもりで名づけたかどうかは知らないが) とにもかくにも、9.11と精神障害の少年という、最強のヒューマン映画臭を漂わせながら、カギという誰もが興味を強く惹かれる思わせぶりなアイテムをチラつかせてきたくせに、カギでまっこう勝負をしてこない、本当に卑怯な物語である。 【フィンセント】さん [DVD(字幕)] 1点(2017-12-15 13:22:30) (良:3票)(笑:1票) |
《改行表示》 9.私の感想は、 ものすごく退屈で、あえりえないほどがっかりさせた 映画だったということです。 あ、違いますね。がんばって否定するほどの価値はなく、単に見て損した、取るに足らない映画でした。 別に0点でもよいのですが、私の場合、10点、9点、1点、0点は特別な場合に予約されていますんで、 2点、つまり映画としての最低点にしときました。 退屈な理由や、面白くないと感じた理由を説明するのはかなり難しいことです。 【フィンセント】さんのレビューが、自分が深堀できなかったことを説明してくれていました。 【おら、はじめちゃん】さん [DVD(字幕)] 2点(2018-03-26 04:52:08) (良:1票)(笑:2票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 9.11後のアメリカ、そしてアメリカ市民を描いた映画は何本か見ましたが、その中でも本作は好きな映画です。 序盤からずっと見ていて気が滅入りそうになる。ですが、鍵の登場以降、状況が少しずつ動き出します。 オスカー少年と、彼の周りいる祖父、祖母、母親、NYの色んなブラックさん。 大げさに感動をあおる演出や音楽は控えられていますが、静かで優しさにあふれた人間描写がいい。 9.11を忘れることなんて永遠に出来ないだろうし、悲しみが消えることも無い。 しかし少しずつでもいい。少しずつ前を向いていこう。 最後は9.11以降、心に負った傷がそう簡単に癒されるはずもない、アメリカに暮らすごく普通の人々に贈る、優しいエールのようなものを感じました。 一見意味不明なこのタイトルもいい。 たしかに、時にものすごくうるさくもあるけど、ありえないほど近い。 更にもう1つ付け加えさせてもらえればありえないほど優しい存在でもあるのです。 【とらや】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-06-30 21:43:33) (良:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 愛する肉親の死と向き合って、それを乗り越えていくまでを描いた成長譚。 主人公の少年にアスペルガー症候群の兆候があると判明した瞬間、それまでの彼の言動に納得させられた一方で(じゃあ母親が放任主義を取っているのは不自然じゃないか?)との疑念が湧いていたのですが、それを終盤にて吹き飛ばしてくれる脚本が見事でしたね。 「あのビルにいたのが、ママなら良かった」などの痛烈な台詞が盛り込まれていただけに、最後は母子が和解出来た事に、心底から安堵させられました。 ナイーブな少年を主役とした映画という事で、何処か既視感のある作風だなと思っていたのですが「リトル・ダンサー」と同じ監督さんだと知って納得。 エキセントリックな表現が散見される中、作品全体に不思議な上品さが漂っている辺りなんかも共通していましたね。 上述のように「本当は息子を見放していた訳ではなく、ずっと見守っていたのだ」と分かる母親の件は、凄く良かったのですが、その分、途中で離脱する形となった祖父の扱いには不満も残ります。 また、ラストシーンに関しても、主人公がブランコから飛ぶ姿で終わるのかと思いきや、父親に言われた通りに「ジャンプはしない」形で終わった点に関しても、どこか興醒めするものがありましたね。 (子役に実際に飛ばせたりしたら危ないので、作中で父親に「飛ぶ必要は無い」と言わせたのではないか?) なんていう疑念が頭に浮かんで来てしまい、最後の最後で現実に引き戻されてしまった形。 勿論、観客である自分の疑い深さが悪いだけなのですが「飛ばなくていい理由」が「危険だから」というのは、如何にも寂しいのですよね。 それならば父親が飛んでみせる必要は無かったと思うし「飛んだ瞬間、鳥になった気がした」という台詞も不要。 飛ばずにブランコを漕ぐだけで父親と同じ気分を味わうというエンディングは、中途半端に思えてしまいます。 主人公がブランコに乗った時点で終わらせるなり、揺れるブランコの音と着地の音だけで飛んでみせた事を表現するなりしてもらった方が、好みだったかも。 作中で嘘をつく度に回数を数えてみせたり、父親の死を太陽の消失に喩えてみせたりする主人公の姿は、とても良かったですね。 純真で、それゆえに何処か大袈裟で、他者に理解される事を無意識に拒んでみせているかのような、少年らしい魅力が感じられました。 世の中には、主演の少女を観賞して愛でる為の映画も存在しますが、それと同じような楽しみ方も出来る映画かと思う次第です。