《改行表示》 8.2000年代には年に何本もの主演作が公開されていたものの、2008年の『ハンコック』以降はそのペースがピタリと止まり、2010年代には『MIB3』にしか出演していないウィル・スミス。見た目は衰えていないので『バッド・ボーイズ』のような役柄もまだまだ行けそうな気もするのですが、当の本人は、40歳を過ぎた実年齢にパブリックイメージをどう合わせていくかで迷っているのだろうと思います。そんな中、自分自身で物語を考え、監督も自身で選任したという本作には、スミスが目指そうとしている方向性が込められているように思います。。。 人類を救った英雄にして軍隊の最高司令官という設定は相変わらずなのですが、その全盛期の活躍は数秒の映像で示されるのみであり、登場場面のほとんどは動けない状態。スミスは、表情とセリフのみでの演技を自らに課しています。従前のパブリックイメージを下地として利用し、人類の英雄という荒唐無稽な設定を観客にうまく飲み込ませているという点は戦略的にうまいと感じたし、その一方で、首から上だけでの演技も、必要なレベルには達していたと思います。本作においては、「若さ」から「成熟」へのパブリックイメージの転換と、高い演技力のアピールという二つのことを同時に行っているのですが、その目的はきちんと達成されているという点では感心させられました。こういうことが出来てこそのスター俳優なのですが、トム・クルーズやブラッド・ピットが10年ほど苦しんでいるこのステップを、たった1作でサラっと流してしまったという辺りに、ウィル・スミスの非凡さが現れていると思います。。。 その犠牲となったのが、息子のジェイデンでした。ウィル・スミスの映画としては悪くない出来だったものの、ジェイデン・スミスの映画としては最悪。彼は終始生意気なガキンチョで、好感を抱かれる要素が皆無なのです。ジェイデン演じるキタイの成長譚という体裁をとっているものの、その点はあまり深堀りされていません。冒頭、キタイは個人としての能力は高いが協調性に欠けるという問題が提示されます。ならば、これはキタイが協調性を獲得する物語とすべきなのですが、結局は個の力を強くすることで危機を乗り切るという、理解に苦しむ内容となっているのです。イヤな奴がイヤな奴のままラストを迎える、これでは観客から嫌われて当然ですね。これを演じたジェイデンには、お気の毒と言うしかありません。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-02-24 00:44:22) (良:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 「本当に恐ろしいのは目に見えるものではなく、目に見えないもの、そして見えないこと。それによって他者との繋がりを断たれ、孤立した存在にされてしまうから」 それは『シックス・センス』から『ハプニング』まで、シャマラン映画に共通するモチーフ(すいません、『エアベンダー』だけは私の中で上手く消化できません)。 ならばこの映画は、とてもシャマランらしい作品と言えるかと。 この作品でのポイントは「殻」。宇宙船という殻から見知らぬ世界に放り出された少年が、殻に逃げたままそこから出られずに姉を死なせた過去に苛まされながら、自身の心の殻を破り父を救う。 その過程で頻出するシャマラン的エッセンス。危険な森を非力な人間が目標を目指して一人進む物語は『ヴィレッジ』、他者との繋がりが断たれ孤立してゆく恐ろしさを描いた点は『ハプニング』、行動や意識・無意識、更には周囲に存在する物事にも意味が存在するという点は『サイン』を思い起こさせます。 元々、シャマラン映画は、殻に閉じこもる、そして殻の外側に出る事による事態の変化を繰り返しています。孤立の恐怖と、そこからの解放、そしてその解放を促す存在についての物語。 『レディ・イン・ザ・ウォーター』は、孤立した存在を救う側からの視点の映画ですが、基本は同じ。 少年の命を脅かす凶暴な怪物アーサ、でも、たった一匹捉えられ、自らの殻から放り出された視力を持たない存在であるアーサは、つまり少年の心の象徴であったのではないでしょうか。見えないがゆえの狂気、それは陥った事態も置かれた環境も全く理解できず孤立したがゆえに恐怖に駆られがむしゃらに進んで自らを危機に陥れてしまう少年の姿に重なります。 地球の生命達も父が言うような危険な存在ではなく、孤立した少年に対して解放を促す存在だったように思えます。 完全にスミス親子のための企画のように見えながら、そこにシャマラン的記号が溢れ、これは思わぬ御馳走でした。 もっとも、毎回見ている間よりも見終わった後にあれこれと頭の中でこねくりまわす時間の方が楽しいという点で、シャマラン映画ってどうなのよ?