13.私が本作のDVDを購入(ほぼ衝動的に)して帰ると、伯父がちょっと意外そうな顔をして私を見ていた。「お前そんなん観るの?」怪訝そうに「何故?」と聞くと「観りゃわかる…」其れが、妙に記憶に残っている。
チミノの描く流麗なダンスシーンは、その後展開する恐ろしい惨劇を全く予期させない。戦場へ向かう仲間達に些かの憂いがあったとしても、そんな物を表に出すことすらタブーの様に馬鹿騒ぎしてみせる。 戦場に立つまでの一時を過ごす彼らには、その生活が一変してしまうかも知れないと云う不安は薄かった…否、同じ様にこれからも皆仲良く連む事が出来る、其れが当たり前..と信じていたのかも知れない。 そう思いながら、あのシーンを回想すると一層悲しくなる。
戦争は全てを変えてしまう。其れが自然であったり、命であったり、友情であったり、形は様々だ。失ってしまうものの大きさは計り知れない。英雄となって街に戻ったマイケルは、親友を失し、ニックは心を失してしまう。再会して、マイケルを認識した瞬間、ニックのこめかみを貫く銃弾…ひたすらショックだった。 感動したか?そんな物ではない。衝撃だったと云うしかない。そして、この作品が米国映画であると云う事に些か驚き、更には腹立たしささえ覚える。観賞後の後味の悪さから言えば、No,1。 第2のベトナム戦争だのと揶揄されているイラクの一件。同じ悲しみを抱える人が少なからず存在する事を、米国大統領に言ってやりたい。言ったところであの偏屈が判るかは甚だ疑問だけど…
未だに「観りゃわかる…」と云った伯父の言葉の真意を確かめていない...。 私自身の中だけで補完してしまう事にする。 【MAZE】さん 9点(2004-06-14 00:24:05) (良:2票) |
12.ベトナム戦争に対するアメリカ人の独りよがりな被害者意識がモロにでた映画でした。それはアメリカ人も大変だったろうけど、国土を焼き払われ、枯葉剤をまかれ、無差別爆撃を浴び・・・ベトナム人のほうが遥かに大変だった(大変な目にあわせた)という視点が欠けているのではないでしょうか。アメリカ人の自己憐憫についていけません。 【毬】さん 0点(2002-07-07 15:46:47) (良:2票) |
11.戦争映画というより、青春映画として大好きな映画。 前半の結婚式・シカ狩りの長さも、「なんてことない日常」を表現するために必要な長さと思います。くだらないことが楽しかったなあ・・・というやつ。(当方もとっくに青春は過ぎているのでわかる気がする) マイケルが故郷に帰って、家に戻れずモーテルに泊まり、くつろげずにうずくまるシーンが印象的でした。 【Northwood】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-04-24 06:36:38) (良:1票) |
10.この映画は三部構成になっているのだが、全体を通じて長いことは否定できない。特に結婚式~披露宴兼出征パーティ~鹿狩りと続く第一部は特に長い。しかしながら、この部分がその後の展開のキーとなる部分であり、この長さは削るわけにはいかない。この部分で、その後のストーリーに関わる多くの伏線が張られているというわけではない。鹿狩りで鹿を追い詰めたときのマイケル(デ・ニーロ)の態度は第三部への伏線になってはいるが、その数は決して多くはない。それにもかかわらずこの映画においては、第一部が最も重要である。 観客は第一部で「彼ら」と同化することができる。「彼らの中の誰か」と同化するわけではない。ピッツバーグ近郊の製鉄会社に勤めるロシア系移民の若者たちの生活環境を体験し、その考え方を骨まで叩き込むのである。彼らの興味や嗜好まで理解し、彼らと共に鹿狩りに行くためには、第一部の長さではむしろ短い。第二部以降の有名なロシアン・ルーレットのシーンの迫力は確かに凄まじいが、僕はこの映画の魅力は第一部にあると感じる。 第二部以降は話の焦点がマイケルとニックだけに合ってしまうのだ。この二人の対比は戦争から受けた影響の相違という点においては確かに興味深い。彼らの演技も素晴らしく、二人が対峙する第三部のシーンは一生忘れられないほどの緊迫感に満ちていた。出征の前までは、どちらかというと直情径行的で少年のような不安定さを残していたマイケルと理知的だったニックに、精神的にどのような変化が起きたのかを考えながら鑑賞すると実に面白い。終盤のニックの行動に唐突感を覚える人もいるようだが、僕はむしろ共感を覚えた。だが、この映画は群像劇にすべきだったと僕は思うし、それがうまく機能していない(一部の登場人物にシーンが偏りすぎる)印象がする後半の展開は残念だった。 もちろん、見所はいくらでもある映画だが、完璧に近い作品なだけに、宝石の些細な疵が気になるような少し嫌な後味が残ってしまった。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-08-15 23:57:29) (良:1票) |
9.言われているほどいい映画とは思えない。前半のつまらなさは見てていらつくし、退屈で苦痛。もうちょっと考えて作れと思った。後半は戦争映画題材にしては方向が気持ち悪すぎない?ダメダメ映画。でもデニーロの演技力と音楽でなんとか救われてる映画。 【将】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2010-06-26 22:29:38) (良:1票) |
