8.《ネタバレ》 原作は未読です。松田龍平さんの演技が作りすぎ、といった意見もあるが、私は彼が役者として新境地に挑戦したとしてここは好意的に受け取りたい。95年頃と言えば、パソコンが飛躍的に普及する直前の時代。まだ多くの人が辞書を手に取って言葉を探したあの時代です。今となっては、言葉を検索するならパソコンの方が圧倒的に早くて便利なのだが、辞書には確かに存在した手作りの温かみはそこには一つも感じられません。利便性を最優先して何から何まで機械化、自動化も結構ですが、手作業で辞書を作るような、それこそ大海原に舟を編むような気の遠くなる作業に誠心誠意励む、こういった日本人が誇れる文化を後世に残していくことも大切なことではないか、と思います。今回、"大渡海"作成に携わった人たちを見ているうちに、なぜだか自分が日本人であることが心から嬉しくなりました。鑑賞後に、本棚にある辞書を改めて手に取ってみました。ずしり、と重たい。一冊の辞書が完成に至るまでの時間や労力を知った今では、それが歴史の重みのようにも感じられてひときわ感慨深いものがありました。 【タケノコ】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2014-05-24 19:45:40) (良:5票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 辞書を作る話に2時間。・・・どんなものかと思いましたが、静かながらも熱く真剣な気持ちが伝わり続ける、力強いドラマに感動。日本の映画の良さが全部出ているのではないかと思っちゃうくらいの味わい深さでした。 馬締君も香具矢ちゃんも、出演者の皆様それぞれが地味ながらもすごく良い味をだしてくれているわけですが、なかでもとりわけオダギリジョー演じる西岡さんが最高に好きですね。 「映画ってやっぱり楽しくなきゃね!」と思っている僕にとっては、西岡さんがからむたびに映画館でおこる笑いが心地よく、それでいて彼が泣くシーンにはこちらも胸を打たれてじーんとしちゃいました。 また、「まじめっておもしろい」の映画のキャッチフレーズ通り、確かに「まじめ」もつきつめれば良い意味で面白い。正真正銘の真面目さから生み出される面白さというものをしっかり堪能させてもらいました。 いや、この映画は本当に良かったです。 この映画を観て元気づけられる人って、世の中にいっぱいいるんじゃないですかね!日本人の良さって、何と言っても「まじめであること」だと思うんです。そしてやっぱり「ものづくり」にかける誠意や熱意だと思うのです。 もともと日本人が持っている良さってものを、辞書作りとそれに携わる人達のドラマを通して再認識させていただきました。 【たきたて】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-05-31 03:08:26) (良:3票) |
6.《ネタバレ》 とても地道に一冊の辞書を作り上げる生真面目な担当者の皆さんの映画らしく、とても丁寧に作られていたと思います。そもそも、辞書作りをする人を描く映画というものが初めてなんじゃないかな。その知られざる世界は実に興味深く、しっかりと堪能出来ました。一冊作るのに15年かかるという気の遠くなるような大変さもさることながら、街中で知らない言葉に出会ったら紙にメモしていく「用例採集」という作業、あんなの辞書作る人以外ではまずやらないだろうな、というそのお仕事がとても面白い。そんで、登場人物。言葉が大好きなまじめ君は口べたで喋るのが苦手。そんなまじめ君とは正反対キャラの西岡さんとの掛け合いが見ていて本当に楽しい。というか、役者さんが全員素晴らしい演技してましたね。これはそれぞれの役者さんの力量も勿論なんですが、その役者さんに合った配役の見事さもあるのかな、という気がします。勿論、演出も巧いんでしょうけど。それから下宿の中の様子を、とっても味わい深く撮影されてましたね~。ああいう雰囲気のある建物ってやっぱりいいですね。ストーリーは、一冊の辞書を作り上げる、ということだけなんですが、その過程で新しい出会いと別れ、成長というものがあるわけですね。辞書作りも、話の進み口調も、なんだか「コツコツ」という感じで、そのコツコツ感がとても心地よい作品なんです。あ、音楽も良かったです。日本映画の良さみたいなものが凄くよく出てる傑作です。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-12-31 00:31:24) (良:2票) |
