2.冒頭だけ見ると「007! ボンド死す」ってな感じで、このエピソードにおけるMとボンドの関係が、ラストにも繋がるんですが、まあそれならそれで、物語が寄り道し過ぎ、要するに2時間半近いってのが長過ぎなんでしょう。かなりボヤけた印象。 そもそも007シリーズってのがそれなりにおバカなシリーズであって、例えばムーンレイカーなんてのはそれはもうヒドイ内容な訳ですが、アッと驚くとんでもないスタントシーンをスタントマンに演じてもらいつつ、ロジャー・ムーアはあくまで涼しげなスケベ顔でキメてみせる事に徹していて(と言う程何もしてない訳でも無さそうですが)、これもひとつのやり方ではあったかな、と。もちろんそれと同じ事をまたやって欲しいとは言わないし、あんなおバカな事も今更なかなか出来ないだろうし。ということで、ダニエル・クレイグによる肉体派ボンドの登場と相成る訳ですが、自分でアクションをこなし、かつ自分でボンドらしくキメてみせるには、それなりに工夫も必要でしょう。 冒頭のアクションで、パワーショベルから飛び降りてキメてみせる、そこでクールな表情をカメラがバッチリ捉えていたならば、このシーン、さらにキマってたのでは。 映画全体に、雰囲気はあれど、そのままズルズルと弛緩してしまう印象。ラストの一軒家での戦いも、結局最後まで画面を暗くしただけに終わってしまって。 もしも、ここぞという場面でキメきれない理由のひとつが、「動けるボンド」のせいであるなら皮肉です。ダニエル・クレイグは何度も全速力で走って見せ、それは実に綺麗な走り方なんですけど、なかなか高揚感に結び付けられないまま、ああまた走ってるんだ、と。 硬派な007映画も結構ですが、真面目過ぎなのかも知れません。このボヤけた印象を、もう少し引き締めて欲しい。 【鱗歌】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2016-04-17 08:44:07) (良:1票) |