4.面白かった。静かに見ている観客が多中,隣で妻は声を上げて笑った。私は,静かに笑った。途中からは声を出して笑う観客が増え,ほっとする。ユーモアがある。上品で,知的で,気の利いたユーモア。監督が一番楽しんでいた。 |
3.《ネタバレ》 前作「人生万歳!」に続き、70代も後半に突入したアレンがまたしてもこんなに上質で楽しい映画を撮ってくれました!
1920年代のパリを黄金期(ゴールデンエイジ)と考える現代の男、タイムスリップした1920年代のパリで出会った19世紀後半のベルエポックのパリを黄金期と考える女、そしてまたまたタイムスリップしたベルエポックのパリで出会った芸術家達はルネサンス期こそ黄金期と語る。そんな後ろ向き思考の人間模様を通して描くアレン流前向きメッセージ。
このところヨーロッパを舞台に映画を撮ることが多くなったアレンですが、アレンらしいインテリ登場人物、彼らが繰り広げるこれまたアレンらしい楽しく理屈っぽい会話を挟みつつニューヨークからパリに舞台を移し、ついにヨーロッパで楽しくて小粋でファンタスティックでロマンティックなアレンワールドを見せてくれました。
そこに次々登場する各時代を代表する作家、画家、映画監督などなど実在する登場人物をコミカルに描くアレンの語り口も冴え渡るファンタジー・ロマンティックコメディです。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-05-31 21:56:25) (良:2票) |
2.画面にもワインがたくさん出てきますが、芳醇なワインをしこたま味わった気分になる映画です。ほんとにヘミングウェイやピカソ、ダリはこんな人たちだったんじゃないかと彷彿とするような人物の創り込みと、やりすぎじゃないさじ加減がとにかく素晴らしい。昔はウディ・アレンて苦手だったんですけど、今は「すごーく好き」とまでは言いきれないのですが、この時代にすごーく大事な人、と思っています。長生きしてもらって、まだたくさん作ってほしいですね。ところで、本作は主役のオーウェン・ウィルソンがまた、いいんです。実は、彼が主役と聞かなかったら、私はDVDでいいや~と思ってたかも。いや、別にファンだったわけじゃないんですけど。ただ、あらすじを聞けば当然ウディ・アレンを投影してるに違いない役じゃないですか。ってことは、いつも演じてるような髪型をバリバリに決めた、お目目パッチリの二枚目キャラとは違う彼が見られるのでは、と期待して足を運んだのです。そしたらまさにその通り。ウディお得意のイジケ・キャラが板についていて、猫背だったり意外と短足だったりしてるとこもこの役にピッタリ。でも何より、どや俺の演技うめーだろ的ないやらしさがないとこが、すごくキュート。一気にファンになっちゃいました。<追記>後日談。一緒に見た友は「あなた笑いすぎ。どこがそんなにおかしかったの?」ですと。僭越ながら、当時の芸術家についての知識があればフツー大笑いしないではいられないと思うんですけどねえ・・。まあ、そういったとこも、ウディ・アレンへの好き嫌いに影響しているのかもしれませんね。 【おばちゃん】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-05-30 22:17:28) (良:2票) |
1.《ネタバレ》 そんな事言ったって、ウディ・アレンが過去というものを深く深く愛しているのは、みーんな判っている訳で、なので今回もまた自虐的ですねって。セリフにしてまで語られる「大切な今を生きましょうね」っていうのはあくまでタテマエ。ウディ・アレン版『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。ひたすら芸術の都パリに酔う映画。時代による色調、タッチの変化なんていうのは無くて、全編、湿り気のある夜の光を撮らせるならばこの人、ダリウス・コンジによって切り取られた美しいパリ。ウディ・アレンをモロに映す神経質で饒舌でシニカルな主人公の前に登場する面々の描き方はどれだけウディが楽しんでいるんだろう?ってくらいに芸術への思慕に溢れ、一方で今回も知識だけで理論化し物事の価値を決め自らは何も生み出さないような知識人に対する皮肉もこってり織り込んで。結局、でも「パリってステキよね」で終わりで十分な映画。楽しい、美味しい、美しい、素晴らしい、そういうシンプルな感情でいいんだよ、っていう事を説明するために自らはややこしい創造の嵐の中に居るウディなのだなぁ、という映画でした。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-05-28 06:51:03) (良:4票) |