《改行表示》 5.《ネタバレ》 「アジアの鷹」シリーズの第三弾……なのですが、ちょっと毛色が違うというか、外伝のような印象も受けましたね。 それというのも、本作の主人公は「JC」と呼ばれており、彼が「アジアの鷹」であると判明するのは終盤も終盤、クライマックスの空中戦においてだったりするのです。 自分としては観賞前から「プロジェクト・イーグルの続編」という気持ちでいたもので、その辺ちょっとチグハグというか、ノリ切れないものがあって残念。 多分これ、作り手側としても意図的に「主人公の正体は不明」にしておき、ラスト間際にて「主人公は、あのアジアの鷹だった」と種明かしして、驚かせる構造にしていたんじゃないでしょうか。 過去二作における主人公のトレードマック「ガムを食べるシーン」が登場するのがラスト三十分ほどになってから、というのもそれを裏付けており、ここで(あのガムの食べ方は、もしかして?)と観客に思わせた後(やっぱり、そうだった!)というカタルシスを与えるつもりだったんじゃないかなぁ……と予想します。 基本的には単独で仕事をこなすイメージのあった「アジアの鷹」が、チームワークを活かして盗みを働く存在になっている事、何時の間にか奥さんまでゲットしていた事など、戸惑う展開が多い辺りも困り物。 さながら「プロジェクト・イーグル」と本作の間に何本も作品があって、その間に仲間が増えたり、ライバルの「禿鷹」と出会ったり、結婚したりしたかのようで、置いてけぼり感がありました。 そんなこんなで、中途半端な予備知識が仇となってしまったパターンなのですが……それでも充分楽しめる作品に仕上がっている辺りは、流石という感じ。 「世界に四枚しかない切手」の内の三枚を破り捨て「世界に一枚の切手」にして価値を高めるシーンなど「物の価値とは何だろう」と考えさせる脚本になっているのは、如何にも「アジアの鷹」シリーズっぽくて、嬉しかったですね。 税関を用いた本物と偽物を入れ替えて盗むテクニックには感心させられたし「薔薇を大切にしろよ」という台詞が伏線になっており、それが黒幕の逮捕劇に繋がっている流れも良い。 「戦争によって奪われた国宝を取り戻す」という、やや堅苦しいテーマの作品なんだけど、愛国心やら戦争犯罪やらを訴える役割は新キャラのココが担っており、主人公は「中国という枠組みに囚われず、時には英国贔屓な見解を示す事もある」「昔の過ちを今の考えで裁くなんて不可能だと主張する」という中立的な描き方をしている辺りも、上手いバランスだなと思えました。 全身ローラースーツや、カメラと脚立を駆使したアクション。 それに、画面を華やかに彩る美女達の存在も、忘れず盛り込まれており、このシリーズにおける「お約束」「娯楽性」を忘れていないなと感じさせる辺りも嬉しい。 また「戦っていた敵であっても、目の前で死にそうになると、咄嗟に助けてしまう」「最初は敵対していた相手とも、なんだかんだで仲良しになる」というシーンが印象的に描かれているのも本シリーズの特徴であり、その点はヒューマニズムならぬジャッキーイズムといったものを体現していた気がしますね。 生まれてきた赤ん坊に「世界平和」という意味の名前を付ける辺りも、如何にもジャッキーらしくて好きです。 一作目においては「何よりも金が大事」という考え方だった主人公。 そんな彼が、二作目において「金よりも大事なものがあるんじゃないか?」と疑問を抱くようになり、三作目において「金よりも家族が大事だ」という結論に着地する。 三つの映画を使って、少しずつ主人公の考えが変わっていく様を描いてきたからこその感動があり、妻と仲間に囲まれて幸せそうな「アジアの鷹」を描いて終わる本作は、やっぱり嫌いになれないです。 アクション大作からの引退を決意しての、記念すべき一品という事で、主人公の妻役にジョアン・リン(=私生活においてもジャッキー・チェンの妻である女優さん)を起用する遊び心なんかも「そう来るか!」という感じがして、ニヤけちゃいましたね。 自分としては(妻になったのは誰? メイ? エイダ? エルサ? 桃子?)と、過去作の女性キャラクターを色々思い浮かべていただけに、完全に意表を突かれた形。 この「主人公の妻」のチョイスに関しては、それだけ「アジアの鷹」というキャラクターがジャッキーに愛されており、文字通りの意味で「ジャッキーの分身」と呼ぶに相応しい存在である事を証明してくれたかのようで、ファンとしては感慨深かったです。 妻だけでなく、ジャッキーとしても、これまで頑張り続けてきた自分に「お疲れ様」と伝えてあげる……そんな意図があった映画なんじゃないかな、と思えました。 【ゆき】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2018-10-18 11:43:47) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 ジャッキーは石丸さんの声にかぎる!(笑) まあ、そういうわけで吹き替え版を観たわけだが、その弊害で、中盤の南の島でのどたばた劇で、女性陣の叫び声がやたらにうるさかったのはご愛敬か(テレビで観るジャッキー映画のそういうシーンを想像していただければよろしいかと)。 冒頭のローラースーツのシーンからラストのスカイダイビングのシーンまで、ジャッキーはノースタントだったらしいね。さすがにあれだけ身体を張っていたらきついよなあと思う。ジャッキーの身体の過去の傷跡がパンフに出てるけれど、まさに満身創痍だしね。 ラストに実際の奥さんが出てくるシーンは、そういうジャッキーのアクション映画集大成への感謝締めくくりというのがあるのかもしれない。 