4.「砂の器」でもそうだったが、本作もサスペンス・ミステリーよりは人間ドラマに焦点が置かれた重厚で深みのある作品で、天城峠の美しいロケーションも素晴らしい。しかしなんといっても田中裕子。今まで何本か映画やドラマで見てるけど、こんなにも美しく、妖艶な魅力を放つ彼女を見るのは初めてな気がする。とくに犯行を自供したあと雨の中でびしょ濡れになるシーンはなんともいえない美しさでついウットリしてしまう。はっきり言ってこれなら主人公少年でなくてもこちらも惚れてしまいそうなくらいとにかく美しく、そして切ない。中盤の取り調べのシーンの演技もかなりの熱演で今まで田中裕子に対してこういう激しい演技をするというイメージがあまりなく、どちらかといえば少し病弱そうでおとなしい役が多いイメージが強かったため、かなり驚いた。そんな田中裕子にすっかり魅せられてしまったからか、ラストはやるせない気持ちになった。最初に書いたように重厚で深みのある映画で、映像も美しいのだが、やはり田中裕子の存在がこの映画の質をかなり高めているのは間違いないだろう。じゅうぶんに傑作といえる映画である。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-17 20:38:18) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 田中裕子という女優はこんなにも美しかったのか、と心底驚いた。20代の女の私でさえ心奪われる。ましてや思春期の少年なら尚更だろう。甘酸っぱくも切ない、ダウナー系「マレーナ」。でも、色香を放つ大人の女性に心奪われる思春期の少年を描いた作品ということでは、私は断然こっちの方が好きです。少年の内に渦巻く複雑な感情、その欲望と愛憎、憎悪の表出。切な過ぎる、ことの真相。そしてあの天城峠の姿は、記憶の中でも記録の中でも悠遠の彼方に消え失せ、少年の心抉られる痛切な葛藤も、事件の真相も、その全ては過去のものとして、永久に守られるように、滅失してしまった。かつての幽遠の峠は、今は暴走族の出す爆音に包まれている。 【ひのと】さん 8点(2004-04-06 20:37:55) (良:2票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 この作品は「犯人は誰か?」ではなく「なぜ殺したのか?」に焦点を当てている。序盤で犯人の見当はついてしまう。だが犯行の動機は不明のまま。妻と一緒に鑑賞したが、鑑賞後に彼女は「動機がいまいち分からない」と言った。しかし、自分は痛いほど「犯人」の気持ちが分かった。きっと本作は田中裕子の虜になるか、ならないか、で感じ方が違ってくるのである。彼女の仕草は妖艶で美しく、完全に自分は落ちてしまった。あの「さよなら」はとても印象的。40年事件を追い続けた刑事。40年女を思い続けた男。そして40年男を翻弄させた女。とても切なく、心に残る良作。年上の女性に恋したことがある男性は必見。 【tonao】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-02-13 22:26:42) (良:1票) |
1.「はばかりに行かせて!」の壮絶な取り調べシーン、そぼ降る雨の中、頭に被った袈裟を振り落とし集まった野次馬に一瞥を加え、その直後少年に投げ掛ける慈母観音のような笑み・・・。田中裕子という女優のか細い肉体から発せられるエロチシズムが全面的に押し出せた作品は後にも先にもこの映画一本のみ。それだけでも観る価値有りです。しかし・・・、雨に濡れた女性っつうのはマジ魅力的っすね。 |