10.《ネタバレ》 「オーシャンズ11」の監督を降板したブレット・ラトナーが、そのリベンジのように撮った映画って印象ですね。
オールスター感は薄めだけど、その分だけ主演のベン・スティラーの魅力が光る仕上がりになっており、個人的には大いに満足。 ビジュアル的に最高に恰好良い彼を収めたフィルムってだけでも、凄く価値があると思うんですよね。 微かに白髪交じりな「老け具合」さえも魅力的に思えちゃうし(この人、恰好良い歳の取り方してるよなぁ……)って、惚れ惚れしちゃいました。
ストーリーとしては「善人が泥棒になる話」であり、中々感情移入し難いはずなのですが、その点を上手く仕上げている辺りも、お見事。 「大金を盗んで楽に暮らしたい」なんていう身勝手な動機ではなく「皆の年金を取り戻す」という目的がある為、主人公のジョシュを自然と応援したくなるんですよね。 そもそも皆の年金が失われたのは「ジョシュが悪人のアーサー・ショウを信頼して、金を預けてしまったから」なので、一種の贖罪行為になってるという点も上手い。 この辺り、ジョシュに全く咎が無いとなると「無償で皆を救おうとする聖人」タイプの主人公になってしまい、ちょっと鼻白んじゃいますからね。 自殺未遂したレスターに同情している、と言い張るアーサーに対し 「……じゃあ、何故レスターが無事か訊かない?」 と静かに問い返す場面も印象的であり、彼の犯行動機が「自分の為」ではなく「他人の為」である事が伝わってくる、良い場面だったと思います。
上述の台詞もそうなんですが、この映画って「如何にも名台詞って感じではない、さりげない台詞が凄く良い」って特長があるんですよね。 特に終盤にて、何とか助かろうと取り引きを持ち掛けるアーサーに対し、主人公達が「チップは頂かない決まり」と答えるのも恰好良くて、痺れちゃいました。 そういった会話劇としての魅力だけでなく「宙吊りの車に掴まって、高層ビルから落ちそうになる」っていうスタント場面もあったりして、視覚的に分かり易い魅力も備わってるし、本当にバランスの良い映画だったと思います。 序盤にて、こっそり司法試験の勉強してたジョシュの部下が、いずれジョシュを助けてくれる展開なんだろうなと思っていたら、やっぱりそうなったって辺りも、実に気持ち良い。
一応、難点も挙げておくなら…… 副主人公かと思われた泥棒のスライドが、全然活躍しなかった事が該当するでしょうか。 活躍しないだけなら、まだ良いんだけど「ジョシュとの間に絆が生まれてるように思えなかった」っていうのが、何とも寂しかったですね。 例えば、金を独り占めしようと銃を向ける場面にて、幼馴染であるジョシュとの子供時代を思い出し、結局撃てなくて悪態をつきながら銃を下ろすとか、そういう場面があれば、もっと印象も違ってた気がします。
後は、そもそもの犯行計画が杜撰過ぎるって点も該当しそうだけど……まぁ、この点に関しては「アーサーを終身刑にした代わりに、主人公も窃盗罪で二年ほど服役する」という相討ちに近い結末だった為、さほど違和感は抱かずに済みましたね。 特に悩んだりもせず、淡々と「クィーンを犠牲にする」事を決意した辺り、いざとなったら自分が全ての罪を背負って逮捕されるって、最初から覚悟の上だったんだと思われます。
ラストにて、屋上のプールに隠してた車を取り出す爽快感も素晴らしいし…… 色々欠点があるのを承知の上で、それでもなお「傑作」と呼びたくなる。 ベン・スティラーの代表作の一つとして、彼を好きな方には、是非オススメしたいです。 【ゆき】さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2022-01-12 17:54:23) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 導入部分がやや苦手。仕事が出来る人間で、しかも仲間思い。そんな人が仲間のために熱くなっちゃったせいで不利益を被るってのが好きになれません。 ジョシュは仕事にプライドを持っていて、従業員、客、全員を大事にしています。そんなジョシュを簡単にクビにしてしまう経営者にも腹が立つが、簡単に犯罪に手を染めようとするジョシュにも共感できません。 もちろんそーゆー作品なわけですから、腹を立てても仕方がない。でも腹が立っちゃったものは仕方がない。それだけオープニングのジョシュという人物に魅力があったわけです。なんかちょっと幻滅しちゃった感じでしょうか。 正直ずっと気持ちがノリきれないまま、もやもや見ていたのですが、最後に皆で力を合わせるのはちょっと良かったです。こーゆーの好きです。で、あっという間にみんな捕まっていくエンディングも良い。護送車の中でショウがもちかけた取引に、『タワーでチップは禁止です。』なんて切り返すのもお洒落じゃないですか。 従業員たちに年金代わりに純金を送り、ショウは遂に刑務所へ。勧善懲悪なのでラストはすっきり。ですが、その過程において、どーしてもこの人たちを応援しようという気持ちになれなかったので、点数は厳しめです。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2019-12-06 01:16:25) (良:2票) |
