9.《ネタバレ》 オリジナル版、各種再演版、サントラ版、、スタジオ録音版、はては日本公演版まで、様々な王様を聴き比べてみても、やはりユル・ブリンナーの王様は、ずば抜けている。個人的にはブリンナー再演版の、ラストの次世代王の誕生のシーンが大好きだ。
この映画を見て、白人優越主義などとは、思わない。アンナ先生はそんな事は言ってはいないし、制作側だってそう思っているとは思えない。彼女は「人は対等だ」と、直接は言っていないが、王様に対して他の家臣のようにひれ伏したりしない態度で示しているだけだ。一方、自国の近代化のために、教育から始めようと考えた王様もスゴイ。 そういう意味では、アンクル・トムの劇中劇が実に素晴らしい。奴隷制度という非人権的な制度を批判したこの劇は、同時に先生に習った知識のおさらいになっている。アンナ先生のもたらしたものの成果として、ここをゴールと目指した物語にしても良かったくらい。 だが、物語はもっと先へ進み、名曲『Shall we Dance?』を聴かせてくれた後、クライマックスへ。思えば、シャム国を近代化する、という手段に教育係を呼んだ意義が実を結ぶ瞬間だ。人が乗れるほどの氷、雨が凍って降る雪、それらを信じない子らを叱責した王様が、自身の考えと違えども、新しい王の考えを支持したこのシーンは、子供たちだけでなく、王様をも変えた、実に感動的な場面だ。これはシャム近代化に対する、アンナ先生のみならず、王様の勝利でもある。だから、私はこのシーンが大好きなのだし、だからこそ、様々な録音盤で、このシーンが収録されているのだと思う。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-11-03 01:08:19) (良:2票) |
8. 八尾の朝吉さんが仰る通り、1946年にアイリーン・ダン&レックス・ハリスン主演で名匠ジョン・クロムウェルが監督した「アンナとシャム王」が最初の映画化作品。コレをブロードウェイ・ミュージカルにし、大ロングランとなった為、ハリウッドがミュージカル映画としてリメイクしたのが本作である。旧作は確かにハリウッドらしからぬ渋い味わいの名作だったが、何と言っても本作にはロジャース&ハマースタインという強力なアドバンテージが存在するので一概に旧作が上回るとは言えない。事実、「Shall we dance?」「Getting to know you」の場面の高揚感と言ったら、もう…!!デボラ・カーは(ミュージカル場面の口パクを除けば)気品を漂わせ絶品。しかし、何と言ってもユル・ブリンナー扮する精悍なシャム王!の存在感無しに本作の成功は勝ち取れなかっただろう。大評判となった舞台からそのまんまキャスティングされただけにハマリ具合が半端じゃない。アンナ本人が回想録を発表した当時の時代背景を思い合わせれば”封建的”とか”女性蔑視”とか”アジアへの欧米の優越感”が描かれているのは寧ろ当然過ぎるので、腹を立てるよりもココは素直に歌曲に酔いしれた方が正解かと…。個人的には旧作と甲乙付け難いので8点。コレであと、ウォルター・ラングの演出ぶりにクロムウェルの様な味わい深さがあれば、旧作を超えたんだけどねぇ~。うーん、惜しい!興味を持たれた方は46年版と見比べるのも一興かと。8点。 【へちょちょ】さん 8点(2003-07-22 02:06:05) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 なんだかんだで面白かったです。 シャム王という難しい役柄を見事に演じ切ったユル・ブリンナーと、愛情深い先生役がどハマりしてた デボラ・カー。 ミュージカルリメイクということで、演者達も正面むいて演じてるような、いわば舞台を撮影してるような感じで それはそれで当時としては真新しいものだったのかもしれませんね。 今こうして観ると、いわゆるその当時の西洋人が考えるアジア人の世界、みたいななんとも言えない独特なものがありまして、 特に後半見せてくれるミュージカル劇ですね、あれはまさにそういうもので、それが実に興味深かったなぁと思います。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-03 18:21:38) (良:1票) |
6.「サウンド・オブ・ミュージック」の大ヒット以来、70年代にかけて日本では多くのミュージカル映画が上映(リバイバル)された。この映画も「オクラホマ」や「南太平洋」など多くのミュージカルを生み出した同じコンビ(作詞作曲)の、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世がてがけただけあって、よくできている。作品賞を始めアカデミー賞の多くの部門にもノミネートされたほどだ。なかでもユル・ブリンナーのシャム王は、ブロードウェイミュージカルで当たり役となっただけに堂々としたもの、主演男優賞も頷ける。また映像も美しく、東洋的な雰囲気がよく出ている。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-09-08 07:30:34) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 デボラ・カーの歌声は「マイ・フェア・レディ」のオードリーや「ウエストサイド物語」のナタリー・ウッドと同じくマーニ・ニクソンという方の吹替え、でも台詞から歌に変わる時の違和感が全くないのに驚かされました。声の質がホントに良く似てるんです。