6.《ネタバレ》 ドラマは見ていません。想像していたより良かったです。眼つきの悪い草彅クンがそれっぽく見えました。善人とも悪人とも言えない複雑な人格が面白かったです。 私は詳しくないのですが、介護にまつわる問題点を正しく取り上げているように見受けられました。身内にとっての介護と仕事としての介護の乖離は、どちらの言い分も正しいと思えるだけに、リアルに映りました。ヤクザのシノギと高齢者介護も、おそらく現実的な接点として存在するのだと思います。そういう意味で着眼は良いと思います。 後半はドラマっぽい、つまり安っぽい展開が目に付きました。黒木メイサはドラマのメインキャストなのでしょうが、その登場は本作のストーリーに必然がありません。ストーリーを介護問題に絡めて決着させることを放棄して、腕力によるヤクザの意趣返しに逃げたように映りました。施設を焼いたところで、あの組にとってメリットは何も無いはずだし、草彅クンも別に慈善事業をやろうと思っていた訳ではない。その辺りに甘さを残した作り方でした。もう少しキッチリまとめてあれば、評価が跳ね上がったと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-10-15 00:29:51) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 凄く良い映画だったと思います。ドラマのは見たことありませんが、なんの予備知識がなくてもすんなりと入り込めたし、娯楽的内容であっても説得力を伴う作りになっていたと思います。その理由はたぶん2つあって、1つは草なぎ君の演技がとても素晴らしかったこと。安田成美、 風間俊介、香川照之、夏帆ちゃん、みんなそれぞれの役柄を実に見事に演じてらしたと思う。2つめは、刑務所の中とか最初に施設を訪れた時の汚さや臭さとか、そういった描写がとてもリアルに表現されていたこと。それによって、一見荒唐無稽なお話でも、今の介護を取り巻く諸問題を考えさせるだけの説得力を持った作品に仕上げることが出来た。介護認定や入居の問題、年金や生活保護を食い物にする輩の問題、とても考えさせられる。彦一が、施設を運営していく中で少しずつ心境が変化していって、それが表情に現れる、実にぐっときましたね。葉子の子供達もいい演技していたと思うし。マイナス点は、黒木メイサの登場が唐突だったのと、終盤わざわざ殴られに突入していくというのがいかにも映画的だなと感じたこと。それぐらいかなぁ。全体的にはほんとよく出来た良作だったと思います。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-07-08 23:46:19) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 テレビシリーズとの繋がりはほとんど無い 前回の登場人物がほぼ出ないのはちょっと不満だ 冒頭コンビニ強盗を一蹴するくだりは掴みとしては抜群だ テレビシリーズよりもかなりシリアスでハード しかし主人公がホームを老人運営する過程にディテールがまったく無い 各老人達の過去の技で経営を立て直す具体的なシーンがちょっとでもあるとリアリティが有ったのに残念だ 主人公も過去のヘルパー経験の技をチラっとでも見せてくれればおお、って思ったのに 草薙くんはいつもテレビで見るとなんてこと無いのだが、こと役者になると抜群だ あの微妙な存在感がいいのかな ヒロインの母親を主人公のホームへ入れる過程はベタだがけっこう泣ける ラストシーンを含めて役者の顔がアップにされるシーンがスローで効果的に使われていて、ありきたりだがなかなかうまい演出だと思った 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-20 23:28:42) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 劇中、迷惑そうに看護師がボヤくシーンがあります。「要介護度が2という事なので受け入れたのに」。 ランクによって選り分ける介護認定制度って代物、判定する人の主観に左右される雑なシステムな上、再認定の申請から実際に認定が下りるまでに2ヵ月程かかります。認定されれば要介護度は判定日まで遡って適応されるものの、その間に何らかの具体的な手が差し伸べられる訳ではありません。 映画のように認知症が進行すれば要介護度は4か上限の5になりますが、認定には時間のズレがあり、要介護度が上がったところで、じゃあ手厚いサービスが受けられるのかと言えばシステムは万全には程遠く、むしろ介護度が上がる事によって映画のように更なる困難が発生します。 最終的に要介護度5となった父の介護をしてきた自分にとって安田成美の助けを得られずに行き詰まってゆく感覚はとてもリアルなものとして伝わってきました。