8.例えばピラニア3Dのエリザベスシューなんかがそうなんですが、アメリカの映画を観ていると、若いときより今の方が魅力的なんじゃね?と思わせる女優さんの姿をちょくちょく見かけます。
この映画のティアレオーニもそうで、30代前半だったディープインパクトの時より40代半ばのこの映画での彼女の方が、なんていうんですかね、適度に色気が増してちょうどいい感じになってるって雰囲気でずいぶんと魅力的に感じます。
この「女優さんを見て中年以降の姿の方がより魅力的に感じる現象」、自分が年を取った事で単に守備範囲が上まで広がったせいなのか?それとも本当に魅力的なのか?その謎が解けません。 個人的にその理由について悩み続けている現象です。(自分が熟女フェチでない事は断言できます、いやロリでもないけど)
まぁここ数年「石田ゆり子、昔よりいいんじゃね?」的なニュースが日本でも出たりしてますから、単に女性が年をとっても魅力を保ち続けるようになった…だけなんでしょうが。 森高千里とか年齢を考えると今のルックスは脅威的ですし…と話が完全にそれましたが、そうこれ映画のレビューでした。
ベンスティラー主演という事でもっと下品なコメディ的なものを想像していましたが、驚くほど手堅くまとまったクライムコメディでした。
逆に手堅すぎて突出した面白さには欠けるわけですが、誰でも気軽に楽しめる小品だと思います。
…見ろレビューがとってつけたようだ バルス! 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-09-18 14:29:34) (笑:1票) |
7.原題は「タワー強盗」、結構な役者ぞろいだし、撮影にも相当お金かかりましたね!!あの窓のシーンはどうやって撮ったんでしょうか?メイキングに興味がありましたがDVD特典は別ドラマだったもので、残念(慣性なのかみてしまったが)。他は特筆すべき点はとくに・・・ 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-09-06 16:20:35) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 犠牲を払ってでも勝利を掴もうとする主人公と、無傷で勝ちきる王道を望む大富豪。チェスの戦略に両者の人生観が観て取れます。奪われたものを取り返すため、主人公が挑んだ一世一代の大勝負。多分に運が味方したとはいえ、主人公に勝利の女神が微笑んだのは必然だった気がします。「償いを避けて通れると思ったら大間違いだ」という彼自身の言葉に沿った結末も腑に落ちました。ザ・アメリカンコメディのノリも楽しいですし、多彩なキャラクターも気に入りました。ストーリー上、エディ・マーフィの存在価値がほとんど無かった点が最高のジョークだと思います。多少の(?!)粗は笑い飛ばしてしまいましょう。
【目隠シスト】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-04-09 19:27:48) (良:1票) |
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5.少し歳をとって軽さだけで勝負できなくなってきたベン・スティラー。その彼がまだまだイケルことを示した良作。脇を固めるキャストもグッド。 【Robbie】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2013-02-02 18:37:46) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 笑おうと思って観始めたけど、年金のような切実な問題を面白おかしくできないよ…。みんな深刻な顔してたし、別ケースだが自殺未遂者まで…。でもエディ・マーフィが仲間に加わってからはそれなりに楽しい雰囲気に。仲間が揃ったら下見などを行って、いよいよ決行。計画自体はお粗末なものだが、それなりに順調に行くのはコメディだから仕方ないか。あまり場当たり的ではカタルシスを得られないが、みんなが逮捕された後、そこを少しばかり補う展開が。1000万ドルを没収されても平気な男が、なぜ4500万ドル程度の車にこだわったのか? 本当の狙いが暴かれてスッキリ。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-18 18:32:25) (良:1票) |
