6.《ネタバレ》 「学校」という閉鎖的空間のなかの微妙な人間関係を描くうえで、「桐島」というしかけが効いている。みんな、自分の身体では抱えきれないような肥大する自意識を、ギリギリのバランスの上で成り立たせている。とくに外見や能力も含めた「コミュニケーション力」によって成立するヒエラルキーは、「桐島の退部」という小さな出来事であっという間に崩れてしまう。一方で、映画部にとっての「ゾンビ」は、誰が何と言おうが関係ないもの、「コミュニケーション力」の裏側に存在するものだ。ただ、ほとんどの大人が「体験」をもって知っているものをうまく描いた、という以上のものは感じなかったのも確か。実は、原作のラストにあった「ひかり」をどう描くかが最大の興味だったのだければ、うーん、文化部の鬱憤晴らしみたいな感じになってしまって、ちょっと残念。そこには、もっと「普遍的な何か」を感じさせてほしかったなあ。難しいとは思うけど。 【ころりさん】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-02-21 14:47:52) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 同じシーンを異なる視点から描き様々な情報を小出しにしていくという手法は「バンテージ・ポイント」を思い出させますが、結構ミステリーには良くある手法ですよね。本作もこの手法をふんだんに使ってはいるのですが特に桐島の正体は明らかにされず映画は終わる。桐島は単なる話を転がすマクガフィンに過ぎず、明らかになるのは日本の高校社会での明らかなヒエラルキー。何故か体育会系の部活が文化系の部活よりえばっていて、帰宅部にさえ小馬鹿にされる文化部。その中でも秘宝系の映画が大好きな映画部の前田達はヒエラルキーの最底辺に属している。前田はショートボブの美少女栗原と「鉄男」の上映で偶然一緒になりフラグが立った!(実際そんな訳無いのだが)と歓喜するが結局栗原は帰宅部のイケメンと付き合っていた。そして最後愛するロメロの「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」を夢想し栗原をゾンビに喰い殺させる、自分たちを馬鹿にしている体育会系の奴らもろとも。このシーンは前田の高校社会への憎しみが爆発するシーンとして非常に感動的でカタルシスを感じられる物となっていた。しかし結局それは夢想であり現実は何も変わらないのだ。非常にリアルな残酷なまでの現実、監督はそれを描きたかったのだろうか?体育会系の奴らにオタクが復讐する映画と言えば「ナーズの復讐」「アニマル・ハウス」を真っ先に連想するが、本作はそんな筋肉主義というか見た目主義な高校社会に文化部が復讐する話ではない。運動部は将来の展望が薄いのに努力を続ける素晴らしい存在として描いている。それは確かにそうかもしれないが、映画監督として映画部の彼らにもう少し救いを与えられなかったのか?単に夢想では無く現実として"ドラマ"を展開して欲しかったように思います。私も学生時代は吹奏楽部として文化部に属しており何となーく小馬鹿にされていた部分がありますのでここは文化部が救われる瞬間を少しでも欲しかった。吹奏楽部の部長も可哀そうだったなあ。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-08-16 07:32:13) (良:2票) |
4.「山本美月ちゃんがかわいかった」あと原作者はコピーライターのほうが向いてそう あとスタンスとしてはリア充なんだろうな これ作った人 理解あるように見せて 客観的な自分に酔ってる そういうのが伝わってきて不快 いまこっちを向くとやけどするぞ 【日下部みさおは俺の嫁】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-11-18 04:00:43) (良:1票) |
3.好きではないけどとても興味深い映画で、最初から最後まで飽きずに楽しめた。もともと自分は高校まで学校というものが大嫌いだったけれど、この映画を見ながら、高校以前の時代には何があっても絶対に戻りたくないと改めて思った。鉄筋コンクリートに閉じ込められ、好きで同じクラスになったわけでもない人々と強制的に毎日顔を突き合わせ、勉強やら部活やらやり続けなければならなかった地獄の日々。そのとき自分を覆っていたどうしようもない閉塞感をとても久しぶりに思い出し、あの時代を切り抜けて今が幸せなのは嬉しいことだと感謝した。それぐらいリアリティがあった。だから映画としては成功してるんだろうと思う。 【クリロ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-18 00:38:03) (良:1票) |
2.少なくともリアル感はある。意欲的であり、かつその目的を達成している。 【枕流】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-08-23 23:47:42) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 【注!激しくネタバレ】優秀でモテるバレー部員桐島という存在は最後まで作中に登場せず、つまりはマクガフィンなのですが、これはそのマクガフィンについての映画なのですね。登場人物達にとってはとても重要な存在であるのだけれど、物語に対しては仕掛けとしての要素でしかない存在。つまり学校生活というものがそんな感じで。傍から見たらくだらない事、どうでもいい事だけれども本人にしてみれば一大事であったり真剣な苦悩であったり。それぞれが抱えた全く別々のピリピリとした自我同士が接触する事で簡単に傷つき簡単に傷つけ。自分にとって大切な事と他人のどうでもいい事、自分に付いた傷、他人に付けた傷によって少しずつ他人の「どうでもいい事」(あの隕石が秀逸な象徴となっています)の価値とコミュニケーションの術を学んでゆく・・・。多感な時期の姿を多角的に描いていて楽しませて貰いました。開幕からしばらく続く『バンテージ・ポイント』のような構成が何かを解き明かしてゆくのかと思ったのですが、それぞれの立場・校内でのポジションの紹介といった感じで、そんなには効果的に機能していなかった気がするのは残念ではありますが。あれ、どうせならもっと徹底的にやった方が強い印象を残したと思います。登場人物に過度に思い入れるようにはなっておらず、どのキャラにもそれなりにイヤな面が存在している点を晒している状態は大変良かったと思います。もっとも自分自身は高校時代、映画研究会というヒエラルキーの底辺に存在していた訳で、あのリアクションの薄い面々にシンパシーを抱く事、大でしたが・・・。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-08-12 17:33:00) (良:1票) |