5.いい映画でした。辞書作りのプロセスが丁寧に描かれていて興味深いです。配役も、原作未読にもかかわらずぴったりだと感じさせてくれるキャストでした。恋愛パートをあっさり進めたのも最近の邦画においては珍しい作りで面白いと思います(もしかしたらそれも原作通りなのかもしれませんがなにぶん未読なので・・・)。年代設定が1995年という、出版においてIT化が十分なされていないだろうと想像できる絶妙な年代なのも上手い演出だと思います。そうでなければ終盤のハプニングなんてあっさり解決してしまいますから。 あと、オダジョーの西岡が良いアクセントになって地味になりがちな画面を上手く締めてくれました。 【MASS】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-05-11 18:23:12) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 文字の大海原に飲み込まれるとかなんとか 文系らしさ全開の美意識には辟易するのではと思っておりましたが なぜかしっくりと腑に落ちた作品。 主人公をサラリーマンとして捉えるとこの映画のメッセージには気づけません。 人生の仕事とは金を稼ぐにあらず、 金を稼ぐのは生きるための手段であって目的ではない。 人を喜ばせたり、手助けしたり、育てたり 誰かの為に何かをなす事が仕事であって、 金銭はそれを継続するための手段です。 会社を経営するものにはこうした姿勢とスタンスも必要ではないかと感じました。 【病気の犬】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-10-24 17:31:24) (良:1票) |
3.この映画は、スタッフみんなが大渡海のようにコツコツとまじめに作ってきた、そんな印象を受けました。地味な話だけど芯がしっかりしているし、変に笑いや一般ウケに走らないところが高いセンスを感じました。日本も、こういう仕事がきちんと評価される社会になってほしいですね。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-26 22:58:41) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 とても丁寧に作られた良品だと思います。 マジメ君の下宿の部屋、底が抜けそうな物干し?ベランダ? 大量の紙に囲まれてインクの匂いがしみついているような古びた編集室。 すべて作りものとは思えない仕上がりのなか、個性をつかんだ俳優たちの 演技もまともです。 松田龍平君はマジメ君を好演、われらがオダギリジョーは、ちょっと無理のあった 軽い若者から働き盛りサラリーマンを徐々に人情味を見せてホンワカ笑わせてくれます。 あおいちゃんもさすがに上手かった。 もちろん脇を固めるベテランさん達には文句のつけようがありません; ただ・・ちょっと不満、不自然なのが、二人が結婚したあとの感情のぶつけ合い、 このマジメ君ではすれ違い?の方かな、が全く描かれていないので ちょっと・・作り物が透けてしまった感です。 戦前の日本の夫婦に会ったような、妻は夫に従い、といった面を描きたかったのかな。 結婚前のかぐやちゃんならば、もっと自己主張もあってぶつかり合いも あるのが自然な流れのような気がしました。 【AKO】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-04-21 00:48:10) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 言葉に対して、改めて真摯な気持ちで生きていこう…。 そう思わせてくれた この映画に感謝しています。 宮崎さんの「嬉しいけど、読めないじゃん!」は、見事でした。 その後に続く「辞書で調べなさいよ!いや、調べないでいい」 やり過ぎるとコミカルになってしまう難しい台詞・流れだと思うが、 絶妙な雰囲気でした。女性の気持ちの揺れ動きがヒシヒシ伝わって来る。 それにしても「愛」に「あ・い」の音を充てた人は、誰なんだろう。 それって、50音順が確定する前の時代なのかな?。 母音のトップ1・2じゃないですか。そこまで考えて名付けたのか?。 最も大切なものに、その2つの音を充てた人を尊敬します。偶然?。 【じょるる】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-04-16 18:41:05) (良:1票) |