5.《ネタバレ》 映像が綺麗な作品? そうだ、だがこの作品は「映像がキレイ」で片付けられない。そう、映像集ではないのだから。皆さんはあの狂気の瞬間を目に入れただろうか。保ってきた人間性が崩壊する瞬間に訪れたこの映画の躍動を。幾度となく映されていた動物に虫がついて回るという変化を。 イナゴをつかまえて笑っていた少女がそれを叩き出したその瞬間。イナゴの生々しいクロースアップ。はっきりと見えてしまった瞬間。農場主の気品ある穏やかな顔が歪むその瞬間。 画が画でなくなり、ショットがショットでなくなる。 全てが映画へと還元されるその瞬間。 「世の中には持てる者と持たざる者がいる。」少女のナレーションが語る。持てる者がいる以上、持たざる者について回る劣等感。拭い去ろうとすることが持たざる者の人生なのか。 であるならば、狂気とは何と身近なことだろう。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-09-24 12:29:57) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 確かこの映画、ずーっとお蔵入りだったのを、82年のお正月映画「愛と青春の旅立ち」の大ヒットでリチャード・ギアの人気が日本で大ブレイクしたんで、翌年の春に「あのリチャード・ギア幻の未公開作!」ってふれこみで、急遽公開された経緯があったはず。都内でも「シネマスクエアとうきゅう」単館上映、観たいな~って思っても、私が住んでた田舎の映画館で公開されるような種類の映画ではなかったので、結局鑑賞したのはほぼ40年後の本日になってしまいました。うーん、若き日のギアもサム・シェパードもご両人とも、ほれぼれするほどイケメンさんですね~。どちらかと言えばこの映画では、サム・シェパードの方が儲け役かな。当時から「映像の魔術師テレンス・マリック」っていう評価のみ耳に入ってきていたので、実物は一体どんなもんじゃいと思ってたんですが・・・。噂にたがわず素晴らしかったです。麦の穂が一塵の風でざわざわ揺れるシーンだけでも胸騒ぎが。ボーっと見てるだけで90分過ぎていきました。兄妹と偽ってる二人の言動があまりに無防備過ぎるとか、ケチを付けたくなるような箇所もあるけれど、この映像のチカラの前には、オハナシの脆弱さも含め全て許してひれ伏してしまいたくなる・・・そんな映画でした。ヒロインがよくいる美人顔女優さんじゃないのも効果的。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 8点(2018-10-12 22:42:06) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 いつか機会があれば見てみたいと思っていた作品です。 風に波打つ黄金色に輝く麦畑。季節は移ろい、雪に覆われた白銀の世界。 その季節の中で、あるいは1日の中で、最も美しい瞬間をとらえる。 特に幾度と無く挿入される、赤く空を染める日没前後の美しさには心が震えるようでした。 そんな美しい作品の世界に自然と溶け込んでいくかのような巨匠モリコーネの音楽もやはり美しい。 病弱な農場主と、この農場に労働者としてやって来た男と女と、1人の少女。 彼らに訪れた、一見すると雄大で美しい自然の中での天国の日々。 しかしその微妙な関係は常に脆さや危うさをはらんでいる。 まるでマリックは遠くから彼らの日々を眺める傍観者のようでもありますが、 淡々とした日々の営みの中から人間の野望や嫉妬心といった、彼らの心の内を拾い上げていく。 どんなに文明が発展してもイナゴの大量発生の前になす術も無い人間。 本作が映し出す自然の大きさや美しさの前には、人間とはかくもちっぽけなものかと思わされます 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-09-08 21:40:11) (良:1票) |
2.切ない映画でした、淡々としたリンダのナレーションが不安を掻き立てる。サム・シェパードが爽やかな農場主役を好演しているし、リチャード・ギアもエネルギッシュでした。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-22 14:14:45) (良:1票) |
1.穏やかな暮らしを夢見てうたれた芝居が三つの心を落日のように染め分けてゆく。ふたりを愛した娘の心は誰のものであったのか。彼女らのために命を落とした男たちの眠る大地の上を女たちは駆けてゆく。 【レイン】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-03-29 20:15:48) (良:1票) |