5.《ネタバレ》 「大渡海」買いたいんですけど。 【たくわん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-01-06 16:40:57) (笑:1票) |
4.10年以上かけて延々と辞書をつくる。ただひたすらに言葉を集め、編纂する。 おびただしい言葉の海に放り込まれ、漂い、もがき、“向こう側”に辿り着こうとする映画。 極めて地味な映画である。でも、なんとも愛らしい映画だった。
「言葉」そのものを敬い、愛する日本人ならではの物語だと思う。 また、「仕事」に一生をかけることへの憧れと羨望の描き出し方も、日本人ならではの特性をくすぐるものだった。 そういう意味では、とても日本人らしい映画だと思うし、この国の人々の普遍的な一側面を世界に対して理解してもらうにも有意義な映画だとも思う。
映画としては非常にオーソドックスで面白味が薄いようにも見えるけれど、一つ一つの画づくりはとても丁寧だった。 たとえば、編集室の書類の積み重なり方や、主人公の下宿の佇まいに至るまで、登場人物たちが息づく空間の空気感がちゃんと伝わってくる。
作り込まれた映画の世界観は、時に秀逸なアニメーションに通じる雰囲気を覚えた。 特に主人公とヒロインが出会うシーンなどは、ありふれた描写ではあるけれど、とてもキュートでファンタジックだった。
主演の松田龍平は地味な物語の地味な主人公を、彼の愛妻が言うように「面白く」魅力的に演じていた。 宮﨑あおい、オダギリジョー、小林薫ら脇を固める俳優たちの存在感もそれぞれ素晴らしく、味わい深い人間模様を見せてくれた。
映画的工夫の軽微な欠如は感じ、物語の核となる「言葉」や「料理」などにもう少し効果的にフォーカスを合わせてみても良かったように思える。 そうすれば更に芳醇な映画になったかもしれないけれど、そのいきすぎない「真面目さ」がこの映画のあり方だろうし、それはひいてはこの国が見つめ直すべきあり方に繋がるものなのだろうと思う。 【鉄腕麗人】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-16 10:15:57) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 一冊の辞書ができるまでのお話。それ以上でもそれ以下でもありません。あえて言うなら「ちょっと変人でも大丈夫だよ」ということもあるのでしょうが、どうも最後にとってつけたような感じになってしまいました。中盤での香具矢さんの「なにが普通かわかんないけど」というセリフは重要だと思いますが。それ以外、夫婦の話も松本先生との話も、最終的には「辞書を作る」という大枠内にとどまっていて、はみ出すところがない。それが本作の長所であり短所でもあると思います。お話としてはまるでプロジェクト某の映画版のよう。実際、実はそうだった(実話が元になっている)と言ったら、信じる人が多そうです。後半での掲載漏れをめぐる一連のエピソードも、あざといほどセオリー通り。そういった点ではよくできていると思いますが、面白味には欠けます。製作にテレビ局や新聞社がずいぶんとかんでいるようですが、この安全運転ぶりはそこから来るのでしょうか。もうちょっと「変人映画」でもよかったかもしれません。 ところで、異動前に馬締くんは熱心に何を読んでいたのでしょう。それが一番気になったりして。 【アングロファイル】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-05-03 10:49:04) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 最初に辞書作成の場面を見た時に「ああ、電子化してやりてぇ」と思った。そして、最終局面頃になれば、前の版との項目比較くらい、データベースでチョチョイと済むような気もした。でもやっぱり、その目で比較を見ないと安心しないのが、彼らの気質なんだという感じも判る気がするのだ。 用例採集の時に使う紙片の、小さな紙を取り扱う音、鉛筆を滑らす音、この辺の描写から、作り手の紙に対する思い入れと言うものを感じる事からも判る。完成したのは’10年という事だが、その時にもまだ紙と鉛筆で改訂版の用例を書こうとしている、彼らのこだわりにちょっと感ずるものもある。メモ専用の機器、ポメラなんてものを思い出す自分はずいぶんと軽薄な感じもするが、そういったモノの基礎となる言葉の指標を作っている、いわば先進洞抗(『海峡』参照)なんだろう、この仕事は。 そうしたものは、辞書一冊の為に紙を新開発するという描写にも表れている。ここの部分はもっと詳しく見たかったところでもある。
さて、馬締くんだが、当初は頼りない無口な青年でよろよろ歩いていたのが、そのうちに走る、喋る、大きく成長した凛とした立ち姿が頼もしい。彼の言葉への思いはかぐやさんをイラッとさせはしたが、嫌われはしなかった、むしろその誠実さが理解されたのが、嬉しい。
それに、偉大なプロジェクトと言うのは、人を虜にするらしい。馬締君は資質があったとは言え、ファッション誌から来た彼女をも辞書の人にしてしまう大いなるプロジェクト、人と人をつなぐ言葉と言うものの魅力なのだろう。だが、映画的にはその部分はちょっとわかりにくい、とうのが玉に瑕だ。 しかし、全体的には馬締め君の静かな情熱とでも呼ぶべき熱意によって、十数年にわたる大事業を成し遂げた、言葉の専門家たちの想い、生き様といったものに感動させられた。
p.s 松田龍平はもちろん、オダジョーもすごく良かった。辞書から外される前は、これがオダジョーとは思わなかったくらい、若い編集者を演じていた。小林薫は久しぶりに見たが、すっかり名優の仲間入りだな。『風の歌を聞け』の頃が懐かしい。 【Tolbie】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-04-18 00:02:08) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 鑑賞目的は、「きれいなオダジョー」。CMで見た髭のないオダギリジョーの姿につられ、きゃんきゃん尻尾を振って本日鑑賞してまいりました。眼福、眼福。(やっぱり、あれですかね、95年当時のヘアスタイルはヅラですよね?男性陣のズボンの太さといい、池脇ちいちゃんのお化粧といい、絶妙なダサさ加減でした)。そんな目的ではありましたが、まじめ君とかぐやさんのシーンにかなりやられました。恋人と別れの電話の後、黙々と包丁を研ぐかぐやさんの背中。振り向いた彼女は、こっちまで泣いてしまいそうな切ない表情でした。まじめ君は、不器用なりにも、かぐやさんを元気づけようと一生懸命話し続け、そんな彼のまじめな優しさに、ふっと何かがほぐれたような表情に変わる・・・。宮﨑あおいという女優さんの底力を感じるシーンでした。あとは、告白のシーン。OKもらってるのに、「え~、え?え~・・・」と言い続けるまじめ君に、しばらく笑いが止まりませんでした。年月が経ち、いつも体が斜めで挙動不審気味だったまじめ君が、大人の風格あるまじめ主任に変貌していました。きっと、かぐやさんに思いを伝えられたことが自信につながり、丁寧な手順でいつもおいしいご飯を用意してくれる彼女の理解と支えがあって、辞書作りという気の遠くなるような仕事を積み重ねる過程が、まじめ君を大人の男に成長させたんだろうなあと思いました。あ~、いい映画でした。 余談ですが、先日の「王様のブランチ」で、西岡さんが新入りちゃんに「面白い顔だね」というセリフは、台本にないアドリブだったと話してました。そしてオダジョーは、「正統派のきれいな顔より、面白い顔が好みなんです。」とも言ってました。でも、嫁の香椎由宇さんはどう見ても正統派の美人さんですよね。フンだ。 【おおるいこるい】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-04-17 15:45:10) (良:1票) |