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 6点(2016-06-23 12:10:41) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 時折、あまりにも情緒的に取り乱すオスカーに共感することが出来る一方で、戸惑うことも多くありました。全体的に冗長な説明はないため、人物の表情だとか息づかいから人情の機微をはかることが出来て、より一層映画に深みを出していますが、その中でオスカーやオスカーの母をはじめとする不慮な事故に対して悲嘆に暮れる登場人物にどれだけ共感でき、思いを寄せられるかがこの映画を評価する上で非常に大切だと思います。その上で実際に起ってしまった事故を題材としているため、今作が独特な雰囲気にどうしてもなってしまっている点はどうしようもないことですが、事故に対して見る人の個人的な想いを拠り所にして説明を省いているのなら映画としての評価をとても難しいものとしていると思うし、個々個人によって大きく評価が分かれるのも仕方がないと思います。 私的には、世界観に置いてけぼりになることもありましたが、鳴り響く電話の緊迫したシーンの演出、多くの人との出逢いを生み出した父の残した鍵の謎の導入のアイデア、そしてなにより人と人との繋がりに不幸から立ち直る希望を見出したことにとても共感を覚えました。その希望に沿って、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」というタイトルもオスカーの感じる生きづらい世界を表しているだけでなく、大きな意味において煩わしくもあるが、それでも素晴らしい人間関係の難しさも表しているようにも感じました。 【うー】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-09-25 22:36:22) (良:1票) |
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5.《ネタバレ》 もし、急にドラえもんが居なくなったら、のび太は肩を落として絶望を感じるだろうな。 【VNTS】さん [インターネット(字幕)] 8点(2012-07-30 16:32:57) (笑:1票) |
4.感動しました、が!あえて率直に言わせていただくなら、お父さんを美化しすぎて、お母さんがかわいそう!!結末は美談すぎて、少々しらける。おじいちゃんいい味出してる。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 4点(2012-06-27 09:13:14) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 様々な父と息子の物語。でも母親が息子の先回りをしてブラック氏を訪ねていたところは泣けた。アメリカは永遠に9.11を引きずっていくのか。それを怒りに変えるのはごめんだが、いつまでも悲しみから抜け出せないのは、あまりに切ない。 【kaaaz】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-06-24 00:35:25) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 トム・ハンクスとサンドラ・ブロック、意外にも2大スター初共演。喪失と再生、ハートウォーミング・家族ドラマにロードムービーと謎解きの要素が加わり引きつけられました。誰よりも最もうるさくて近しい人間である母親の温かさ、この長いタイトルにはその想いが最も熱く込められていると感じました。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-02-27 00:42:30) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 他人とは『少し違う』主人公の少年が、父の遺品から見つけた鍵と入れ物に書かれていた『ブラック』と言う言葉を頼りにニューヨークを探すお話。 正直、良くある『傷付いた少年が多くの人と出会い癒したり癒されたりする』系のお話だが、まぁ押し付けがましかったりあざとい演出も無く、単に人と出会うだけでなく旅をするお供(老人)に影響を与えたり受けたりするので物語にそれなりの緩急が付いていて良かった。 途中仲間になる老人も、これまた良くある『偏屈じいさんとお元気少年』ではなく『偏屈少年とお元気じいさん』と言った組み合わせは新鮮で良かった。 ラストも最後の一歩は自ら踏み出し序盤での伏線張りもベタだが悪くない。 そしてタイトルにもなっているが、母親は実に偉大である 難点を挙げるなら、まず行く先々で出会う人たちがダイジェスト程度でしか登場せず、出番をもう少し増やして欲しかった。 あと遺品のカギや母親の行動に関しても後半に繋がる伏線の様なものを張った方がより良かったと思う。 総評としては傑作でこそないが、上述した様な内容の映画が好きなら見て損は無いと思います。 【ムラン】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-02-18 19:06:21) (良:1票) |