7.《ネタバレ》 映像のパワー、音楽のパワー、物語のパワーに圧倒された。そしてこれら映像、音楽、物語、それぞれのパワーがうねり合い、からみ合い、重なり合い、激しい力となって、押し寄せてくるようであった。まさに総合芸術としての映画の力の凄さを示す映画と言えよう。 題名のレ・ミゼラブルは悲惨な人々、哀れな人々とでも訳したらいいのであろうか。工場労働者、売春婦、反政府運動家など悲惨な人々が沢山出てくる。ジャン・バルジャンは正義に、警部は法に縛られてある意味、悲惨な生き方であったようにも思う。悪人の夫婦は貪欲さに、学生は社会正義に縛られていたと言えなくもない。コゼットの夫もその意味では愛に縛られているのかも知れない(恐らく彼は今後反政府運動に命をかけることもなくコゼットとの愛に生きるのであろう)。そんな意味では、この登場人物達、というか人間は皆何かに縛られた哀れな生き物、レ・ミゼラブルであるのかもしれない、うがち過ぎた解釈ではあるが。 最後に、自分が信じたもののために死んだ人を先頭に民衆が立ち上がるというシーンは、自分の信じたもののために進めという作者のメッセージ(たとえそれに縛られていようと、哀れであっても)のような気がする。 |
6.まず最初に、本作品はミュージカル映画です。 有名な作品なので、そういうことは少ないと思いますが、それと知らずにミュージカル嫌いの人が見に行くと悲惨な目にあいます。 通常、ミュージカル映画はアフレコですが、本作ではライブ録音で、ミュージカルとしての臨場感を高めています。時にイヤホンが外れたのかキーがおかしくなっていても、「舞台」と考えればそれもまた良しです。 映画では舞台と違って顔の表情をよく見られるという利点もありますし。 ジャンバルジャン演じるヒュージャックマンは、強制労働がいかに過酷であったかをその後の姿とで見事に表現しています。 レ・ミゼラブルというと、ミール・バヤールの木版画の少女コゼットのが絵が有名ですが、本作の少女・コゼットが生き写しでした。作品へのこだわり、愛情を感じました。 【ぶん☆】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-01-06 15:56:21) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 映画の、舞台との違いと言えば場面を瞬時に切り替えられる事にあって、革命前夜、キャラクター達の姿を次々と切り替え捉えてゆくフラッシュバックの高揚感などは映画独特のものであると思います。 でも、それ以上にこの映画が舞台との違いを意識させたのは「表情」。カメラが寄る事で視界いっぱいに表情を捉える事ができるのが映画。
この映画、最初に闇があって、そこに光を当ててゆく事で人物を浮かび上がらせるという映像の作り方をしています。その光は罪を持つ人にとって微かな光であり、希望が与えられる、神の祝福を得られる可能性が見えた時に、光はその明度を増します。 その光の前で苦悩し逡巡する人々。その迷いによる動きの揺らぎが光と影のコントラストを変化させ表情を作ってゆく、つまり、徹底的なアップの連続に意味を込めた映画だったと言えます。
神の祝福を受ける事でその顔が光に包まれる、ジャヴェールはその機会を得ていながら(ちゃんとジャヴェールにも光がもたらされようとしています)自らそれを拒み、その顔に影を落としたまま消えてゆくのです。 バルジャンもまた沢山の罪と苦悩を生き、彼の翻弄された生は顔に様々な陰影を落とす事になります。
ですが、大人になったコゼットはどうでしょう? 神の祝福を受けたかのように輝き、ラスト近くに至っては自ら発光しているかの如き輝きで周囲までも照らしているのです。 失意の中にあったマリユスを照らし、最後には彼女の光に照らされ輝くバルジャンとファンティーヌ。それは救済された者の顔であった訳です。
個人的にはラッセル・クロウの声はどうかと思いましたが、総じて表情と、そこから絞り出される歌声が強く印象に残る作品でした。
映画は光と影と音が紡ぐもの。であるならば光と影、そして声をその主題に置いたこの映画は大変に映画的であると言えないでしょうか? 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-01-05 15:26:04) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 主人公を取り巻く人々の群像劇でした。20代とかに見てたらわからなかったけど今なら登場人物全てに共感できます。このあとのフランスは更に混迷を深めもっとたくさんの血が流されるのを考えたら登場人物達の最後の合唱を物悲しく感じました。 【AIRS】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-29 23:38:23) (良:1票) |
3.ヒュージャックマン、ラッセルクロウ、アンハサウェイ、彼らの演技・歌共に素晴らしかったです。ミュージカルではあるけれど、久々に「映画館で映画を観た」と思えるような充実感がありました。本編が終了した時、控え目ながらも自然と会場から拍手が沸きました。そしてエンドロール中に「Les Misérables」と表示された時にもまた拍手が沸きました。自分も拍手しました。映画館で拍手が沸く、初めての経験でしたがそれが自然に思えるような映画でした。 【珈琲時間】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-23 17:59:19) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 終わったあと普通に拍手しそうになった。 期待が大きかった為、すごく良かったんだけど 大号泣してすっきりする予定が、小泣き位になっちゃった。 でもサマンサバークスのOn My Ownはがっちり泣きましたけど。 テイラースイフトじゃなくて本当に良かった。 あと、ずーっとこの気持ち悪いイギリス人誰だっけ誰だっけって超気になってたのが サシャバロンコーエンだ!ですっきりしたエンドロールでした。 素敵な映画。 【Pecco】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-21 20:35:24) |
1.《ネタバレ》 ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイは歌唱が思ったより上手で驚きました。 それよりもマリウス達が仲間と決起するシーンでは全員が上手と思います。 歌がアフレコではなく、生録りと言っているように演者の感情が息使いにまで出ていて、表現力も高まっていると思います。
アフレコなら、もっと上手に歌っているように観えるかもしれませんが、私はこういうほうが良いと思います。
ラッセル・クロウは何故あの役を得たんだろう?と疑問は残りますが、まぁ頑張ってたから良いか・・程度です。 発声など専門的な知識を持つ人なら良し悪しは説明できると思いますが、私が思うに「ありゃないわ」ですかね。 もっと太いバリトンでグイグイ押して欲しかったし、何よりビブラートが足りないと思いますが如何でしょう?
あと、売春宿の場面はもう少し短くても良いと思います。
総じて見て、大変良い映画だと思います。 観客も年齢層が高めに思えたのですが、やはり原作に関心があって観に来た人達が多いように思いました。 【白狼】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-21 17:06:54) (良:1票) |