それにしても(←口癖(笑))、ジャッキーは老けたなという印象は否めない。それと顔がデカい!(笑) フルスクリーンからはみ出しそうな感じ。体型も丸くなってしまって、なんかラサール石井が走っているような印象だった。格闘アクションにしても、以前のカンフー映画系のような「(素手で)つかむ、はじく、打つ、(足で)ける、たたく、重ねる」系のアクションは、他の若手や女性に任された感じで、ジャッキー自身は道具を回す、それで打つ系のアクションがメインになってしまって、ちと残念(笑えるけれどね)。せめて、「ドラゴン・キングダム」でのジェット・リー戦くらいのアクションは観たかった。 いろいろ書いてるけれど、まあ「ホントに楽しい」と思える映画だったのは事実。映画館でハラハラドキドキして観るのが好いですよ。 【オオカミ】さん [映画館(吹替)] 8点(2013-05-07 12:22:57) (良:2票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 やっぱりジャッキーが自身で監督した作品は見ごたえがあります。お得意のスラップスティックコメディに畳み掛けるようなアクション!そこに今回はチーム物にちょっとしたアドベンチャー要素も入っておりサービス満点。ストーリーのテンポの実に良く、後から考えるとキャラクターの言動に納得できない部分も出てきますが、観ている内はスピーディーな展開のためか気になりません。 なかなか本格的な功夫アクションが出てこないので心配しましたが、終盤に所謂ジャッキーアクションもしっかり詰まっていて安心。 あと肝心な物語はジャッキーの祖国への愛国心が反映されたものとなっていますが、個人的にもロンドンの大英博物館で山のように世界の各国から蒐集された(というか強奪された)美術品を見て、なんだかやるせない気持ちになった経験があるせいか、作品のテーマには感慨深いものがありました。というかこの映画に出てくるような、美術品を単なる投機のオモチャとしてしか見てない輩は実在するわけで、そんな奴らに真正面から中指突き立てるこの映画、中々骨太だと思います。 エンドロールのジャッキーのナレーションにはグッときました。最後と言わず頑張ってアクション映画を作ってくれー! 【民朗】さん [映画館(吹替)] 7点(2013-06-12 22:15:39) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 ああ~ なんだろうな~ この緩すぎる展開。前半こそ、例の新兵器を身にまとってスピード感有り、カーチェイス有りでぶっ飛ばし、昔のポリス・ストーリーのようなハードながらの爽快路線を突き進み〝これはイイぞ〟と期待感バンバン膨らませてもらったわけですが、どうもその後の無人島パニックのあたりからが拍子抜け。まさかグーニーズの大人版・アドベンチャーコメディのように見えてしまって中休み。だけど、そのままテンション上がらないまま終わってしまった・・・・・・・・ そう終わってしまったといえば、そう、 長年楽しませてもらったジャッキーアクションが、、、寂しいことだが終わってしまった でも、終わり良しであったと思えてみたりする 少なくとも、仲間が死んだ・酒に溺れる・気弱になって路頭に迷ってしまったとか そういっためそめそするような暗いシーンが一個も無かったことが良かったと思う。 よって今回、アクション大作という部分においては、正直物足りなさが否めませんでしたが、ジャッキー最後の出演作という部分については、失敗ではなく、明るく楽しく無難に終えれたことが良かったのではないかと思います。そしてさっき今しがたココを覗いてみて知らせてもらったことなんですが、最後に現れなすったあの御婦人、なんだ まさかで ジャッキー:本物の奥さんでいらしたんですね (なんでも今回ジャッキー自身が最後だからと頼み込んでの出演という形になったとか。←ココは自分で調べましたが。) そのへん知るコトが出来て少し得した気分になってしまいました。素敵な情報どうもありがとうございました。 【3737】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-05-07 21:51:30) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 〈アジアの鷹〉シリーズの最新作にして、ジャッキー最後のアクション大作。宣伝文句の「最高傑作!」とは程遠いものの、近年のジャッキー映画の中ではかなり面白い部類に入るだろう。それにしても、齢60になろうかというジャッキー、流石に往年のキレはないものの、頑張ってる感はビンビン伝わってきます。予告編の全身ローラーブレードはてっきりクライマックスに用意されているものかと思いきや、冒頭のアクションで披露。その後もアイディア満載のアクションの連続で、2時間超えの長尺を全く飽きさせない。ひとつ意外だったのは、ジャッキーが既婚者であるという設定。トレジャーハンターのJCが、最初は金目的でお宝を探していたが、やがて国宝を自分たちの国に取り戻すという使命感のために戦うようになる。そういった政治的なメッセージを込めながらも、「やっぱり最後は愛だよね」という締め括りは、ジャッキーらしい大団円。これがラストというのはやはり寂しいが、心からお疲れ様を言いたい。今後こういったアクション映画には出ないかもしれないが、またスクリーンで会えるのを楽しみに待ってるよ! 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-04-19 00:43:20) (良:1票) |