7.有り金は全部酒と、風俗に費やし、家賃も踏み倒してしまうような、本当にどうしようもない、社会的クズの話なのだが、どこか惹かれる部分がある。それは、まっとうに生活している自分の中に潜んでいる、自由へのあこがれなのか、それとも、こんなクズよりはましな生活をしているという優越感なのか、そこはよくわからないが、いづれにしてもなんか嫌な気分をもちながらも最後まで引き込まれてしまった。これは、この古くさい昭和の香りがする設定なのか、性欲しかない恋愛べたな主人公が、自分の若かりし頃の気持ちと重なるためなのか。前田敦子がどこにでもいそうな、それでいて可愛いく、また、主人公の森山未來がだんだんと原作の西村堅太に見えてくるのが不思議だ。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 6点(2015-02-18 11:15:23) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 森山未來、高良健吾、前田敦子、マキタスポーツが、役にすばらしくはまっていました。 原作は読みましたが、全体を通したストーリーや伝えたいことは原作と異なっていると感じました。 原作どおりにしたら、それはそれでリアルで、フランス映画みたいで良かったかもしれませんが、映画は映画の役割(爽快感みたいなものを与えてくれる)を果たしてくれていたので、私は映画も好きです。 それにしても、森山未來は七変化ですね。「モテキ」「夫婦善哉」「苦役列車」とどれひとつ同じ顔はない。すごいなぁ。 【たぬき野郎】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-04 22:55:08) (良:1票) |
5.これは思わぬ掘り出し物に出会った気分だ。 昭和の青春ってこんな感じだったよなぁって懐かしさが溢れ出して来る。 登場人物がそれぞれに魅力的なんだけど、前田敦子の醸し出す昭和感が最高です。 舞台が平成だと微妙な空気しか醸し出さないのに昭和だと天使のように神々しく輝いて見える不思議。 そんな天使過ぎる前田敦子を高良健吾に寝取られるような泥沼の展開だったら満点付けても良かったけど、これはこれでアリの末路だったとは思います。 あと、贅沢を言うなら3人の友情がピークに達した海辺のシーンを1時間くらい見て居たかった。 一応、ラストでもう1回出てきたけど、何故服着てたのか謎です。 現実で下着まで行ったなら、妄想なら全裸でしょ!常識的に考えて 【もとや】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-05-26 17:33:41) (良:1票) |
4.最後の最後に貫多はやっと変わることができた。それは月日が流れたからでもなく、殴られて裸で捨てられたからではない。同類だと思って憐れんでいた高橋が夢に向かっていたからだ。変わる機会はいくらでもあった。正二に「お前はいい奴だよ。」と言われた時。康子に振られた時。高橋が怪我した時。元彼女とあった時。正二に見放された時。そして父親が性犯罪をした時。僅かな気持ちの変化はあったけど、人生を諦めていた。三年後、映画の冒頭と同じで、ソープから出てくる。努力をするわけでも、父と同じように犯罪に手を染めるわけでも、自殺するわけでもなくただただ漫然と不満を抱えながら過ごしていた。でも、最後に変わることが出来た。パンツ一丁で本を書くシーンは原作にはありません。山下監督はどんなダメな奴でも、運が悪いやつでも変わることができる。人が変わることは本当に本当に難しいけど、変われる。変わっても99%無駄に終わるけど、成功するかもしれない。監督はそういう希望を表したかったのだと思います。原作を書いた西村賢太は映画のリメイクを厳しく非難しています。彼は人生の不条理さを徹底的に表しています。変われない人は一生変われない。負け組だと。辛いけど、原作の方が現実だと思います。人はそう簡単には変われない。でも、そんなのは嫌というか、真っ向から立ち向かってやりますよ。若いうちぐらい夢を見てやりますよ。そして、絶対、叶えてやるし。 【うー】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-08 18:38:34) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 とにかくキャストが抜群 メインの3人以外でも周辺の登場人物達、たとえば花岡じったとかマキタスポーツとかいい所にいい人が。森山未來はうまい、本当にうまい。