4.《ネタバレ》 『アヒルと鴨のコインロッカー』『ポテチ』に続き、またしても中村義洋監督+濱田岳コンビに「してやられた」というのが率直な感想です。団地の中で一生を終えると決めた男。そんなどこか滑稽なシチュエーションの裏側に隠された真相が明かされるまで、理由に思いを馳せなかった自分の鈍感さが悔やまれるというか。少し考えれば想像できるはずなのに。それくらい“濱田岳マジック”が効いていたとも言えます。彼の醸し出すナチュラルなリラックス感は、サスペンスを際立たせる優秀な緩和剤。いつの間にか観客は、シリアスなお話に覚悟なく向き合わされている寸法です。本作のテーマは母の愛。傷ついた息子を信頼し、彼が立ち直るまで「待つ」と決めた覚悟の深さに震えました。一歩間違えば共倒れです。でも彼女は息子の芯の強さに賭けたのです。確かに彼は団地に居ながらにして、一歩一歩、成長の階段を上りました。手に職を付け、異性を知り、己が大切な者を守る力を身に付けました。そしてキッチリ過去のトラウマを克服したのです。周りから嘲笑された空手修行が、コツコツ積み重ねてきた努力が、報われた時のカタルシスや絶大でした。母からの命を賭した最期の贈り物は、息子の背中を押すこと。子に一人で生きていく力を身に付けさせられたのなら、親の役目は十分果たしたと胸を張れます。死んで本望。私も悟と一緒に泣きました(てっきり悪漢を病院送りにした事でお縄を頂戴し、公権力の力を借りて団地から出るストーリーを予想していたので、この結末なら文句なしのハッピーエンドでしょう)。悟ちゃん、お母さん、おめでとう。本当に頑張りましたね。本作製作時点で24歳(!?)の濱田が、小学生役をやるなど、本来なら作品の世界観を壊しかねない危険な行為。しかし子供の心のまま大人になった主人公のメンタリティを表現するには、有効な手段だったように思います。やりますな、中村監督。沁みるお話でありました。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-07-09 00:57:16) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 申し訳ないが、悟クンには少しばかりの説教を。 新聞受けから中を覗いてはイカン ご老人をビビらせてはイカン 女子の胸をいきなりムギュッと鷲掴みにしてはイカン 目潰し・金蹴り攻撃を容易く使うやつは男としてちょっとどうかと思う ちょっと問題アリだな 教育的指導が必要。 まずは、新聞受けから中を覗いて視線があった時には ちゃんと『コンニチワ』 女子の胸を鷲掴みにする時には片手じゃダメダメ きちんと両手でがっしりと。 金蹴りダメダメ 金の玉の痛みを知ってるハズの同じ男としてそれってどうよ 楽して勝とうとするなんてまだまだ30年早いわ いいか、そのへんちゃんと分かってもらえたかい? 今後の成長度合いに期待する。 【3737】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-07-03 00:11:48) (笑:1票) |
2.《ネタバレ》 とにかく最近、濱田岳が良い味かもしだし!彼のコミカルな持ち味をフルに活用した作品に恵まれたせいか、CMでも大笑いの引っ張りだこ。この作品は、彼を主役にドンと置いて、じっくり描いた好作品。女性にもモテモテで羨ましいぞ、この野郎!って感じだ。ただドラマでは付き合った女性とは、別れちゃうんだよね。とてもクールに創られてる。それにしてもお母さんの大塚寧々がまた良~んだ!団地の中でも、世界は均等にある。最後のお母さんの書き残し、「あなたはどこでも大丈夫」の一言に僕も思わず、嗚咽しそうな気持になっちゃったよ。愛のある作品に、とても濱田岳は似合うんだなぁ。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-06-11 22:41:17) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 原作付きの映画で、中村義洋監督と濱田岳のタッグといえば、好き嫌いもあるだろうが、自分は独特の間や、濱田岳の役者らしからぬ感が好きな方だ。今回は、自分の家ならぬ、団地という狭い社会に引きこもってしまうという考えられない設定なのだが、最初は戸惑って悟が、変な者としかみることができないが、就職、彼女、婚約、ケーキ屋の起業等、変なイベントも多数あるが、全て、彼の巣の中の疑似経験であり、すべて、意味があったとしたら?母は、全て知っていたんですよね。自分の死が引き金になることも。そうすると、ラストの唐突さは理解出来ると思います。母は、偉大なのかもしれません。彼は、どこでもやっていけるでしょう。なかなか、自分には佳作でした。惜しむらくは、原作が全部収まらないので、省略があることで唐突な部分ができることですかね。 【min】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-06-10 20:50:08) (良:1票) |