娯楽映画というスタイルはあくまで崩さずに、介護生活において最も大きな障害となる排泄の問題や、高齢者から金を吸い上げる事に躍起になる介護ビジネスの実態も含め、高齢者介護の現実とあるべき姿を真面目に描出した映画だと感心しました。
ただ、それを描いた時点で真面目な映画としての役目を終えたかのように、クライマックスではテレビシリーズを見ていないと訳が判らない、都合のいい便利キャラとして黒木メイサが登場し、更に「コレはあくまでヤクザ映画なんですよ」とばかりにクサいスローモーションとカットバックでクドクドと見せ場を安っぽく演出してしまう点は幻滅しました。何か最後になって色々なお約束事を回収にかかったみたいで、ちょっと不恰好。
でも、結局こういうのって自分の身になってみないと判らないゆえに法律もいい加減だし、映画でも問題が伝わりきらないのでしょうねぇ。そういう立場になるときっと「政治家のドアホ!」って思いますよ。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-01-31 20:28:36) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 西谷弘のテクネーなどという論文があったとするならば、 先ず論ずるべきは間違いなく、視線で描く演出の美学なるものだろうか。 西谷弘がまなざしで映画を作っていることは『アマルフィ』や『アンダルシア』の時点で 既に散々と書いてきたことなのだが、役者が向けるまなざしとそのまなざしの先にあるもの 例えば、草彅剛が見ているというショットと、何を見たかというショット これらが物語を展開していくという流麗な手捌きこそが 西谷弘の映画の巧みさのひとつであることは誰にでもわかるだろう。 それは、誰をどのような玉で撮るのか、広角で撮るか、望遠で撮るか 後ろのボケ具合はどうかといった、撮影山本英夫の巧みさと相俟って成立している。 更に、このシーン繋ぎの見事さはなんだ。ひとつ例を挙げるとすれば 介護都市にしようという看板へのトラックインに、演説の音声をずり上げし そのまま香川照之の演説シーンへと移行する華麗さ。見事という他にないだろう。 そして冒頭のトンネルのシーン、ラストのトンネルのシーンという反復性。 つまり主人公がこの先どうなるのかという暗示であり、この映画の結末である。 西谷弘の計算され尽くした演出力は、凡庸な脚本をここまでに仕立て上げてしまう。 【すぺるま】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-11-26 00:38:33) (良:1票) |
1.つまらない。ドラマを観ていなくても全く問題ないつくりになっているのはいいけど、これはちょっとツライ。 理由のひとつが映画の軸がブレていること。 本作のストーリーの軸は ①ヤクザである主人公の成長物語 ②介護制度の現状と打開 ③ヤクザとの抗争 などがあるのですが、そのすべてが中途半端に終わっており、カタルシスがありません。 もうひとつはリアリティのなさ。 もともとが荒唐無稽な設定なので、それを観客に納得させるだけの説得力が必要だと思います。 しかし、本作は現実的に考えればありえない展開がとても多いです。 もちろんフィクション映画なので、多少のファンタジーらしい要素は目をつぶるべきなのでしょうが、これは許容範囲を超えまくっています。 恐ろしいことに、本作の主人公はヘルパーらしいことをほとんどしません。 覚えている限りそのシーンは1、2カ所。あとはヤーさんらしくボコったり命令したりしているだけです。 終盤の展開のつまらなさもしんどかったです。 良いところもいっぱいあります。 介護の問題点や、年金や生活保護費を不正に受給している施設を糾弾する描写はとても意味のあることです。 本作に登場する、放置されて人の住むような場所ではない状態になっている介護施設も、それを端的に表すことに成功しています・・・が、結局は中途半端に終わってしまっています。介護の実状や仕事についてもちゃんと描けているとはいえないため、介護に携わる人や、福祉の仕事をしている人に勧めたいとも思えません。 ただ草なぎ剛は素直に素晴らしかったです。本物のヤーさんにしか見えません。ぜひ「アウトレイジ」の続編に出演してほしいと思えました。 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 3点(2012-11-24 19:18:17) (良:1票) |