この人は結構嫌な奴な感じだけどやな奴をやらせたらほんとに抜群だな 高良健吾, 前田敦子もこれ以上ないほどのキャスティング 劇中、海に3人で戯れるベタなシーンが二度もでてくるが、どうしようもない主人公がもっとも楽しかった友達と遊んだ、彼の長い人生の中でも得難い貴重な思い出なのだろうと思うと何故か涙が出た 暴力描写も、少ないがピリッとした鋭い演出で程よく緊張感がある 青春映画としてはよく出来ているが原作とはかなりイメージが違うらしい セリフが純文学ぽくてちょっと違和感だがそのへんは原作通りなのかな? でも原作を先に読むと評価が違うかもしれないな ちなみに、前田敦子を下手だと言う人が結構いるけどAKBという逆評価される偏見によるものじゃないかな マキタスポーツがうまいと言いやすいのと同じ様な(決してマキタをけなしてるわけじゃないが)前田の映画はほとんど見たけど下手だと思ったことはない むしろドラマなどは他の主要キャストを凌駕していると思う事が多かった 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-16 15:42:36) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 見事なダメ人間。清々しいい程のクズ人間。全くブレない貫多に釘づけでした。彼の行動原理の根底にあるのは“諦め”だったと思います。犯罪者の息子。家族崩壊。刹那の快楽にしか価値を見いだせない。そんな主人公が唯一“将来”を語るシーンがあります。それは作家になること。でも漠然と思いを口にするだけでは意味がありません。寝てみる夢と変わらない。しかしTVの中で歌うかつての同僚や、友人達の幻を目の前にして、彼の中の何かが弾けました。夢を口にしてから、実に3年後。“夢への一歩”と呼ぶのも烏滸がましい最初の半歩。希望と言うにはあまりに儚い種火。でも貫多は初めて目的を持って動き出しました。その試みは徒労に終わる可能性大でしょう。努力は日々の鍛錬。怠惰な生活に慣れた体が、いきなり努力を受け付けるはずがありません。でも、だからと言って彼を蔑むのは間違いです。努力する人間を笑う権利など誰にもありません。それに貫多はまだ22歳。若さという武器は何物にも代え難いのですから。森山未來の演技は完璧でした。完璧過ぎて今後の仕事に影響が出ないかと心配になるくらい。マキタスポーツも如何なく持ち味を発揮してくれました。高良も雰囲気抜群。前田はオイシイ役を手堅く演じました。ナイスヘッドバッド賞。キャストは文句なく100点でしょう。描写も気に入りました。前田の手舐めや猿真似強要など一見意味不明な場面も、しっかりテーマに繋がっています。砂浜の落とし穴からゴミ捨て場直行シーンは、小説では描けない映画ならではの場面転換。思わず唸りました。その後、貫太の表情を一切映さなかったのも大正解。余計な情報は要りません。貫多の背中だけでいい。観客の想像力を信用した優れた演出でした。役者の熱演と監督の手腕。両方揃っている映画が、面白くないワケがありません。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-22 17:56:45) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 原作未読。とにかく「痛い」映画だった。肉体的にではなく、精神的に。いわゆる中2病の「痛さ」など及びもしない、圧倒的痛み。青春映画と呼ばれる所以はそのイタさにあるだろう。安易な共感を許さないほどの主人公の卑屈さ、どうしようもなさは、彼が糊口をしのぐために使うまさに肉体そのものであり、単純な精神論に陥ることはない。友人との交流によって人間を深めたり、ヒロインとの出会いによって愛という真実を見つけたりすることはない。どこまでいってもいわば地(自)である肉体が前面に出る。彼に観客は憐憫すら覚えるだろうが、彼らとの出会いで、北町が変わらなかったわけではない。むしろ口先だけ変わることを徹底的に拒否し、肉体そのものの変革まで彼は至らなければならなかった。人はこれほどまでもがき苦しんでようやくほんの少し変われるのかもしれない。森山、高良は非常に良い演技だったし、前田敦子も思ったほど悪くない、というのが印象(出番は少なめだったが)。ただMVPはマキタスポーツにあげたい。時代、題材など山下監督向きの映画だと思った。山下ファンはぜひ。ただ近藤、向井が参加していないのはやや不満が残るかもしれない。彼らが居ればもっと面白かったかも、と思わせる実績を彼らは持っているから。 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-07-15 01:59:26) (良:1票) |