って状態ではありますし、そもそもそういうシャマラニズム?そんなモンはどうでもいいであろう大多数の人にとって果たしてこの映画が純粋に楽しいものであるのかというと甚だ疑問であったりはするのですが・・・ 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-07-03 20:20:24) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 これは…SF映画でもアクション超大作でもなくって、ただのスミス家の思い出作りね! 完全にパニクっちゃってお猿さんに石投げるわ、アホみたいに走りまくるわの息子(ラッキィ池田にクリソツ!)にアタシはイラッ…いくらなんでもちょっと気が小さすぎじゃない?アンタ、もうちょっとしっかりしなさいよ!ってなもんで。 しかも!後半はパパ復活→息子救出に駆けつけて二人で力を合わせてクライマックス!みたいな展開なのかと思いきや、案外アッサリ息子も悟りの境地に達しちゃって、まさかコレで終わり!?みたいな。 ウィルったら結局ずっと横になってただけよね?? だけど…子供がある程度成長したら親ができるのはただただ見守ることだけ、いくら危なっかしいと思っても横から手出しはできない、子供を信じるしかないんだってことを意図してのストーリーだったとしたら…まあそれはそれでアリかなと。 この地球、全然まだ住めそうじゃない?とか、恐怖のみを感じとって攻撃してくる敵って…ずいぶん都合いいわねー!とかいろいろツッコミつつも、よその家の思い出作り映画を延々見せられた割にけっこう楽しんだアタシ…ジェイデンくん!いいオトコになってねー(完全に親戚のオバチャン目線ね、ホホ)。 【梅桃】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-22 20:33:56) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 少年の成長を描いたSF。面白くないってわけじゃないけど、めちゃ面白いってほどでもない。可もなく不可もなく普通でした。少年のキャラはよかったけど、ウィル・スミスが英雄的な存在にあまり見えないとこは、ちょっと残念。印象に残ったシーンは滝から、飛び降りて、空中を滑空するシーン。ムササビって単語が浮かんでしかたなかった。巨鳥の恩返しとか、姉の幽霊とか、なんかだか少年漫画っぽいエピソードが随所にあるが、そんなに気にはならなかった。むしろ配役が本当の親子ってゆうのがずーっと気になっていて、それがちょっとノイズになって、素直に物語に入り込めない部分はあったのは事実。このシーンは、親子で和気あいあいしながら撮ってんだろーなってのが、うっすら見えたり、ウィル・スミスはあんな苦しんだ顔してるけど、内心は息子が演技してるのうれしくてしょーがないんだろーなーってのが、もう容易に想像できちゃって。いや、いーんだけど。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-01-14 14:11:29) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 子が父を越える成長の物語かと思ったら、まさかのいつも通りのシャマラン映画。親離れ子離れできないスミス親子が主演じゃ、通過儀礼はありえないよね。シャマランの「過去にとらわれた」といういつものテーマが「ある!」という視点で作品を観ると、迷走を続けるシャマランに「がんばれー!」という気になれ、微笑ましく観れた。シャマランらしくてとっても良かった。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-08-25 06:52:57) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 やはり鑑賞前は親子揃っての映画と言うことで少し穿った見方で見始めましたが、でもよく考えると本物の親子で競演する映画ってある意味レアですよね。「オトクかな」ぐらいの気持ちで観ることにしました。 が、内容は正直イマイチでした。ウィル・スミスさんはやっぱり精悍で逞しい男性というイメージで、男の私から見てもけっこうイケメンだと思います。が息子さんは失礼ながらそれほどでもない。もっと言えば、俳優としてはまだまだ不十分。子供だからと言って可愛いわけでもなく、ウィルさんのように逞しいわけでもない。引き付けられる「人間力」みたいなものがほとんど感じられませんでした。そんな彼がほぼ最初から最後まで活躍する映画なのですから、若干冷めた状態で観てしまいました。 