《改行表示》 4.《ネタバレ》 3D全盛のこの時代に無声映画がオスカーを取ったという物珍しさもあって、興味半分で観に行ってきました。 本作は自分が大好きなフランス映画の筈でしたが、むしろハリウッド調の誇張されたストーリーや演出が数多く見受けられ、中でも、主人公の活躍したサイレント映画が廃れていき時代の流れに乗れずに絶望感に打ちひしがれる一連のプロットに、何もそこまでしなくても…というやや大袈裟な展開の連続がちょっと鼻につく感じがしました。 ハリウッドへのオマージュというのを考慮してもちょっと行き過ぎた感があり、またサイレントは表情やアクションのみで物語るところはあるにせよ、やや過剰な演出が出すぎていたように思えます。 ついでに、10~20年代の実際のサイレント映画を見ている時はちょうど良いタイミングで、つまり、どんな台詞を喋ってるのだろうと思ったところではしっかりとスポークンタイトルが出て会話の内容を提示してくれるので、それがとても心地よく感じられ、音声なんか必要ないんじゃないかとまで感じさせてくれることが多いのですが、本作の場合はそれが非常に少なく、また、ちょっと細かいところですが、スポークンタイトルの出るタイミングが一瞬遅い事が何度もあり(0.2秒くらい)、ちょっとイラッとすることがありました。 映画の中盤で、階段を昇る女優と降りる男優というメタファーを狙ったようなシーンが出てきましたが、あの突然の傍目ショットはメタファーを撮りたいがためだけに挿入されたとしか思えず、客観視する理由も見出せないため、妙に異質な雰囲気ばかり感じてしまいます。 また、犬を脇役に起用したことやBGMの音楽も、チャップリンの影響を受けているのは明白ですが、犬の演技に関してはしっかりと訓練を積んで演技をした本作よりも御本家の「犬の生活」の方が動物的で自然な振る舞いをしているように思えます。 ストーリーの最後は、新たな境地を開拓してハッピーエンドを装う感じで締められていますが、映画で勝負することから逃げているようなエンディングであるため、ここはまさにご都合主義としか言えないでしょう。 キャスティングについては、主演女優があまり美人ではないのが減点材料で、クラーク・ゲイブルに似た主人公がアステアばりのダンスを踊っていたのは、時代錯誤のような気が…。 ただ、今のこの時代にサイレントで勝負した心意気は買いたいと思うので、オマケしてこの点数。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-04-14 18:02:03) (良:2票) |
《改行表示》 3.サイレント映画を観るのは久しぶりだったので、開始後数分間はかなりの違和感を覚えました。セリフがないというのはこんなにも不思議な感覚なんだなぁとあらためて感じ、逆説的にではありますが、トーキーとは革命的な発明だったということを思い知らされました。オスカー受賞により本作はサイレント映画を見たことのない観客の目にも触れることとなったはずですが、そうした観客が本作をどう感じたのかが気になるところです。。。 監督はサイレント映画を徹底的に研究したというだけあって、本作はサイレント映画の醍醐味をきっちりと味わわせる内容となっています。陳腐な物語にオーバーアクト、そして良い人だけが出てくる良い話、これぞ古典の味わいです。こうしたサイレントでしか成立しえない物語を作り上げ、その魅力を現代の観客に思い出させたという点において、本作はその企画意図をまっとうする完成度に達していると評価できます。ただし、問題もあります。ペピーが大スター・ジョージに対して抱いていた憧れが、どの時点で恋心に転化したのかが明確に描写されていないために、ラブストーリーとしては筋の通らない話となっています。また、落ち目になってからのジョージが後ろ向き過ぎてイラっとする点も引っかかりました。優しい運転手に賢い愛犬、そして苦しい中で最大の援助を与えてくれるペピー、これだけの人々に支えられながら、依然として過去にしがみつく主人公には感情移入しがたいものがありました。要するに、ドラマとしての完成度は高くないのです。本作が成功したのはあくまで”器”の完成度の高さであって、”中身”に魂は宿っていませんでした。。。 作品賞受賞の本作を筆頭に『ヒューゴの不思議な発明』『マリリン/7日間の恋』『マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙』と、今回のアカデミー賞には懐古的な傾向が目立ちました。古き良き時代を懐かしむ空気というのは、現代の世相が良くないことの裏返し。内容の賛否はともかくとして若い感覚に溢れた作品(『ノーカントリー』『スラムドッグ・ミリオネア』『ハート・ロッカー』)が賞レースを賑わせていた数年前と比較すると、やや寂しい傾向であると感じます。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-10-07 01:48:10) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 フィクションであることの自覚がこの映画を支配している。無声映画も所詮演出に過ぎず、実は無声映画ということへの言及をメタなレベルで行っている。ラストシーンが象徴的であるが、映画を撮影しているところを撮るというある種ありきたりになってしまったメタ的演出によって、この映画のフィクション性を強調し、「結局はトーキーなのだ」という印象を余計に観客に与えてしまう。サイレントを装ったトーキーは、意図しているかどうかはともかくとして、最終的にはサイレントへの決別を提示している。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-04-12 23:25:56) (良:1票) |
《改行表示》 1.ジョージはとても人の良い、優しい人。 ペッピーも良い人。 犬も良いね。 でも、それだけの映画でした。 最後のシーンも、なにがいいアイデアなのかもひとつピンとこなかった。 ジョージがペッピーの映画を観客席で観ているシーンが切なく、いい映画だなーと思いましたが、そう思ってる時間と、眠い時間の割合から判断すると6点。 【Skycrawler】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-04-12 21:23:25) (良:1票) |