8.故郷のペンシルバニアから、はるか遠くに存在する、戦火のアジアの混乱猥雑な街の片隅、路地裏の裏の裏の裏の、場末にある暗い一室。ロシアンルーレットの元締め達がメシをかき込む、むせかえるような、料理の皿の多い食卓。一方、ベトナムから帰った後の鹿狩りでの、素晴らしくも荘厳、神聖な山岳と鹿のすがたの一瞬。街の正教会の神聖で静謐な空気感。わたしはラストの葬儀のあとのみんながあつまるシーンでは、スティーブンの車椅子をおすように、家の中に入っていって、みんなと一緒に”ゴッドブレスアメリカ”を歌い、”its to nick!"と乾杯をした。さようならニック!最後の出演俳優の紹介で、みんながそろった、たのしかったときのみんなの姿、マイケルのおどけた姿がわすれられない。(超号泣!ウワーーーーーン!)俳優っていいなあ。
【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-03 23:35:06) (良:1票) |
|
7.色々と問題点を内抱してる作品ではあるけれど、ラストシーンに関してだけ言えば、これまで観た数多くの映画の中で、十指に入れたいほど好き。とにもかくにもウォーケン=ニックの無垢なあの笑顔!笑顔!メリルもまだこの頃は腺病質的繊細さを漂わせてました。ロシアン・ルーレットシーン、デ・ニーロの「Nick,I Love You!」という台詞は、男同士の極限状態での、最も切ない友情と愛情表現の発露だったと思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-02 10:34:23) (良:1票) |
6.難点だらけの困った映画です。ベトナム戦争を知らない人のためのフォローが一切ないうえ、しかも最初の80分がひたすらかったるいです。せめて半分にまとめて欲しかったです。良くも悪くもアメリカ人のための映画です。 【K】さん 0点(2004-08-17 13:34:33) (良:1票) |
5.徴兵制度があるアメリカにおいて、この映画を見た若者はどう思っただろうか?いつ徴兵され、死ぬかも知らんアメリカ人の気持ちになってみると「これはただごとではない」。 この映画はよく「アメリカの言い訳だ」とか言われているが、 ただの映画監督がアメリカの罪を弁解する必要などないのでは? この映画のテーマはあくまでも、ベトナム戦争においてのアメリカがどうこうとかいうものではなく、「戦争が人に与える影響とは何か?」を問うものだと思う。もちろん、観客がニックやマイケルに感情移入できなければ、完全に彼らの気持ちは解るわけないのだから、多少はヒロイズムが必要だと思う。 |
4.数あるベトナムものの中でもこれは重い。田舎町に住む少数移民である彼らがなぜ志願兵としてベトナムに行ったのだろう。少数移民だからこそアメリカ国民としての存在価値を確認したかったのでしょうか。そして想像を絶するベトナムでの体験で深く傷つき大切な仲間を失う。前半で描かれたあの日々はもう戻ってこないのかしら。結婚式で始まりお葬式で終わるのが痛すぎる。どうしてもあのロシアンルーレットのシーンに話題が集中してしまいますが、私はそれよりもラスト近く、ひとり厨房で卵をかき混ぜながら、こらえきれずに泣きだすジョージ・ズンザのシーンがたまらなかった。私もそこで一気に噴き出るように涙がでてきました。マイケル・チミノ入魂の一作ですね。 【envy】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2003-12-05 12:40:32) (良:1票) |
3.映画『ディア・ハンター』ちなみに『DEAR HUNTER』ではない。確かに名作の雰囲気を持っている気はするが、果たして“おもしろかったか?”と思うと疑問である。まず、前半のヴェトナムに出征するまでが長すぎてかったるい。舞台はアメリカの平和な田舎町に住む平凡な青年たちの話のはずだが、出演者が演技派揃いなため、とても平凡な青年には見えない。特に、デ・ニーロの何か賞でもねらっているような演技はちょっと力が入りすぎていて只者とは思えない。これでは、とても、感情移入できやしない。もっと、抑えた演技でも良かったのではないかと思う。そこで、感情移入できるぴったりの人物がいる。ニックだ。しかし、マイクルが「お前(ニック)の婚約者には手を出してしまったが、お前は親友なので迎えにきた。さぁ、いっしょに帰ろう!」と言って来るわけだが、ニックの気持ちになると複雑である。次に、ロシアン・ルーレットのシーンではマイクルが「3発でやる。」と言っているが、仮にあの銃が6発装填式だとすると、弾の出る確立は2分の1で、しかも、良いのか、悪いのか毎回シヤッフルをしている。もの凄いことである。 【Fatman】さん 5点(2003-07-14 19:52:33) (笑:1票) |
2.あのぉ~~コレってつまんないでしょ、ぶっちゃけ。何かコレ見て熱く語れる人って相当感受性豊かじゃないのかな。逆に面白くないってことで熱く語れる人も変わってるよね。アタシには別に何も印象に残りませんでした。ちょっと時間を損したような気がする。 【イサオマン】さん 3点(2003-06-05 23:19:04) (良:1票) |
1.映画史に残る大傑作映画の一つである。パクス・アメリカーナの最盛期にあるアメリカが生んだ、名作『シェーン』(1953年)の対極にある作品。ヴェトナム戦争の敗北によるアメリカニズムの永遠の終焉を暗示した、青春映画である。この映画のレヴューを書き始めると、胸が一杯になってしまい、筆が進まない。また、短いレヴューで済ませたくない、私にとって大切な映画でもある。ただ、昨今のアメリカ政府の独善的な外交姿勢は、ヴェトナム戦争の敗北に起因する全国民的な自信喪失を必死に回復しようとするものであり、この映画のラストで歌われる、“GOD BLESS THE AMERICA”のもの悲しさは、その不可能性を象徴しているように思う。駄文ご容赦。 【スタハノフ】さん 10点(2002-07-11 12:20:35) (良:1票) |