それと、最終的に詰めることもしないディティールは作るべきでないと実感。あのロッドみたいな武器はウィルさんによれば「22個の形状に変化する」ということですが、それら全てを見せるわけでもないし、出てきた形状も大体みな同じようなものばかり。けっこうそういうものって見る側は期待するんですけどね。 あと、【かんちゃんズッポシ】さんも仰っているように、怪鳥の行動が意味不明。そもそも地球に生きる生物は「人間を抹殺するため」に進化したのではないのか。それが何をどうしたら人間を守る行動を取るのか。それならそれできちんとした説明が欲しい。まさか、雛の巣に侵入した虎をやっつけたからってだけなのでしょうか。それなら説得力0ですね。えらく賢い鳥だ、全く。 そうは言いながらも全体の雰囲気としては嫌いではありません。ていうか、シャマラン監督ってこんな万人受けする映画を作る人でしたっけ??エンドクレジットまで彼が監督だって忘れてましたが、とても意外な印象でした。 個人的にはつまらないディティールに拘りすぎて大事なものが抜けてしまった作品だなと言う印象です。つまらないディティールとは先に述べた武器の仕様だったり、酸素吸入剤だったり、色が変わるスーツの仕様だったり。 なんか、炭酸の抜けたコーラみたい。もっときちんと作って欲しかったですねー。そのためならもっと上映時間確保してくれても良かったのに。残念。 【TANTO】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-07-28 21:20:15) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 『宇宙船が事故り運悪く人が住めなくなった地球に不時着、怪我した父親の代わりに息子が、救難信号発信機を取りに行く』的なアクションゲームの様な構成で、テンポ良さや原生動物や毒、自然の脅威、脱走した宇宙怪獣と言った様々なアクシデントも合わさり飽きずに最後まで楽しめた。 父親は意外と息子想いで、息子も反発こそするが、父親に認めてもらいたいのと過去の後悔からきており、二人とも予告よりも好感が持てた。 特に良かったのは、本作のテーマである『親子の絆』と『恐怖』に対する演出。 『絆』は細かい演出に加え、二人の通信状況を変化させる(序盤は会話可能、中盤通信途絶、終盤会話不可だが父親は息子の姿を見る事は出来る)事により、少年の成長を実感しやすくしている。 『恐怖』も少年のトラウマや未知の惑星、恐怖を感じ襲ってくる敵と多くのギミックが用意され、父親との会話(『危険』は存在するが『恐怖』は自分の中にしか存在せず現実には存在しない)や、恐怖の対象に命を助けられたり克服できる準備が施されている。 所々現れるいろんな『家族』。自分が昔命を救った部下にされた感謝の行動を、自分命を救ってくれた息子に同じようにする。終盤の恐怖を克服する演出が父親とは対照的にすることで、決して彼が英雄の息子で彼と同じ方法で恐怖を克服したわけではないと言う柔らかな『差別化』等々細かいながらも繊細かつ丁寧な演出が随所に見られた。 大鷲や目が見えないのに器用過ぎる宇宙怪獣等気になる点もあったが、それらもしっかり演出として機能しているので、結果的に多くがプラスマイナスプラスに働いている。 総評 真新しい設定や謎は無く毛色も違うが、上述した細かい演出やテーマを扱いつつサバイバル系エンタメ作品としても及第点は越えており、シャマラン作品の中では第6感に次ぐお面白さだった。 【ムラン】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-22 12:40:29) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 この作品をSFと位置づけるなら、B級SFにも届かない出来。ウィルスミス親子の絆ドラマとするなら、「幸せのちから」には遠く及ばないがまあまあの出来。はたしてSFである必要があったのか… 宇宙船や武器や通信機器などは、まるで一世代前の子供のオモチャを流用したようなデザインで、作品の質を下げ主題を不可解にするマイナス要因となっている。一方で、ジャングルの動物たちは結構リアルで、映画アバターの世界観をより現実的にした感じ。だったらなおさら、SFにして欲しくなかった。それにしても、アーサーはいただけない… 名前も酷いしあのルックス、ありゃ何? バイオハザード? ウィルスミス親子に敬意を払ってこの点数。\(^o^)/ 【windance】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-06-21 22:53:24) (良:1票) |