それより何より、このデボラ・カーの英国女性らしい仕草のひとつひとつ、物腰の淑やかさに自分は魅了されてしまいました。ああ・・・、歩くと衣づれの音がする、あのまふまふしたふわっとドレスの裾に頭ごと埋もれてみてえなあ・・・。この王様役はやっぱりユル・ブリンナー氏以外には考えられない。「エトセトラ~エトセトラ~エトセトラ!」っていう小気味良い台詞回しがしばらく耳から離れそうにもない。鍛え上げた腹筋使って台詞を言っているような感じ。オハナシ自体も今となっては古典的だし、ミュージカルとしても古風なんだけれど主役お二人の比類なき魅力、佳曲が多い事もあって楽しめました。タイの風俗等、おそらく相当間違いがありそうな描写が散見されるけれど、日本を含めハリウッド映画のアジア認識は当時いい加減だっだのはわかっているのであえて目くじらは立てません。ラストはアンナを引き留める為の王様の小芝居かと思って観ていたので、ホントに亡くなってしまったのにはびっくり。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-31 11:26:22) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 【雨に唄えば】【サウンド・オブ・ミュージック】【チキ・チキ・バン・バン】そして【ウエストサイド・ストーリー】と並ぶ、ミュージカルの傑作ですね。僕も最初は、ユル・ブリンナーがミュージカル!?って思ってしまいましたが、彼の本業はこっちだったんですね(笑)やっぱり彼が王様ってのは物凄くはまり役ですし、何より時折見せる子供みたいなところが物凄くおかしいです…ってか、ちゃっかりモーゼに仕返ししてるところが個人的に物凄いツボでした(笑)アンタそこまで根に持ってたんですか(笑)有名な【Shall we dance?】の曲にあわせてのダンスシーンや、シャム版【アンクル・トムの小屋】など、見ごたえのあるシーンが沢山あってとても面白いし、最後には、王様とアンナが分かり合えてよかったです(死ぬのはどうも腑に落ちませんが…)それにしても、「私はもうじきここを去る」って、死ぬ死ぬ言ってる割には元気じゃん!(笑) |
3.歌い踊るユル・ブリンナーというものをハナから期待しておらず、「ウェストワールド」と「SF最後の巨人」を観たついでにと借りて来たらあの眼光鋭いユル・ブリンナーがマントをひるがえして踊っておられた。ああびっくりした。実はこの映画の原作となった舞台劇こそ無名だった彼の出世作であり、ガンで亡くなる一ヶ月前までこの役を演じ続けたという、文字通りのライフワークであったことを知ったのは後の話。当時はSFや時代劇でエキセントリックな悪役を演じている彼しか知らず、なんで彼がミュージカルなんかを、と仰天したのを覚えている。こっちが本業だったんですね。原作者のマーガレット・ランドンは、アンナ・レオノウェルズ本人の自伝を元にこの小説を書き上げたそうだが、そもそもこの自伝というのが身の上話からすでに嘘八百の自慢話にすぎなかったという説もあり、それを小説化したランドン自身もタイ王国を訪れたことがあったかどうかは疑わしい。仮に現地を訪問していたとしても作品の舞台となった1862年のタイ王国は既になく、映画の中に当時のタイの風景を再現することはほとんど不可能だったに違いない。そういう意味では、この作品は50年代当時のアメリカ人の東洋観を投影しているという点で非常に興味深い。実際、都市部を除いたほとんどのアメリカの片田舎の人々にとって東洋人なんて見たこともなく、タイを訪れるなんて夢のまた夢だった時代に、ちょっと個性的な顔立ちのユル・ブリンナーはまさに東洋一美しいと言われるタイ国の国王にふさわしい風貌だったのだろうし、セットや小道具、彼らの身につける衣装はアメリカ人の想像するオリエンタリズムそのものだったのだろうと思う。今なお再演が繰り返されていることからも、この作品のミュージカルとしての完成度の高さはお墨付きだが、実際のタイ国の考証がどうだとか言うよりは、「へぇ~アメリカ人から見た東洋ってこんななんだ」と別の面からも楽しめる、1粒で2度おいしい作品と言えるかも知れない。本物のタイの風物詩を楽しみたい方には、リメイク版「アンナと王様」の方をお勧めする。 【anemone】さん 7点(2003-12-09 23:24:04) (良:1票) |
2.この王様の描き方では確かにタイでは不評だろうし失礼だろう。実際の王様はもっと洗練された教養人で、今でも尊敬されているそうだから。でも映画としてはデボラ・カーは品格があって美しく絶品。ユル・ブリンナーが子供っぽくやたら人を指差すのには抵抗感があるが、その存在感は決定的なインパクトがある。リメイク版は王様の描き方は改善されてたものの、主演のこの二人のインパクトには及ばない。まぁお話は唐突な王様の死やらイージーなところもあるがそれはおいといて、、。ミュージカルとしてはシャル・ウイ・ダンスは名曲で楽しく、飛ぶように踊る二人は素敵。 劇中劇のアンクル・トムの演出は素晴らしい、と気になるところも凌いでしまう。 【キリコ】さん 8点(2003-02-19 22:41:16) (良:1票) |
1.エンタ-ティメントとしては、面白いが..タイ国の古い伝統を全く無視、アジア蔑視、アジアは野蛮で無知だから、白人が教育し、最後は国王が死に皇太子が、白人の教師の言いなりになる..ハリウッドのアジアに対する考えが解って反面興味深い。純粋に評価したら、アジア蔑視で、極めて不愉快であり、この点になった。 【大東亜】さん 0点(2002-04-11 21:30:56) (良:1票) |