3.アクションでもないし、コメディでもないし、カタルシスも感じませんでした。やはり日本では受け入れにくいタイプの作品で、「ツボ」に、はまる人もこのレビューの数の通り少ないのではないでしょうか?そもそも犯罪者の金なら取って良いの?って言うのもあるし、資産運用は自己責任でしょう。この辺を私は良しとできないし、車が地上に落ちたらそれこそ大参事ですし、ラストのくだりで贈り物受け取った人、換金どうする?疑問というよりも作品としてこれは認めがたいです。ベンがいい男気取りなのもマイナスで、ジムキャリーあたりのシリアス系もやりたいんでしょうけど・・・。日本では厳しいと思います。いい役者さん出ていますが時間もちょっと長いです。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(字幕)] 1点(2013-01-06 22:25:44) (良:1票) |
2.高揚感を煽る音楽の中、ベン・スティラー演じる主人公が、絶妙な笑みを浮かべながら“あるところ”を歩いていく。そのラストカットを見ながら、思わずにんまりと親指を立てたくなった。 イントロダクション通りのストーリーで、辿り着く顛末も大体想像通り。それでも、これだけの満足感を観客に与えるのは、アメリカのコメディ映画界が大衆を喜ばせるための「基本」を常に全うしているからだと思う。
もはやアメリカコメディ映画の世界では二大俳優といっていいベン・スティラーとエディ・マーフィの競演については、当然のことながら安心して見られる。
特にベン・スティラーというコメディ映画俳優の存在感は凄い。 主演作の殆どにおいて、彼の演じるキャラクターはあまり笑わない。主人公が真剣になればなるほど、彼を取り巻く環境は大揺れを起こし、可笑しさが生まれる。 それは、すべての人間が真剣に生きているこの現実の世界こそに、本当の可笑しさが潜んでいるということの証明であり。だからこそ、ベン・スティラーの主演映画は面白いのだろう。
が、その一方でこの二大俳優が組んで、しかも一応“幼なじみ”という設定の割には、ふたりの掛け合いが少なく、連携もイマイチだったようにも思えた。 ストーリー構成的には、ベン・スティラーの単独主演で、エディ・マーフィは脇役という印象が強く、勿体ないと感じた。
また、よくよく突き詰めれば、整合性がない部分もチラホラ目につくし、説明不足な展開もある。 そういう部分が、最終的な満足感のわりに作品としてのグレードを幾分か下げてしまっていることは否めない。
しかしながら、この手の映画に“こなれている”俳優たちのアンサンブルは極めて安定していて、気を削がれるようなことは決してない。
“人種のるつぼ”であるアメリカ社会が抱える格差や経済の問題意識もベースに敷きつつ、バランスの良いエンターテイメントに仕上げる“地力”が流石だと思う。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-11-28 23:54:57) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 映画を見ている間、とにかく何も考えずに最後まで楽しめる良作。帰りの電車で、「あれ?でもよくよく考えれば・・・」とツッコミどころはワンサカ出てくるけれど、見てる間は映画の世界に夢中になれます。(エディ・マーフィーのキャラがあまり活かしきれてないような気がするし、エレベーターの屋根の上に大人数+車1代乗っかてても平気で動いてるのはヘンだし。) けれど次から次へと見せ場があって、場面場面でカタルシスもあり気持ちいいです。現代アメリカの問題点的なものもふんだんに盛り込まれてますね。ラスト以後は、主人公が詐欺ジジイの配膳係になってたら面白いなー、なんて妄想しました。詐欺ジジイは、自分の食事に唾が入ってないか心配する獄中生活になるでしょう。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-04-05 18:30:04) (良:1票) |